在京テレビ5社がテレビの魅力を広告主・広告会社にアピール 初の「テレビカンファレンス2023」開く 

編集広報部
在京テレビ5社がテレビの魅力を広告主・広告会社にアピール 初の「テレビカンファレンス2023」開く 

在京民放テレビキー5社(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)は11月22日、テレビメディアの魅力を広告主や広告会社の担当者にアピールする目的で「テレビカンファレンス2023」を東京の恵比寿ガーデンプレイスで開いた。テレビへの広告出稿に関心のあるスポンサー企業や広告会社から317人が来場、オンラインの配信には960人と、合わせて1,200人を超える参加があった。5社からは番組クリエーターらが勢ぞろい、制作秘話やビジネスの視点からテレビの媒体としての有用性を訴えた。

同日の午後をまるまる使ったプログラムは7部構成と盛りだくさん。まず、「今、あらためて、広告主が考えるテレビメディアの価値」と題してサントリーホールディングス宣伝部の堀田晶子部長が基調講演した。続いて「報道」「アナウンサー」「ドラマ」「ビジネス」「帯番組」「バラエティ」の6つのテーマでトークセッションを行い、各局の最前線で活躍する制作者らが登壇した。総合司会は日本テレビのラルフ鈴木アナウンサー、各セッションの進行はフリーアナウンサーの笠井信輔(元フジテレビ)、枡田絵理奈(元TBSテレビ)の両氏が交代で務めた。

「報道」のセッションは、テレビ朝日『報道ステーション』とテレビ東京『ワールドビジネスサテライト』の、日ごろ同一時間帯で火花を散らす柳井隆史、石原淳子の両プロデューサーが登壇。ネットニュースなど情報の洪水のなか、「足で稼いだ情報をもとに、どこの誰が何を言っているのか」を冷静に見極めながら、「ホンモノのニュースを伝えていきたい」とテレビニュースの優位性を訴えた。

安村直樹、寺川俊平、田村真子、片渕茜、井上清華の5社(チャンネル順)の"顔"が勢ぞろいしたのが「アナウンサー」のパート。スポーツ実況や朝のワイド、バラエティ、経済ニュースとそれぞれが得意とする分野への心構えを披露しながら、「伝えるとは何か」をめぐって意見交換した。ここで異口同音に発せられたのが「テレビはいろいろな方が見ている。その人たちの心を傷つけないような安心感を与えられるようになりたい」という姿勢だ。

「ドラマ」のパートには、昨年から今年にかけて大きな話題を呼んだ『VIVANT』(TBSテレビ)と『silent』『いちばんすきな花』(フジテレビ)から飯田和孝、村瀬健の両プロデューサーが登場。配信やSNS隆盛の時代に地上波テレビのドラマの強みを「多くの視聴者がリアルタイムで同じ番組を見て、それぞれが異なる感情を持つこと」「次の回が待ち遠しい!と思えるような、週1回の特性にある」と表現。スポンサーには「大切な制作費を預かっている"ものづくり"の仲間」と謝辞を述べた。

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<「いつかご一緒に仕事を」と飯田、村瀬の両プロデューサー

「ビジネス」のセッションは5社の営業開発担当者がそれぞれイチオシのスポンサー向けサービスを紹介した。番組IPを活用したブランドのイメージアップ、番組連動CMのマルチメディア展開、1社提供によるマッチング効果、180秒CM、マルチスタンバイCM――テレビCMの多様で効果的な使い方を提案。これらは会場前のロビーでも各社が模擬店形式でブースを出し、希望者にはより詳しいプレゼンテーションを行った。

「帯番組」のセッションは『ZIP!』(日本テレビ)、『ラヴィット!』(TBSテレビ)、『めざましテレビ』(フジテレビ)と平日朝の同時間帯にしのぎを削る番組のプロデューサー(石村修司、小林弘典、高橋龍平の3氏)が登壇。ライバル番組の個性をお互いに称え合いながら、「"いま"という時代を、あらゆる世代をつないて共有できる無限の可能性を秘めている」と朝番組の魅力や可能性を訴えた。

トリは「バラエティ」のセッション。『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ)の三浦伸介(総合演出)、『アメトーーク!』(テレビ朝日)の加地倫三(エグゼクティブプロデューサー)、『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京)の鈴木拓也(プロデューサー)の3氏が「コンテンツ過多時代のテレビバラエティ」をめぐって、それぞれの番組展開さながらのテンポでトークを繰り広げ、場内は爆笑の渦に。ドラマのセッションと同様、ここでも視聴者が時間を共有できるテレビの"リアルタイム性"こそ最も大きな武器だという声が相次いだ。

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<「テレビはまだまだもっと楽しくなる」とバラエティづくりの精鋭たち

初めての開催となった今回の催し。ウェブを中心に動画広告市場が伸長するなか、これまで当たり前のように必要とされてきたテレビの魅力をあらためて自ら直接、再発信する場を――と今年4月に5社の営業推進部長の集まりで発案され、定例会議を重ね準備を進めてきた。日ごろはお得意先の獲得でライバルとなる各社だが、「各局が切磋琢磨する"競争領域"と、共に仲間として業界を盛り上げていく"共創領域"の2つの"キョウソウ"概念を持つことに何の異論もなかった」と今回の幹事社を務めた日本テレビの担当者。5社でひとつの解を出すため、時には定例会議が3時間を超えるときもあったという。

参加者からは「ドラマのパートは広告主への思いも聞けてうれしかった」「帯番組、アナウンサー、報道それぞれのパートで伝えるための熱意と緻密さが伝わってきた」「バラエティのパートでは丁寧な番組作りの姿勢がうかがえた」――など参加者からも好評。登壇者も「普段つながりの少ない広告主や広告会社の方々にお話しさせていただけたのはとても貴重で、ありがたい機会」「これほどしっかりしたイベントなら、自身の担当番組で放送したかった」との手応えも。この成果を踏まえ、5社は2回目に向けて前向きに検討したいとしている。

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