一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)が主催する「第41回ATP賞テレビグランプリ」受賞式が7月24日、都内で開催された。
祝辞として、総務省情報流通行政局長の豊嶋基暢氏は「コンテンツ産業は政府としても"基幹産業"と位置付けている。わが国の誇るべきコンテンツが世界に羽ばたくことを期待する」と述べた。民放連会長の早河洋氏は「プロダクションの皆さまには、民間放送の番組制作にいつも協力していただいている。受注と発注の関係において、適正な取引が実現するよう、民放連として対応してまいりたい」と述べた。
<祝辞を述べる早河洋民放連会長>
受賞式で部門賞トップの「グランプリ」と新人賞トップの「最優秀新人賞」が発表された。
グランプリは、ドキュメンタリー部門で最優秀賞を受賞した『NHKスペシャル 法医学者たちの告白』(製作会社:ビジュアルオフィス・善、NHKエデュケーショナル/放送:NHK 総合)が獲得した。ディレクターを務めた木寺一考氏(ビジュアルオフィス・善)は、「法医学者の皆さんが多大なリスクを背負いながら、それでも社会に応えたいという思いで取材に応じてくださった」と敬意を表し、喜びを語った。
最優秀新人賞には『BSスペシャル 境界の抵抗者たち ~ミャンマーを追われた映像作家の記録~』(製作会社:ヽヽ Film & Media、NHKエデュケーショナル/放送:NHK 総合)の演出で久保田徹氏(フリーランス)が選ばれた。ミャンマーで軍への抗議デモを撮影していたところ治安当局に拘束された久保田氏は「自身の経験も確かに糧となった。現地で命懸けの映像を託してくれた彼らに心より感謝する」と述べた。
<最優秀新人賞に輝いた久保田徹氏(フリーランス)>
このほか民放関係の主な受賞は次のとおり。
ドラマ部門で『プラチナイト木曜ドラマ クラスメイトの女子、全員好きでした』(製作会社:テレパック/放送:読売テレビ放送)が最優秀賞を獲得した。
<ドラマ部門最優秀賞『プラチナイト木曜ドラマ クラスメイトの女子、全員好きでした』
プロデューサーの東田陽介氏(テレパック)>
同ドラマで主演を務めた木村昴氏も登壇し、「クランクインの際に監督が『元気なドラマを作ろう』と言ったとおり、元気なドラマになった」と喜びを述べた。
<木村昴氏>
優秀新人賞には『地獄の果てまでつれていく』(製作会社:TBSスパークル/放送:TBSテレビ、Netflix)の天宮沙恵子氏(TBSスパークル)と、『ザ・ノンフィクション ほめる人とほめられる人 ~褒めますおじさん 令和の路上物語~』(製作会社:テレビマンユニオン/放送:フジテレビジョン)の鳥居稔太氏(テレビマンユニオン)が選ばれた。
<天宮沙恵子氏(TBSスパークル)㊧と鳥居稔太氏(テレビマンユニオン)㊨>
特別賞は、関口宏氏と、『くいしん坊!万才』制作チームに贈られた。関口氏は長年にわたって卓越した司会力を発揮し、特に『サンデーモーニング』においては報道の新たな形を築き、視聴者の信頼を得てきた功績が評価された。関口氏は「テレビが好きでこの仕事をやってきた」と振り返りつつ「テレビはやっぱり、いつも元気でやるべきことをやってほしい。昭和100年、ラジオ100年の今年は、電波による放送が今後どうあるべきかを考えるよいチャンス」とテレビ放送への思いを語った。
<関口宏氏>
『くいしん坊!万才』制作チームは、1975年の放送開始以来、半世紀にわたり日本の食文化を掘り下げ、現在のグルメ番組の礎を築いてきた功績が評価された。番組で11代目のくいしん坊を務める松岡修造氏は「日本の食は、人の温もりであり、私は人間味というものをいただいてきた。心の底から、この番組が大好き」と熱く語った。
<『くいしん坊!万才』制作チームと松岡修造氏㊨>
ATP賞は番組製作会社の社会的な機能を高め、制作スタッフ一人一人の情熱や気概に応えるために、創り手である製作会社のプロデューサーやディレクターが自ら審査委員となって優れた作品を選ぶ日本で唯一の賞として1984年に創設。ドラマ部門、ドキュメンタリー部門、情報・バラエティ部門の3つのジャンルで作品を募集し、毎年200本近い応募作品の中から選ばれる。
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