放送日誌 2025年6月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2025年6月分を掲載。

【民放連】
6.3 民放連、自民党・情報通信戦略調査会「放送法の改正に関する小委員会」のヒアリングに出席。放送事業者の持続可能性をテーマに堀木卓也専務理事は、「放送事業者の自主自律を堅持し、デジタル社会の進展に合わせて放送の役割を再確認し、アップデートする必要がある」としたうえで、①放送の将来像、②事業の持続可能性、③政府の支援、④放送の概念の見直し──などの考え方を示した。同日は民放連と東日本放送・鹿児島テレビ放送、同4日はテレビ朝日・TBSテレビ、同9日は日本テレビ放送網・NHKがそれぞれヒアリングに出席した。

6.5 営業委員会、広島市で「2025年度第1回ローカルテレビ営業開発セミナー」をオンライン配信も併用して開催。現地参加を含めて、107社676人からの参加申し込みがあった。ローカルテレビの価値向上や各社の営業開発の参考となる情報を共有する。

6.9 放送計画委員会、「2025年度視聴データの周知広報と利活用に関するフォーラム」をオンライン形式で開催。113社507人の参加申し込みがあった。各社で視聴データの利活用を推進する一助とする。

6.11 「民放連・緊急人権アクション」、「民放各社の自主調査結果(最終集約)」を民放連公式ウェブサイトで公表。5月16日に公表した第1次集約分を含め、フジテレビと同様の事案(番組出演者や出演者の関係者との会合において、「性暴力」による重大な人権侵害を起こした事案)はなかったが、本調査において事実認定ができない回答が2社含まれていたほか、複数の社から会食等で不快な思いをしたとの事案やハラスメントに関する事案が確認された。なお、民放198社は社内調査の結果を自社のウェブサイトで公表。

6.13 2025年度定時総会を開催。2024年度の事業報告を了承、同決算および理事1人の選任を承認。

6.13 2025年度第2回理事会を開催。▶「民間放送におけるビジネスと人権対応ガイドブック」の作成▶映像コンテンツ権利処理機構(aRma)とのテレビ番組の同時配信に関する基本合意▶常勤理事および外部監事の報酬▶臨時総会の開催▶事務局職制の変更等――を承認。人権尊重・コンプライアンス等特別委員長の報告を了承。

6.13 緊急対策委員会に「ガバナンス対応特別プロジェクト」を設置。早河洋会長が主査を務め、委員は在京テレビキー局の副会長で構成。民放事業者におけるガバナンス確保のあり方について検討する。

6.13 「民放連・緊急人権アクション」の一環として、第1回「人権に関する講演会」を開催。「ビジネス推進の現場における人権尊重の必要性と実践方法」をテーマに会員各社の経営トップなど184人が参加した。また同日、「民間放送におけるビジネスと人権対応ガイドブック」を公表。会員各社が人権尊重の取り組みを進める際の参考とする。

【放送・マスメディア】
6.4 NST新潟総合テレビが記者会見で関東信越国税局の税務調査で2018年から6年間の費用計上をめぐり所得隠しを受け、税務当局の指導に従い修正申告を行ったとして酒井昌彦社長が陳謝した。

6.5 フジテレビジョンが港浩一前社長・大多亮元専務取締役を提訴する方針を発表。中居正広氏めぐる問題や報道局ハラスメント事案を受けた同社員ら6人への処分も発表。

6.16 日本アドバタイザーズ協会〔JAA〕、日本広告業協会〔JAAA〕、日本インタラクティブ広告協会〔JIAA〕、デジタル広告品質認証機構〔JICDAQ〕の4団体、「デジタル広告の『今そこにある危機』――総務省ガイダンスから読み解く、知っておかなければならないリスクと求められる対応」と題したセミナーをオンラインで開催。

6.18 JCOMがBS松竹東急の全株式を取得して完全子会社化することを発表。7月1日からBS松竹東急の会社名は「JCOM BS株式会社」、BS260chのチャンネル名称は「J:COM BS」に変更し、放送を継続する。

6.18 NHK、10月1日からインターネットを通じた番組の配信などが必須業務となることに伴い、新ネットサービスの名称を「NHK ONE」にすると発表。

6.20 日本テレビ放送網、記者会見で福田博之社長がタレントの国分太一氏の出演番組降板を発表。過去にコンプライアンス上の問題行為が複数あったことを受けて、番組『ザ!鉄腕!DASH!!』の出演を継続することは適切でないと判断した。▶ほかの民放各局も同氏の出演番組降板を発表▶所属事務所は同氏の無期限活動休止を発表。

6.25 フジ・メディア・ホールディングス〔FMH〕の定時株主総会を開催。会社側提案11人の取締役候補者を選任する案を可決。同日付で清水賢治社長(フジテレビジョン社長)がFMH社長に就任。

 【行政・海外】
<行政等>
6.4 不正を内部通報したことを理由に従業員を解雇や懲戒処分にした個人や法人に刑事罰を科すことなどを盛り込んだ「改正公益通報者保護法」が参議院本会議で賛成多数で可決・成立した。同改正法は6月11日に公布。

6.11 公正取引委員会、日本野球機構〔NPB〕に対し独占禁止法違反のおそれがあるとして警告。NPB主催の「日本シリーズ2024」放送と重なる時間帯にフジテレビが米メジャーリーグ〔MLB〕のワールド・シリーズの放送を行ったことに対し、NPBが取材許可証の回収や取材の制限、同局放送予定の日本シリーズ第3戦の中継を他局と調整を進めるなどしてMLBとの取り引きを妨害した疑いがあるとした。

6.27 総務省「放送事業者におけるガバナンス確保に関する検討会」の初会合を開催。フジテレビジョンをめぐる一連の問題を背景に主に地上民放テレビを念頭に必要な方策を検討する。検討項目は、▶放送事業者に求められるガバナンスの具体的内容▶ガバナンスの実効性確保のための具体的方策▶具体的方策の実施に当たり、放送事業者・業界団体・国等がそれぞれ果たすべき役割――など。同省事務局からは、①放送免許に関する制度、②放送事業者のガバナンスに関する最近の動き――など。オブザーバー出席した堀木卓也専務理事はヒアリングで、人権尊重、コンプライアンス徹底、ガバナンスの確保に関する民放連の現下の取り組みとして、(1)「民放連・緊急人権アクション」の実行、(2)民放事業者のガバナンス確保の方策に関する検討――などの考え方を示した。2025年11月に取りまとめ案を策定する。

<海外>
6.9 米メディア大手ディズニーとコムキャスト傘下のNBCユニバーサル〔NBCU〕、NBCUが保有する動画配信サービス「Hulu」の株式33%分を4億3,900万㌦(約630億円)の追加額でディズニーが買い取ることに最終合意。これによりディズニーはHuluの全株を保有する親会社となる。

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