ニッポン放送『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』 あくまでもラジオだ! 開催までの1年間で機運醸成

編集広報部
ニッポン放送『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』 あくまでもラジオだ! 開催までの1年間で機運醸成

ニッポン放送は2月18日、番組『オードリーのオールナイトニッポン』のイベント「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」を開催した。東京ドームには5万3,000人が来場し、全国の映画館などでのライブビューイングで5万2,000人、配信では5万5,000人が画面をとおしてライブを楽しんだ。※冒頭写真©ニッポン放送

イベント当日の模様と、イベントまでの取り組みなどを振り返る。


全員の熱量があるからこそ

イベント内容の事前告知は一切なく、当日何をするのか分からなかった。にもかかわらず、チケットの争奪戦は熾烈をきわめ、リトルトゥース(リスナーの呼称)の熱量がうかがえた。それに呼応するように、主催側はチケット転売への対策を実施。転売された一部チケットを特定し、無効としたうえで、その分を再販売した。

15時30分の開場前から大勢のリトルトゥースが東京ドームシティにあふれ、朝から訪れていた人もいたようだ。番組の協賛企業の応援も見られ、オードリーをCMに起用している転職サイト「type」は、都営三田線「春日駅」と東急世田谷線「若林駅」に特別デザインのポスターを用意した。このほか、来場者特典として、サトウ食品による特別仕様のパックご飯「サトゥーのごはん」や、大昭和紙工産業による特別デザインの紙袋などが配布された。

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<都営三田線「春日駅」A6出口付近のポスター※筆者撮影>

会場に入ると、リトルトゥースが東京ドームを埋め尽くしていた。普段は一人で番組を聴いているが、この日は一堂に会し、これから2人のトークを聴くと思うとワクワクが止まらなかった。

17時30分の開演時間になると、星野源さんがこのイベントのために書き下ろした楽曲「おともだち」に乗せたアニメVTRと、オードリーの登場VTRから始まった。若林さんはメインステージから登場し、イベントに向けた体力づくりのために乗り始めた自転車で会場内をまわった。春日さんはチーム付け焼き刃(番組スタッフの呼称)を引き連れて入場。2人は会場の中央に設置されたラジオブースに登壇し、若林さんは「こんばんは、ラジオモンスターです。今日はラジオやります」、春日さんは「東京ドーム、カスミン」とあいさつした。

感動や高揚感のある登場から一転、ブースに座ると普段と変わらないオープニングトークが始まった。会場中央でいつもの2人のトークが繰り広げられ、それを囲むように会場のリトルトゥースたちが耳を傾けていた。ライブビューイングが行われていた映画館でも笑い声に包まれていたそうだ。その後、それぞれのトークゾーンへ。それぞれ、番組でもなじみがある自転車(若林さん)、思い出の町中華(春日さん)をテーマに、「この日のために仕込んできたのかな」と思わせるようなエピソードを展開した。

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<ラジオブースでトークするオードリー ©ニッポン放送>

次にそれぞれのメイン企画を実施した。春日さんはゲストのフワちゃんとプロレスマッチ。若林さんはDJプレイを披露し、終盤には星野源さんが登場。若林さんと星野さんが出演していたNetflix『LIGHTHOUSE』で書き下ろした楽曲「Orange」や、2021年9月7日放送の『星野源のオールナイトニッポン』に若林さんがゲスト出演した際にも2人がセッションした楽曲「Pop Virus」を披露。「Pop Virus」ではこの日のために若林さんが新たに用意したラップで会場を沸かせた。その後、コーナー「死んでもやめんじゃねーぞ」を経てエンディングトーク。ラジオブースを模したトロッコで会場を回った後、一度退場した。

そして最後は、ステージにマイクがせり上がり、2人が再登場。30分を超える漫才を披露し、会場を爆笑と感動で包んだ。若林さんは「お互い"トゥース"だったら、またやろうよ」「われわれはいつも土曜深夜に話し続けていくので、気が向いたら聴いてください」と伝えた後、お馴染みの締めのあいさつ「おやすミッフィーちゃん」(若林)、「このあとまた夢でお会いしましょう。アディオス」(春日)でイベントは幕を下ろした。

笑って、驚いて、泣いて、また笑って。3時間半でさまざまな感情を引き出された。オードリーや演者、スタッフ、リトルトゥース......、イベントに関わったすべての皆さんの熱量に心を動かされ続けた1日だった。

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<漫才を披露するオードリー ©ニッポン放送>

Road to Tokyo Dome

「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」は2023年3月18日の放送で開催が発表された。発表の翌週以降、番組内では企画やグッズを考えるコーナーやイベントに関連するトークが繰り広げられていた。また、宣伝ステッカーを東京ドームをはじめ、全国各地で配布して長蛇の列ができたり、アドトラックで都内を巡回するなど、イベントの盛り上げに注力していた。

YouTubeチャンネル「オードリー若林の東京ドームへの道」もスタートし、体力づくりのために始めた自転車移動の模様や、スタッフとの対談、イベント当日に着るオーダースーツの注文の様子などを動画で配信。イベントが少しずつ形になっていく様子や、オードリーとスタッフの思いが見られ、イベント開催までの約1年間もリトルトゥースを常にワクワクさせた。

7月29日には、ニッポン放送の石井玄さんがパーソナリティを務めるポッドキャスト番組『滔々あの夜咄』の公開収録イベントを東京ドームシティで開催。『オードリーのオールナイトニッポン』の構成作家を務める飯塚大悟さんとチェ・ひろしさんをゲストに迎え、イベントの裏側を語った。

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<宣伝ステッカー ※筆者撮影>

1月18日からは東京ドームシティ内を歩きながら挑戦するリアル脱出ゲーム「春日に支配された東京ドームシティからの脱出」(3月13日まで)を開催。音声を聴きながら謎を解き、道中には番組にゆかりのある人やモノがたくさん登場する。実際に東京ドームシティに訪れることで、「こんなに大きな会場でイベントをやるんだ」とあらためて実感できた。

イベントの翌日(2月19日)からは展示会「オードリーのオールナイトニッポン15周年展」を開催(17・18日にプレオープン、3月10日まで)。15年間の放送で話にあがったアイテムの実物や、番組内で生まれた数々の"エピソードトーク"や"名言"の展示のほか、「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」で使用したセットや小道具などを展示している。番組の軌跡をふんだんに見せてくれる。

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<15周年展の展示物 ※筆者撮影>

東京ドームという大きなゴールを設けて、そこに向かって派生的な企画を展開。リトルトゥースも1年間、東京ドームへのワクワクが収まることはなかったのではないだろうか。イベント当日に向けた盛り上げがイベント成功の理由だったと思う。またいつか、このワクワク感を味わえることを楽しみにしている。

普段の『オードリーのオールナイトニッポン』はふつおた(普通のお便り)を読むことがほかの番組と比較して少なく、双方向性はあまりないラジオだと思う。それでもリトルトゥースがオードリーに親近感を抱くのは、2人がトークで自身の生きざまや腹の内を聴かせてくれることと、節々で2人がリトルトゥースを大切にしてくれるのが伝わってくることが理由ではないだろうか。今回のイベントには2人の人間性や好きなことが詰まっていて、等身大で東京ドームに挑む姿を見せてくれた。分かりやすくは寄り添ってくれないが、いかに楽しませるかを一番に考えた跡が至るところに見られ、2人のリトルトゥースへの愛情が感じられた。

これからも土曜の夜を楽しみにしていきたい。※2月24日の放送では東京ドームを振り返るトークが繰り広げられ、エンディングでは若林さんの感謝の言葉も伝えられた。

(取材・構成=民放online・梅本樹)

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