「民放online」創刊にあたって

編集部
「民放online」創刊にあたって

日本民間放送連盟(民放連、会長=大久保好男・日本テレビ放送網会長)は2021年9月1日、ウェブマガジン「民放online」を創刊しました。放送に関するニュースや話題、研究者の論考など幅広いコンテンツを掲載していきます。

民放連は20年4月に事務局内にプロジェクトを設け、広報媒体のあり方の検討に着手しました。「紙媒体は今日の情報環境に合致しているのか?」という現状認識と、新型コロナウイルス感染拡大で拍車のかかったテレワークへの対応などがその背景にありました。
この間、民放連会員社の役職員を対象にアンケートを実施しました。寄せられた1557の回答の中には、「ウェブサイトを重視すべき」との意見が多数を占めました。「(紙媒体は)社内で回覧されるが、時間もなく、しっかり読むことは少ない」「一般向けの情報発信がこれからは重要になってくる。民放の持つ優位性=情報の信頼度や安心感をきちんと発信してほしい」......そんな意見も少なくありませんでした。これらも踏まえ、「機関紙『民間放送』の継続発行」「雑誌『民放』の休刊(21年3月号で休刊)」「ウェブ上に新媒体を創設」などの取り組みを決め、民間放送70周年記念事業の一環としてウェブマガジン『民放online』を創刊することとなりました。
『民放online』は雑誌『民放』の理念を受け継ぎ、①民放連活動の内外への周知、②民放事業に有益な情報の会員社間での共有、③民放の存在意義の社会へのアピール、④放送メディアをめぐる考察や研究を紹介し、議論の場をつくる――を基本方針に、会員社の人たちだけでなく、視聴者やリスナーも触れることができるウェブマガジンとします。
また、放送に関する情報や事実を伝えるだけでなく、フォーラム(議論の場)を提供する役割も果たします。放送(民放)をより良いものにしていくために、建設的な議論を行う必要があると考え、そのような議論の場を提供し、放送に関する意見を交わしあえるような媒体にしたいと思っています。

近年、放送の「立ち位置」が変化しています。NHK放送文化研究所が21年5月に発表した『国民生活時間調査2020』では、国民全体でテレビを見る人が減少しており、「16-19歳は、日中はテレビとネットが同程度、夕方以降はインターネットがテレビを上回る」という調査結果が報告されています。特に若年層の生活には、インターネットの存在がテレビよりも大きくなっていることがうかがえます。
その一方、民放連研究所が20年5月に実施した調査『新型コロナウイルス感染症拡大時における情報メディアの評価』では、テレビはニュースサイトやニュースアプリを含む他メディアに比べて「速報性」「わかりやすさ」ともに最も高く評価され、コロナ禍においても「タイムリーな情報をわかりやすく伝えてくれるメディア」として認識されています。さらに、同研究所が北海道胆振東部地震(18年9月)の際に実施した『メディア利用行動調査』では、62.3%の人から「ラジオが役に立った」との回答があり、他の情報源に比べて最も高く評価されました。ラジオは、地域の安心・安全のために欠かせない重要な役割を果たしています。
テレビやラジオは、インターネットが普及した現代においても、視聴者・リスナーにとって信頼できる、大切な存在であることに変わりはありません。そして、報道や情報の提供だけでなく、バラエティやドラマ、スポーツ中継など、日々の暮らしを楽しく豊かにする、生活に欠かせないメディアです。『民放online』では、そんな放送の魅力を伝えていきます。

ウェブマガジン『民放online』を創刊するにあたり、地域への貢献や災害時の安心・安全のための取り組みなど、放送が社会のために果たしている役割を広く伝えたいという思いを強くしました。放送を身近に感じ、応援してくれる人を増やすことが大切だと考えたからです。会員社にとって有益な情報を提供するとともに、会員社で働く人たちと、放送に関心をもつ人たちをつなぐ役割を持ったメディアを目指します。試行錯誤をしながら、そして多くの方々の声を聞きながら一緒に作っていきたいと思っています。

    2021年9月1日
    「民放online」編集長 古賀靖典

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