2022年民放連賞最優秀受賞のことば(ラジオエンターテインメント番組) 西日本放送 街の小さな文学賞 特別版 ~ラジオストーリープロジェクト~

出石 亜弥
2022年民放連賞最優秀受賞のことば(ラジオエンターテインメント番組) 西日本放送 街の小さな文学賞 特別版 ~ラジオストーリープロジェクト~

香川県高松市にある小さなカフェバー「珈琲と本と音楽 半空(なかぞら)」が主催する「半空文学賞」。

本好きのオーナー岡田陽介さん(=写真㊧)が店内で文章を書いている人を見て「何を書いているのか読んでみたい」と、好奇心を抱いたところから誕生した文学賞です。

2015年に「珈琲」というテーマで第一回がスタート。その後、「音楽」「ことでん(地元香川の私鉄)」「家族」「丸亀城」と回を重ね、21年は岡田さん自身がコロナ禍の中、ラジオを聴く機会が増えたことを理由に、テーマが「ラジオ」となりました。募集の条件はA4用紙1枚に収まることだけ。その気軽さから、店の客だけでなく今では全国各地から作品が集まります。

私が前々から「半空文学賞」の取り組みに興味があったこともあり、21年1月から月2回のレギュラー放送を経て、入選作を朗読するという形で特別番組を制作しました。

香川県でひっそりと行われている手作りの文学賞だからこそ、集まった作品は、自由でバラエティに富んでいます。不思議なもの、ヒヤッとするもの、ほろりとくるもの...... "コロナ"というワードを含み、今を表現したものもありました。

「カフェで隣に座っている人が、この作品の作者かもしれない」――そんなワクワクを感じさせてくれる身近さが、この文学賞の魅力でありラジオに通じるところかもしれません。そして、その魅力が番組でストレートに伝わったのは、半空文学賞に造詣を深め、朗読に挑んでくれた西日本放送アナウンサーのおかげです。

個人的には、朗読番組にしたことで"効果音"や"BGM"の大切さを再認識しました。書き手の思いや読み手の間(ま)を邪魔しない音選びは、一番苦労し、こだわった点でもあります。タイミング・選曲・音量......聴いていて心地よい瞬間を自分なりに追求していき、今後もラジオの楽しさを届けられるよう努力してまいります。

このたび頂いた賞は、半空文学賞に関わった方々に贈られたものでもあると思います。あらためて感謝申しあげます。

現在募集中のテーマは「おへんろ」です(応募は1231日まで)。どんな作品が集まるのか、今からとても楽しみです。


・各部門の審査結果はこちらから。
・番組部門(ラジオエンターテインメント番組)の審査講評はこちらから。

最新記事