在京テレビキー局 2025年10月改編スタート 柔軟な編成と話題作で視聴者獲得へ

編集広報部
在京テレビキー局 2025年10月改編スタート 柔軟な編成と話題作で視聴者獲得へ

在京民放テレビキー5社の2025年10月改編がスタートした。各局ともに話題の新ドラマを投入するほか、月替わり・週替わりで番組や企画を変える柔軟な編成が目立つ。以下、チャンネル順に紹介する(以下、敬称略)。


日本テレビ 「"わざわざ、見たい"をもっと。」で視聴率アップを狙う

日本テレビ放送網は、「2024年年間平均+0.1」を目標に、個人全体・コアターゲットの視聴率アップを目指す。改編テーマは「"わざわざ、見たい"をもっと。」。生活者に積極的な視聴行動を促すコンテンツを展開する。爆発力のあるキャストのコンテンツとして、新番組『timelesz ファミリア』(月、24:29~24:54)を開始。AVOD(TVer)再生数にも期待を寄せる。また、プライム帯では『X秒後の新世界』(火、22:00~23:00)のレギュラー放送を開始する。新ドラマは、『すいか』『野ブタ。をプロデュース』で知られる河野英裕プロデューサーが手がける『ぼくたちん家』(日、22:30~23:25)を編成。同作は、さまざまな偏見に晒される「社会のすみっこ」にいる人々の生きる姿を描くオリジナルストーリー。男性同士のラブストーリーを描くことから、インクルーシブプロデューサーとして白川大介(日本テレビ放送網ジェンダー班)が加わり、当事者と取材者の経験を活かし作品づくりに関わる。

テレビ朝日 視聴率3冠の勢いを維持・強化

2024年度世帯視聴率・個人全体視聴率ともに開局以来初となる全日・ゴールデン・プライムの3冠を獲得したテレビ朝日はその勢いを維持・強化する。平日ゴールデン帯に『日本探求アカデミックバラエティ 火曜の良純孝太郎』(火、20:00~20:54)、『相葉ヒロミのお困りですカー?』(木、19:00~19:54)と特番で好評だった2番組をレギュラー化する。ドラマは、『相棒 season24』(水、21:00~21:54)、『緊急取調室』(木、21:00~21:54)などテレビ朝日が誇る人気シリーズのほか、主演・大泉洋、脚本・野木亜紀子のジャパニーズ・ヒーロードラマ『ちょっとだけエスパー』(火、21:00~21:54)が始まる。また、月曜深夜に「ドリームエンタ」枠(月、24:15~25:15)を新設し、『あのちゃんねる』『キョコロヒー』『ハマスカ放送部』の人気番組3つを60分に時間を拡大し週替わりで放送する。平日深夜ゾーンの「バラバラ大作戦」枠には、『若槻千夏のうるさい心理テスト』(火、26:36~26:55)、『ニカゲーム』(水、25:58~26:17)が加わるほか、同枠を卒業した『永野&くるまのひっかかりニーチェ』(火、24:45~25:02)が24時台に昇格する。

TBSテレビ 「積極的無改編」で既存枠を強化

2024年10月から社内指標として新たに設けた「LTV4-59」(4歳から59歳の個人視聴率)が好調に推移し、全体的な視聴率もライバル局との差を縮めているTBSテレビは、あえて「積極的無改編」で臨む。曜日・時間による番組枠の変更などは行わず、実績のある既存のレギュラー枠を強化して、視聴者層をさらに広げることに注力する。このため主な新番組は「日曜劇場」「火曜ドラマ」「金曜ドラマ」のドラマ3枠。日曜劇場の『ザ・ロイヤルファミリー』(日、21:00~21:54)は早見和真の同名小説を原作に、競馬の世界を舞台に人間と競走馬の20年にわたる壮大なストーリーを妻夫木聡、佐藤浩市らの重厚な俳優陣で届ける。火曜ドラマ枠には『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(火、22:00~22:57)が登場。谷口菜津子の人気マンガを原作に、夏帆と竹内涼真のダブル主演で現代日本の「あたりまえ」を見直す‟再生型のロマンスコメディ"だ。そして金曜ドラマは波留、川栄李奈のダブル主演が注目の『フェイクマミー』(金、22:00~22:54)。その名のとおり、お受験のために母親業をアウトソーシングするという設定が意表を突く。脚本の園村三はTBSが新人脚本家を発掘・育成するプロジェクトで第1回目を受賞した。バラエティの人気構成作家だったキャリアを引っ提げての斬新な脚本にも注目される。

テレビ東京 「テレ東らしさ」を追求

テレビ東京は、独自性のある「テレ東らしさ」を追求する。水曜ゴールデン帯は縦の流れを意識し『世界を救う!ワンにゃフル物語 ~柴と三毛と亀梨くん ~』(水、18:25~19:54)と『ソレダメ! ~あなたの常識は非常識!?~』(水、19:54~20:54)の放送順を入れ替え、続けて新番組『バカリズムのちょっとバカりハカってみた!』(水、20:54~21:54)をスタート。過去3回の特番で独特の切り口が話題となった同番組は、世の中のあらゆるものを「ハカる」検証バラエティだ。また、「テレ東らしい」コンテンツ開発を進めるため、『金曜エンタ』(金、19:25~19:55)を新たにトライ枠として設置。とがった企画の番組を30分で順次試していく。土日の長寿特番枠はタイトルをリニューアル。『土曜ゴールデン』(土、18:30~19:54)と『日曜プラチナアワー』(日、18:30~20:50)とし、既存の枠に捉われない新たなコンテンツを投入する。このほか、アニメ『オッドタクシー』の脚本で知られる此元和津也によるオリジナルストーリーのミステリードラマ『シナントロープ』(月、23:06~23:55)や、Season3に突入する人気シリーズ『SPY×FAMILY』(土、23:00~23:30)など、見ごたえのあるドラマやアニメが目白押しだ。

フジテレビ 「for the NEXT(未来のために)」を共通テーマに

社内の人権侵害事案を受け、タイムテーブルの編成機能とコンテンツ流通機能を「コンテンツ戦略本部」、コンテンツ制作機能を「スタジオ戦略本部」の二つに集約させる組織改編を7月に行ったフジテレビジョン。現場の心理的安全性を確保したうえで制作環境を整備し、自由で未来志向のコンテンツ制作を軌道に乗せるため、今期のタイムテーブル上の改編は少なめだ。「for the NEXT(未来のために)」を共通テーマに、「若者の」「暮らしの」「多様性の」「誰かの」未来を応援し、課題解決につながるような企画を既存のレギュラー番組や特番などを通じてキャンペーン的に展開していく。その一環として、人気バラエティ『新しいカギ』(土、20:00~21:00)で高校生と芸能人が日本一を競うダンススタジアムを冬に開催し、若者たちの夢を応援する。プライム帯のドラマはキー局最多の5枠を今期も維持(関西テレビ放送が制作する1枠を含む)。沢口靖子が「月9」枠で初主演を果たす『絶対零度~情報犯罪緊急捜査~』(月、21:00~21:54)、三谷幸喜が25年ぶりに民放のゴールデン・プライム帯の連続ドラマを書き下ろす『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(水、22:00~22:54)、『最後から二番目の恋』シリーズの岡田惠和が脚本を手がけるホームコメディ『小さい頃は、神様がいて』(木、22:00~22:54)など話題作が並ぶ。『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』はNetflixを通じて世界への配信も決まっており、放送と配信を含めたマルチ展開を積極的に進めていく。このほか、これまで旧作ドラマを再放送していた平日午後の一部を関西テレビ放送制作の情報番組『旬感LIVE とれたてっ!』(月~金、14:48~15:42)に衣替え。同番組の後半(第2部)を関東圏でも放送する。15時台の情報番組の必要性と、既存の再放送ドラマへのニーズも大切にしたいとの判断だ。

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