2023年4月12日、民放連のウェブサイトで動画「マンガでわかるテレビの広告効果」と資料「データでわかるテレビの広告効果」が公開されました。約7カ月にわたった製作の過程と、ちょっとした裏話をご紹介させていただきます。
「テレビの広告効果」を
「わかりやすく」伝えるには?
2022年7月に、民放連研究所による「テレビの広告効果」に関する調査研究報告会が開催されました。2021年11月―翌22年1月の3カ月間に及び、日本アドバタイザーズ協会のご協力の下、3社5商品(キャンペーン)について、テレビとネット動画広告のリーチから購買に至る各プロセスの効果と効率を測定したものです。パワポ資料51枚にわたる詳細な分析で、「テレビ広告の優れている点」や「ネット動画広告との役割の違い」など、テレビ営業マンにとって大変役に立つ調査結果が数多く報告されました(写真㊦は報告書の一部)。
この調査結果を「より多くのテレビ営業マン」が「日々の業務で簡単に活用できる」ように再構築してもらいたい、これがわれわれに課されたミッションのスタート地点でした。
データに
「興味を持ってもらい」「使ってもらう」
報告会で使用されたパワポ資料は、調査データを抜け漏れなく報告している一方で、分量が非常に多く、専門用語も多いため、マーケティングになじみのない人には読み解きが難しく、理解が困難。そこで検討チームが目指したのは、「調査データに興味を持ってもらう『入り口動画』を作る」「マーケティングになじみのない方でも無理なく使いこなせる資料を作る」という2つのアウトプットでした。
百聞は一見にしかず!
「マンガ」と「イラスト」を使おう!
「じゃあ、どうしたら難解な調査データに興味を持ってもらえるのか?」真っ先に思い浮かんだのは、子どものころ図書室でむさぼり読んだ『マンガ日本の歴史』シリーズ。当時、教科書は全く読む気がしなかったのに、マンガを使って「ストーリー仕立て」で「楽しく」読めるため、気軽に手に取ることができ、時間を忘れて内容に没頭できました。そして、そこから興味を持った時代や人物などをさらに深掘りして知識を深めていった......そんな原体験を持っている方は数多くいるに違いない! 「『マンガ』と『イラスト』を最大限押し出して、より多くの人に気楽に調査データに触れてもらおう!」――検討チームの進むべき道筋が決まりました。
「ベタが一番!」~初めての「マンガ動画製作」
まず検討チームが着手したのは「イラストを多用し簡略化したパワポ資料」の作成。より理解しやすい構成にするために、議論の末「資料のナビゲータとなる『ガイド役』を用意し、クレジットや論旨の展開、読み手のインサイトに寄り添う情報を補足する」という方向で製作がスタートしました。「イラスト資料」の製作にめどが立った22年11月初頭、いよいよ「マンガ動画製作」がスタート。さまざまな動画コンテンツ製作にかかわってきた検討チームの面々も「マンガ動画」は未知の領域。一抹の不安の中、手探りの作業が始まりました。
「まずはどんな演出プランで進めるか?」動画製作担当チームから上がってきたプランは「SF風」「時代劇」「歴史物」などなど多種多様でした。検討会では、どの案も笑いが絶えず魅力的で、侃々諤々(かんかんがくがく)意見が交わされましたが、最終的には「ベタが一番!」という理由で「ビジネスマンガ風演出」に落ち着きました。
「リアリティを求めて!」~シナリオ製作裏話
動画製作の実務を担当したのは普段番組などを作っている制作会社のスタッフ。もちろん、テレビ営業マンのセールス活動など知る由もありません。「このままではリアリティのあるシナリオは作れない!」そこで製作担当者たちは、自らのつてを使って、地方局の営業担当者などさまざまな人物にアプローチ。営業活動の実態を把握することからスタートしました。
動画本編でも登場する「自動車販売店社長」や「旅館の女将さん」とのシーンは、そのリサーチで取材した実話がベースとなっています。主人公も、当初は「テレビ局の営業局員」が主役でしたが、取材結果をもとに「広告会社担当者」に変更するなど、担当者たちの「リアリティへのこだわり」が動画のクオリティを一段も二段も上げてくれました。こうした製作者の陰の努力を感じながら動画をご覧いただくと、また違った楽しみ方ができるのでは、と思います。
より多くの興味を引くために!
~民放アナウンサー夢の競演
「マンガ動画」の一番の目的は「より多くのテレビ営業関係者に動画を見ていただくこと」です。どうしたら「みんなが見たくなるようなプレミアムな価値」をつけることができるのか?そこで浮かんだアイデアが「民放各局のアナウンサーに声の出演をしてもらおう!」というもの。まさに民放連施策ならではの「人気アナ・アベンジャーズ企画!」。在京各局のご協力もあり、民放テレビを代表する実力派アナの皆さんにご参加いただけることになりました(写真㊦)。
2023年3月に行われたアフレコのスタジオは、まさに『アベンジャーズ』の舞台さながら。「とにかくビックリするくらいNGを出さない!」と、製作担当者もアナウンサーの皆さんのプロフェッショナルな仕事ぶりに舌を巻いていました。ご参加いただいたアナウンサーの皆さんも収録を楽しんでいただけたようで、「こんな感じはどうですか?」「もう少しこんな声も出せますが!」など、積極的にアイデアを出してくださり、その場でマンガのキャラクターにどんどん「命が吹き込まれてゆく」様は圧巻の一言でした。
主役は「あなた」
~資料や動画をどんどん活用してください!
動画の主人公の名前は「飯野大(いいの・だい)」。実はこのキャラクター名には「(民放テレビマンの皆さん、)このままで『いいの?』」という思いが込められています。「時代はネットでしょ?」「テレビはパワーなくなってきたんでしょ?」そんな声が各所で聞かれるようになった今、「テレビのチカラ」を伝えていく伝道師は、この動画を目にし、資料を手にした「あなた」です。
データはあくまで道具にすぎません。その道具を生かすも殺すも、それを手にした私たち次第です。主人公「飯野大」のように、動画や資料、データを使いこなして、みんなで「テレビのミライ」を切り拓いていきましょう!