総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」 第11回会合 民放連にヒアリング

編集広報部

総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」(三友仁志座長)の第11回会合が6月10日に開催された。

民放連の堀木卓也常務理事と川島徳之・技術対策小委員長(フジテレビ専務)がヒアリングに出席、前回会合で示された「『共同利用型モデル』に関する取りまとめ(案)」に対する見解を説明した。

民放連は「信頼される情報の社会的基盤としての基幹放送の役割を果たし続ける」と民放事業者の責務を述べたうえで、地デジ送信ネットワーク維持のためのコストの圧縮が急務の課題と指摘。そのうえで、NHKが受信料収入によってミニサテの共通コストを負担するスキームを検討すべきとする検討会の提言は民放連の意見が反映されたものとして賛同し、NHKがさらなる役割を果たすことを期待した。

また、「共同利用型モデル」には経済合理性の視点が不可欠と指摘。これを踏まえたうえで民放事業者とNHKとの間で検討することは有意義であり、前向きに受け止めたいと述べた。ただし、「ハード会社設立」の提言については、あくまでも一つの例示として、目的にかなうあらゆる選択肢を検討すべきとした。マスター設備の集約化・IP化・クラウド化において、系列局単位で集約化を図るとの考えは現実的な提言と理解を示したうえで、総務省に制度面の課題の洗い出しを要望。さらに、放送ネットワークインフラの将来像を検討する際は、経営環境が厳しい民放地上ラジオ放送についても考慮すべきと求めた。これを受け、「ハード会社設立」に関する質疑があり、民放連は「反対ではないが、民放の意見が賛成でまとまっているわけでもない」との認識を示した。さらに「本検討会で、NHKが持続可能性と経済合理性を強調し、ハード会社の設立は選択肢としてあり得ると説明したことや、構成員から、事業者としての持続可能性と実現可能性を明確にすべき旨の発言があったことを、重く受け止めている」と説明した。

次に、検討会の下に設置されている「小規模中継局等のブロードバンド等による代替に関する作業チーム」から、これまでの検討結果の概要報告があった。一部地域ではIPユニキャスト方式による代替で経済合理性が期待できるとする一方、コスト計算に放送アプリケーションの費用が含まれていないことから、期待レベルにとどまるとした。

続いて、総務省事務局から同検討会の「取りまとめ骨子(案)」が示された。構成員からは、「NHKと民放の二元体制」や「民主主義の維持・発展」などを明確に示すべきなどの意見があった。

次回6月24日の会合で、同骨子案をもとに作成する「取りまとめ(案)」が示される予定。

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