2022年秋のローカルテレビ改編(午前・午後帯) 地元のまだ見ぬ魅力発見を目指す

編集広報部
2022年秋のローカルテレビ改編(午前・午後帯) 地元のまだ見ぬ魅力発見を目指す

民放onlineは今秋のローカル新番組について、地上民放テレビ127社にアンケートを行った。今回は午前・午後帯の番組を紹介する。地元のスイーツを取り上げるミニドラマや、新しい目線で地域情報を発信する番組のほか、サッカーチームや県との連携企画などに取り組む事例もみられた。

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スイーツ・食材を活かす

地域の飲食店や農産物を活かした番組が始まった。秋田放送は『ぼなぺてぃ。~召し上がれ♪秋田のお菓子たち~』(=写真㊤、日、1145―1155)で県内のスイーツを紹介。同社は新型コロナ感染拡大をきっかけに、2020年から地元企業や飲食店の応援番組を放送しており、これまでに飲食店のテイクアウト、県内旅行、酒蔵を取り上げている。第4弾となる今回は、ドラマパートとお菓子の解説パートを織り交ぜた構成のミニ番組に挑戦。TVerの見逃し配信では県内外からも大きな反響を得ているという。三瓶晃司・取締役編成局長は「配信開始1カ月でTVerのお気に入りの登録数が5,000を超えるなどの反応があって驚いた。時間が短く、見やすいことも要因の一つだと思う」と手応えを語る。

地元の豊富な農畜産物をピックアップするのは、鹿児島テレビ『カゴシマンスパイスカレー!!』(火、1120―1125)。昨今注目を集めているスパイスカレーのオリジナルレシピを、料理ユニット「東京カリ~番長」のリーダー・伊藤盛さんが鹿児島の食材を使いながら紹介する。レシピはYouTubeと番組サイトでアーカイブし、視聴者が見直しやすいようにしている。

新たな目線で届ける

これまでとは異なる着眼点で、地元の魅力を取り上げる番組が並んだ。今年で本土復帰50年を迎えた沖縄。その間に誕生した観光地や産業を取り上げるのが沖縄テレビ『ぐしけんさん』(日、8・30―8・55)だ。今年放送した特別番組『オキナワ強者(チューバー)列伝』に具志堅用高さんを起用したことが番組立ち上げのきっかけに。復帰後すぐに上京したために沖縄の変容を知らない具志堅さんならではの視点で地域の魅力を伝える。YouTubeで見逃し配信を行い、公開1日で再生数が1万回を超えるなど県内外から注目を集めているという。編成局編成運行部の稲福和美氏は「番組オリジナルの顔出しパネルを作成し、今後各地を巡る予定。県産物とのコラボ商品開発にも取り組んでいきたい」と意気込む。

来年9月に開局40周年を迎えるテレビ愛知は、地元民への感謝を込めて県内の全69市区町村を巡る『乃木坂46 佐藤楓 音色遺産~愛知69市区町村の音集め~』(=写真㊦、月金、1726―1730、日、22482254)をスタート。今までと違った目線で各地域の良さを再確認することを目的に、その街でしか聞けない"音色"を拾い、音を最大限に活かした番組づくりを行う。番組を担当する編成部の足立奈都子氏は「番組で登場した場所を訪れたというファンからの声も届いている。動画配信サービスLocipoで全話配信しているので、回を重ねるごとに見ごたえが出てくると思う」としている。

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山形県に全くゆかりのないモノマネ芸人JPさんを起用したさくらんぼテレビ『どどどどっとJP』(第1土、10・25―11・00)は、地元では当たり前の観光地や食べ物などを新鮮な目線で伝え、魅力の再発見を狙う。地上波放送と配信のどちらでも楽しんでもらえるよう、35分の番組をTVerやFODの配信では約15分に再編集し、見やすいよう工夫している。1回目の放送後、地元の中学校の校長から学校訪問のオファーがあるなど、早速各方面から反応も。番組を担当する鎌上公志編成業務部主任は「配信とSNS、リアルをつなぐ起点になるような番組にしていきたい」とコメントした。

新潟放送は、県内に移住してきた人の暮らしぶりを紹介する『おむすびチャンネル Nターンズ』(日、11・24―11・30)を、過疎化や少子高齢化などの地域課題の解決を目的にスタートした。新潟へのUターンやIターンを促進すべく、新潟に移住して新しいことにチャレンジしたり、地域コミュニティの生成につながる活動を行う人々"Nターンズ"を取り上げる。金山英功編成部長は「移住者と移住を考えている人が出会う場をつくりたい。地域の可能性や課題を探求する仲間が増え、プロジェクトが生まれる循環ができれば」と期待している。

ダンスやスポーツで街を元気に

ダンスやスポーツを通じて地域の活性化を目指す局も。朝日放送テレビは航空会社Peach Aviationとレコード会社エイベックス・エンタテインメントと共同で『SAM&DJ KOO 街ブラdeダンス!』(=写真㊦、月―金、4・25―4・30〔水、4・12―4・17〕)を開始。来年2月にデビュー30周年を迎えるダンス&ボーカルグループTRFのメンバーのSAMさんとDJ KOOさんが全国各地を巡り、地域創生と健康増進という社会課題解決に挑戦する。各地域の人や風土、歴史に触れながら、番組の最後に住民とダンスエクササイズを行う。初回は京都の京丹後市を巡り、ダンスには市長や60―70代の住民、子どもたちなど幅広い年代が参加した。番組をきっかけに2人は同市の「いきいき健康長寿応援大使」に就任するなど盛り上がりを見せている。

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また、テレビ埼玉でもSAMさんが出演する番組がスタートした。『SAM考案!コバトン健康ストレッチ』(月―金、5・40―5・55)は、県による健康づくりを進める事業「埼玉県コバトン健康マイレージ」の周知を目的としている。スマートフォンなどを使いウォーキングすることでポイントが貯められる同事業。コロナ禍に室内でもポイントを獲得できるよう、事業のPR大使を務めるSAMさんが考えたストレッチを曜日ごとに放送している。同局は事業に関連して、番組以外にもフットサル大会やダンスコンテストなども実施している。

日本サッカー協会と日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)はローカル局との連携プロジェクトを始動した。来年4月から本格的に取り組むべく、この10月からトライアルとして、福島中央テレビ、チューリップテレビ、南海放送、テレビ熊本、鹿児島放送の5局で番組がスタート。福島中央テレビ『KICK OFF! FUKUSHIMA』(日、6・00―6・15)は福島ユナイテッドFCといわきFCの2チーム、チューリップテレビ『KICK OFF! TOYAMA』(日、6・30―6・45)はカターレ富山といった地元のクラブチームや、サッカーに取り組んでいる子どもなどの幅広い情報を発信し、地域でのサッカーの普及を目的とする。番組で盛り上げを図った試合で、今季最高の入場者数を記録したチームもあったという。

コロナ禍をきっかけに人気が再燃しているゴルフ番組が今秋も始まった。アマとプロがペアになってチーム戦を行う南海放送『女子プロ木本若菜の真剣Golf!』(日、7・00―7・30)は、番組独自のルールを取り入れながら、ゴルフの戦略などを紹介する。琉球放送『ワンクラップpresents GOLF BEAT』(日、6・30―6・45)は、沖縄のタレントの横山胡桃さんと古謝わかなさんのゴルフ女子2人が楽しさを伝える。

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