在京ラジオ社 2025年秋の改編 新しいファンダムを狙い 新番組続々 

編集広報部
在京ラジオ社 2025年秋の改編 新しいファンダムを狙い 新番組続々 

在京ラジオ各社の秋改編が始まった。各局は新しいファンダムの形成を目指し、多彩な新番組を投入している。

文化放送、デイタイム大改編で"知的刺激"を強化

文化放送は"オトナ世代"向けの放送を継続しつつ、デイタイムを大幅改編。ライターの武田砂鉄がパーソナリティを務める大型生ワイド『武田砂鉄 ラジオマガジン』(=冒頭写真、月~木、8:0011:30)が放送開始。政治、経済、カルチャーと幅広い話題に対し、憲法学者や漫画家などの個性派レギュラー陣を迎え、「わかりやすい」「一刀両断」の裏側まで考えながらトークを繰り広げる。加藤慶・コンテンツ局長は、「いまメディアは"わかりやすい"を追求し単純化する傾向にあるが、省かれた部分にこそ何かヒントがあるのでは」と話し、「ラジオはじっくり取り上げることに適している。新しいメディアのムーブをつくれたら」と述べた。また、『大竹まこと ゴールデンラジオ!』(月~金、11:3015:00)と『長野智子アップデート』(月~金、15:0017:35〔月、~17:00〕)の放送時間を拡大し、20年以上朝の顔を務めてきた野村邦丸の『くにまる食堂』(月~木、9:00~13:00)を終了。新たに『野村くにまる 日曜ぐらいは・・・』(日、13:0016:00)として、日曜午後にゆったりとした時間を届ける。また、夜は"推し活"コンテンツの拡充も図る。話題のゲーム実況グループ・まじめにヤバシティによる新番組『まじめにヤバシティ TALK TALK TALK』(金、21:0021:30)や、23年目を迎えた生ワイド『レコメン!』(月~木、22:0025:00)の火曜パーソナリティにtimeleszの佐藤勝利、原嘉孝を迎えたことも話題に。「常に時代にフィットするようコンテンツを追及し、アップデートしていきたい」と加藤氏は語る。

TOKYO FM、深夜帯には新枠『P-CREW』で次世代カルチャーを発信

10月に『TOKYO FM リスナー感謝祭 in 渋谷音楽祭2025』を大盛況で終えたTOKYO FM。同イベントでは「ワイド番組パーソナリティ大集合スペシャル!」と平日生ワイド番組のパーソナリティ9人で公開生放送を実施した。蘭有紀子・編成制作局編成部長は「平日はこのメンバーで、変わらずリスナーの日常に寄り添っていきたい」と話す。番組間の掛け合いも好評で、デイタイムは改編が小幅だ。一方で、平日の深夜帯に新たな枠を設置。インフルエンサーや話題のアーティストなど、時代の最前線で輝く16組の出演者が、『P-CREW』(月~木、26:0027:00)と『P-CREW Deep』(月~木、27:0028:00)で深夜のカルチャーゾーンを届ける。『P-CREW』の月曜は、人気のゲーム配信者・ぐちつぼの『ぐちつぼゲェム部』(月、26:0026:30)、水曜にはYouTubeチャンネル登録者数100万人を誇る歌い手・超学生による『超学生の仮面を脱ぐ夜』(水、26:0026:30)を編成。さらに"ディープ"な『P-CREW Deep』は、若い女性に人気の女性アイドルグループ・きゅるりんってしてみて、元AKB48の本田仁美が所属するK-POPアイドルグループ・SAY MY NAMEなどがパーソナリティを務める。蘭氏は「誰もが知るスターとはひと味違う、新たなカルチャーの担い手を迎えた」と話し、「エンタメの多様化が進む中、新しくラジオを聴くきっかけになれば」と期待を語った。

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<深夜のカルチャーゾーン『P-CREW』>

ニッポン放送、ナイターオフ編成で人気番組が続々復活

ナイターオフの番組編成に入ったニッポン放送は、『モヤモヤ解決!ゲッターズ飯田 ラジオで占いまSHOW』(水、20:0021:00)、『泉房穂の情熱ラジオ』(木、18:0021:00)、『鶴光の噂のゴールデンリクエスト』(金、18:0020:30)など人気番組が復活する。新番組『峯村健司と松本秀夫のジェントル!ジェントル?』(火・水、18:00~20:00、〔火、~21:30〕)がスタート。8月の「ビデオリサーチ首都圏ラジオ聴取率調査」において時間帯の単独首位を獲得し、ニッポン放送として21世紀初の快挙となった『飯田浩司のOKCozy up!』(月~金、6:008:00)にコメンテーターとして出演するジャーナリスト・峯村健司と『ニッポン放送ショウアップナイター』実況アナウンサーの松本秀夫がタッグを組み、時事ネタを中心に幅広く取り上げる。木之本尚輝・コンテンツプランニング部長は「働いている人が次の日の話題になるような情報をインプットしてもらえる番組にしたい」と期待する。さらに、2026年春に『ニッポン放送ショウアップナイター』が60周年を迎えることを記念して、『ニッポン放送ショウアップナイター60周年 名球会ラジオ』(土、17:20~17:50)がスタート。プロ野球界で輝かしい足跡を残した選手だけが入会できる「日本プロ野球名球会」とのコラボで、レジェンドたちの声を届ける。またポッドキャストでは『バッテリィズの東京ブルペン』(水、18時頃配信)が始まり、2024年M-1で準優勝したバッテリィズが『ニッポン放送ショウアップナイター』60周年と野球界を盛り上げる。

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<『峯村健司と松本秀夫のジェントル!ジェントル?』>

J-WAVE、改編テーマは「原点進化」

「原点進化」を今期の改編コンセプトに掲げたのがJ-WAVE。「東京に新しい波やムーブメントを起こすというJ-WAVEの原点を受け継ぎながら、未来に向けて進化させていく思いを体現するプログラムをそろえた」と塩田真人・マーケティングデザイン部長。平日の午後帯に始まった『MIDDAY LOUNGE』 (月~木、13:3016:30)はハリー杉山(月)、市川紗椰(火)、クリス・ペプラー(水)、ジョン・カビラ(木)――すでに同局でおなじみのマルチリンガルなナビゲーターたちが日替わりで、「新しい自分、新しい世界と出会う旅」をリスナーに届ける。午後のゆったりとした時間にふさわしい、心地いい選曲にもこだわった。他の曜日にもレギュラーを持つクリス・ペプラー、ジョン・カビラのベテラン二人も "新たな挑戦"に意欲的だという。MUSIC STATIONとしてのJ-WAVEらしい新番組が『TOKYO BEATS FOUNDATION』(土、25:0027:00)。同局では久しぶりのクラブミュージック番組で、最新のヒップホップを中心に、東京のクラブシーンを牽引するDJたちが週替わりで熱いプレイを披露する。日本最大規模のヒップホップフェスティバル「POP YOURS」とも連動して盛り上げを図る。また、平日夜のニュース・情報枠『JAM THE PLANET』 (月~木、19:0020:45)の木曜日ナビゲーターには元NHKアナウンサーの武田真一が登場。J-WAVEの熱心なリスナーを自認し、「アナウンサーになっていなければロックシンガーになっていた」という音楽好きの武田が同局でどんな化学反応を見せるかも楽しみだ。

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<『MIDDAY LOUNGE』>

interfm、外国語放送の原点を軸に多彩な新番組

「有事の際に外国語放送を行うこと」を付帯条件に周波数が割り当てられ、在日外国語圏の人々向けに生活情報などを伝える「P.S.A.(Public Service Announcement)を開局以来続ける interfmは、新番組『Across The Cultures supported by korekoko』(月~木、8:509:00)をスタートした。interfmの平岡俊一取締役は「日本人と外国語圏の人々の懸け橋となれるようなコンテンツにしていきたい」と語る。DJは元毎日放送アナウンサーの大吉洋平が務め、在留外国人のゲストDJを招き、さまざまな国の人が日本でどのように暮らし、何を感じているのか深掘りしていく。また平日の朝5時台をビジネスゾーンと位置づけ、2025年春に放送開始した『Beyond K-point』(月、5:106:00)に続く第2弾として、『しゅんダイアリーのあきない経営ラジオ』(火、5:306:00)を編成。自身も若手経営者であるしゅんダイアリーが、経営者をゲストに迎えてインタビューを行う。注目の新番組は、明石ガクトと福田淳がDJを務める『UMP〜未確認人物倶楽部〜』(木、22:3023:00)。エンターテインメント業界に長く関わってきた2人が、知られざる才能やカルチャーを持つ"未確認人物"を発掘していく。また、その前の時間帯は、3040代女性に向けた『鈴木紗理奈と中川安奈の修羅shushushu』(木、 22:0022:30)を編成。仕事・家庭・恋愛......すべてに全力で向き合う女性たちによる、女性のためのトーク番組を目指す。このほか、月曜日深夜は、『潮紗理菜のサリマカシーラジオ』(月、25:0025:30)、『佐々木美玲のハピハピ!ハッピーラジオ!』(月、25:3026:00)を連続して放送。アイドルとしてだけでなく多方面で活動する彼女たちの、等身大のトークを毎週楽しむことができる。

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<『UMP〜未確認人物倶楽部〜』>

ラジオNIKKEI、秋改編は"堅実"に 水谷隼が投資を学ぶ新番組に注目

秋は海外競馬や地方競馬の生中継など特番で話題の多いラジオNIKKEIだが、今季の改編率は10%以下と小幅な変更に留まった。注目は、この夏から始まった『SBI証券presents大橋ひろこ×水谷隼のマーケットウイニングショット』(火、 21:0022:00)。卓球選手で金メダリストの水谷隼が、さまざまなゲストから投資に関するアドバイスを受ける番組だ。幡野裕樹・編成部長は、「ラジオNIKKEIはマーケット情報を多く伝えているが、昼間の株式市場が開いている間は玄人向けの番組を、夜はこれから学んでいきたい人向けの番組を展開している。米国株式市場が開く前の夜の時間帯に、生放送を編成するのは久しぶりだ」と意気込む。また人気番組『こだわり羽生結弦セットリスト』(第1水、19:0019:30)も放送時間を10分延長し、枠移動。プロフィギュアスケーター羽生結弦の歴代プログラム曲の中からこだわりのセットリストを放送する。さらに、世の中の関心が高い"人事"にフォーカスした『人事リーダーの羅針盤』(金、7:307:45)も始まった。マンスリーゲストを招き、採用・雇用など企業の成長につながる人事のあり方を考えていく。株式市場が開く週の頭に放送する『マーケット・マスターズ・マンデー』(月、11:3512:00)は番組名をリニューアル。リフレッシュした内容で、生放送による市況解説を行う。

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<『SBI証券presents大橋ひろこ×水谷隼のマーケットウイニングショット』>

TBSラジオ、カルチャー強化と"スペシャルウィーク"復活で秋改編

カルチャーやニュースを深掘りすることを得意とするTBSラジオはカルチャー系の新番組を投入した。歌、ダンス、音楽制作、ゲーム実況......さまざまな舞台で活躍する三浦大知がパーソナリティを務める『三浦大知のSpacewalk』(月、22:0022:55)は、パーソナリティの近況報告はもちろん、ダンス界の最新ニュースも届ける。後藤一・編成戦略部長は「三浦さんはダンスやカルチャーについても話ができるので、前の時間帯のカルチャープログラム『アフター6ジャンクション2』とも親和性が高く、続けて聴いていただける編成になっている」と話す。話題性が高いのは、東京オリンピック・柔道金メダリストのウルフアロンの『目覚めのウルフ』(日、7:00~7:30)。プロレスラーとして第二の人生を歩み始めるウルフアロンは、2026年1月4日に新日本プロレス東京ドーム大会でのデビュー戦が決まっている。『渋谷凪咲と雨やどりラジオ』(土、21:30~22:00)は元NMB48の渋谷凪咲がリスナーと等身大で語り合い、悩みや愚痴、日々のモヤモヤをシェアしていく。番組を人が「雨宿り」するような場所としてリスナー全員で寄り添い、共に悩み、共に考えていく。
同局は、この10月にスペシャルウィークを復活させたことも話題になった。ポッドキャストに注力したりradikoの聴取データを新しい評価軸にしたりといったデジタル対応がスペシャルウィークをやめた背景にあったが、業界全体でデジタル対応が進んだ今、レーティングを見つめ直そうとの現場の声を受けて復活した。「スペシャルウィークという名前は使わないまでも、レーティング調査期間中に特別な企画を立てる番組があったことも受け、番組でスペシャルウィークという言葉が使えない状況を脱する意味合いもあります」と話す編成戦略部の土屋早紀子氏。引き続きポッドキャストの数字もradikoの数字も手を緩めずに取っていく、と力強く語った。「スペシャルウィークはラジオ業界にとって一つの文化ですので、リスナーの皆さんと一緒にお祭り騒ぎができるような楽しい企画を毎回ご用意します」と今後への期待を込めた。

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<『目覚めのウルフ』>

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