広島テレビ放送のドキュメンタリー番組『碑』をコミック化 『漫画 いしぶみ』出版

編集広報部
広島テレビ放送のドキュメンタリー番組『碑』をコミック化 『漫画 いしぶみ』出版

広島テレビ放送が1969年に放送した『碑』をコミック化した『漫画 いしぶみ 原爆が落ちてくるとき、ぼくらは空を見ていた』がポプラ社から出版された。被爆体験の継承が難しくなっていることを踏まえ、漫画という手法が若い人に伝える一助になればと、広島テレビ放送から広島市立小中高校など212校に寄贈された。増刷も決まったという。

『碑』は、爆心地から約500メートルの本川の土手で被爆した広島二中一年生323人が亡くなった事実を遺族への取材で明らかにし、証言や手紙をもとに、彼らがどのように爆発の瞬間を記憶し最期を迎えたのか、俳優の杉村春子さんが朗読で伝えるドキュメンタリー番組。これまでに同番組をもとにつくられ教科書にも掲載された書籍『いしぶみ』の出版(1970年)、監督は是枝裕和さん、主演は綾瀬はるかさんによるリメイク版『いしぶみ』の放送(2015年)と映画化(2016年)など、形を変えて発信してきた。被爆から80年が経過し、戦争を知らない世代に語りかける方法として、朗読や映像とは異なる「絵と文字」による伝承に挑戦したもので、広島テレビ放送の被爆80年企画「NEVER AGAIN~つなぐヒロシマ~」の取り組みの一環。

コミック化にあたっては、これまでの作品では描いてこなかった風景や服装、乗り物などは時代考証を通じてより忠実に表現しているほか、ガソリン車が少なく石炭車が主流だったことや路面電車の座席が戦時中は取り外されていたことなど、細部にわたる検証と修正を繰り返し、今を生きる子どもたちが"自分ごと"として読める作品にしたという。

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<杉村春子さんが朗読した『碑』(1969年)㊧ 綾瀬はるかさんが朗読した『いしぶみ』(2015年)㊨>

広島テレビ放送でコミック化を企画した佐藤宏取締役東京支社長は「『いしぶみ』は半世紀以上にわたり、姿を変えながら命の記録を伝えてきました。被爆者の平均年齢が86歳を超え、直接お話を聞くことが難しくなる今、過去の番組や書籍を、現代の感受性に届く形で伝え直すことがますます重要になっていると感じます。直感的に伝わり、記憶を深く刻む力を持つ漫画が、若い世代にとって記憶を受け継ぐきっかけになればと願っています」とコメントを寄せた。


『漫画 いしぶみ 原爆が落ちてくるとき、ぼくらは空を見ていた』
原作 : ‎ 広島テレビ放送編『いしぶみ』
漫画 : ‎ サメ マチオ
出版社 : ‎ ポプラ社
発売日 : ‎ 2025年7月16日
ISBN : ‎ 978-4-591-18632-9
単行本 : ‎ ‎ 223ページ

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