米メディア バイデン、トランプの両氏にテレビ討論会への参加求める

編集広報部
米メディア バイデン、トランプの両氏にテレビ討論会への参加求める

4大テレビネットワークを中心とした米国の主な報道機関12社は4月14日、ジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領に候補者討論会のテレビ中継への参加を求める共同声明を発表した。1960年のケネディー対ニクソンで始まった大統領候補者討論会。「民主主義国家である米国の伝統行事。76年に恒例化して以来50年間、有権者の意思決定に重要な役割を担ってきた」としている。ABC、CBS、NBC、FOXの4大ネットに加え、CNN、FOXニュースのケーブルニュース局、AP通信、USAトゥデーなどの通信・活字メディアが名を連ねる。

4月中旬の段階で民主・共和の両党とも正式な候補者をまだ決めていない。しかし、事実上は民主党がバイデン氏、共和党はトランプ氏と2020年と同じ顔ぶれの対決となる模様だ。

討論会は1976年から2016年まで当然のように行われていただけに、テレビ局にとって一連の選挙報道のなかでも最も多くの視聴者数を上げるドル箱イベントだ。過去最高の視聴者数を上げたのは、16年の民主党ヒラリー・クリントン候補と共和党トランプ候補の討論会で、延べ8,400万人の視聴者数を記録した。20年のバイデン対トランプは平均6,800万人。いずれも、党大会中継や一般教書演説中継をはるかに超える視聴者数だ。

テレビ討論は11月の総選挙前に3回行われるのが通例だが、異変は2020年に起きた。1、2回目ともトランプ氏による暴言やバイデン氏への発言妨害が目立ち、さらにトランプ氏は3回目の参加を土壇場で拒否した。こうしたなか、今年は討論会が開催されるのかさえ危ぶまれていた。それでも、非営利・超党派の大統領候補討論会委員会(CPD/Commission on Presidential Debates) はすでに9月16日、10月1日、9日に開催する日程を決めている。

バイデン氏は討論会への参加を否定していないが、確約は避けている。今年3月時点で「出るか出ないかは、トランプ氏の態度次第」と話していた。討論会にはCPDが定めるルールがあるが、トランプ氏が登壇してしまえばルールなど無視するであろうことをバイデン陣営は懸念している。一方のトランプ氏は共和党候補者による党内討論会への参加は全て拒否。しかし本番の対バイデン討論会には「いつでもどこでも出る」と豪語している。

政治をめぐる報道が二極化するいま、両党候補者が真っ向から対決する大統領討論会の生中継は、各候補者のありのままの姿とその立ち位置をテレビ画面に直接映し出すということ。ニューヨーク・タイムズ紙は「それ自体が、メディアや有権者だけでなく民主主義にとって貴重なイベント。それをいま一度、認識する必要がある」と指摘している。

最新記事