放送日誌 2025年8月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2025年8月分を掲載。


【民放連】
8.1 総務省「広域大規模災害を想定した放送サービスの維持・確保方策の充実・強化検討チーム」取りまとめ案に対する民放連意見を提出。主に▶放送設備の耐災害性に関する提言は妥当▶情報アクセス手段の多様化と重層化は行政を含むステークホルダー全体で今後も継続的に検討を深めていくべきテーマだ――などを述べた。

8.7 総務省「放送事業者におけるガバナンス確保に関する検討会」第3回会合に堀木卓也専務理事が出席し、会員社数、民放の上場に関する状況、地上テレビ社(127社)およびラジオ単営社(67社)の売り上げ規模と従業員数を説明。このほか、ガバナンス向上の指針や仕組みについて各社の自主性を尊重する考え方を念頭に検討を進めたいとした。


【放送・マスメディア】
8.7 読売新聞東京本社、大阪本社、西部本社の3社、生成AI(人工知能)を使った検索サービスを提供する米新興企業パープレキシティが同サービスに読売新聞の記事を無断で利用しているとして、記事の利用差し止めと計約21億6,800万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。同28日、日本経済新聞社と朝日新聞社も同様の訴えを共同で起こした。

8.18 6月6日に公開された映画『国宝』が国内興行収入100億円を超えたことを発表。実写邦画では22年ぶり。

8.28 フジテレビジョン、一連の人権への対応をめぐる問題で港浩一元社長と大多亮元専務に対し50億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。


【行政・海外】
<行政等>
8.7 内閣府、「南海トラフ地震臨時情報」の防災対応ガイドラインを改訂。前年の「巨大地震注意」の初発表をふまえ、臨時情報の基本的考え方の記載、臨時情報発表時にとるべき対応などの記載を充実させた。

8.26 総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の下部組織「放送・配信コンテンツ産業戦略検討チーム」の取りまとめを公表。放送・配信コンテンツの製作力強化・海外展開推進に向け、▶「企画・開発」、「製作」、「権利処理」、「流通」の各製作工程ごとの課題や、「人材」「DX」の横断的課題への対応策▶官民の推進体制として関係者による協議会を設置し強化促進プランを策定すること▶NHK還元目的積立金を活用しファンディング機関を設けること――などを提言。

8.29 総務省、2026年度予算の概算要求を発表。一般会計要求額は19兆884億円で25年度予算額から2,977億円の減少。地方交付税等財源繰り入れや恩給費を除いた政策的経費は4,032億円で同549億円減少。このほか、「重要政策推進枠」として315億円を計上。放送関係の新規事業予算として、▶「放送・配信コンテンツの企画・開発強化事業」2.0億円▶「放送・配信コンテンツにおける横断的課題の解決促進事業」5.0億円▶「災害情報共有システム(Lアラート)による災害情報の確実な伝達の推進」0.2億円(2026年12月から同省がLアラートを運営。2.0億円をデジタル庁が計上)――をそれぞれ計上した。*1,000万円未満は四捨五入。

<海外>
8.1 米公共放送機構〔CPB〕が政府助成金打ち切りで閉鎖する意向を表明。全米の公共テレビ局〔PBS〕と公共ラジオ局〔NPR〕への支援を制度的に担ってきたCPBは9月30日に一部の移行チームを残して閉鎖される。

8.7 米パラマウントとスカイダンスが合併完了。新会社「Paramount Skydance Corporation」が発足。

8.14 オリンピック初の競技会場のネーミングライツ(スポンサー命名権)導入を発表。2028年の米ロサンゼルスで開催されるオリンピックとパラリンピック〔LA28〕に米政府は直接資金を拠出しないため、LA28組織委員会は71億㌦(約1兆460億円)規模の予算全額を民間資金で賄う。組織委が掲げるスポンサー収入目標は25億㌦とオリンピック史上最大規模を見込む。

8.26 米Netflixが2026年「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」全47試合を日本国内で独占配信すると発表。日本国内でNetflixがスポーツのライブ配信を行うのは初めて。

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