都市型野外ロックフェス「TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2023」(以下、METROCK東京2023)が5月20―21日、東京・江東区の若洲公園で開催された。冒頭の写真は、METROCK東京2023の会場に設置されたフォトブースで、テレビ朝日がスタジオセットから出る美術廃材で作ったもの。同社は昨年4月から、美術廃材を活用するプロジェクト「art to ART Project」に取り組んでおり、その一環で制作した。これまでにアーティストや企業と連携し、アート作品制作やワークショップを実施している。
昨年も会場にフォトブースを設置しており、今年は「be a Rock STAR!」をテーマに来場者一人ひとりがフェスを盛り上げる"ロックスター"であれ、という願いを込めて制作した。多くの来場者が記念撮影に列をなしていた。
<記念撮影をする来場者>
さらに今年は、フラワーリストバンドを作るワークショップも展開。商業施設などの企画・デザイン・管理を手がけるパルコスペースシステムズの「廻(めぐ)るデザイン研究部」とともに、テレビ朝日のスタジオセットだけでなく、PARCOなどの商業施設から出た廃材も活用し、参加者に色鮮やかな"映え"アイテムを制作する場を提供した。
<ワークショップのブース>
所要時間は15分ほどで、ライブステージの合間に参加しやすいようになっている。造花は商業施設で展示物に使用したものを、ロゴのタグにはテレビ朝日のスタジオセットのじゅうたんが活用されている。21日に出演した男性アイドルグループNEWSのメンバーカラーの造花などが人気だったという。予定していた材料が全て完売となり、150人以上が参加した。
<フラワーリストバンド>
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「art to ART Project」を担当するテレビ朝日の織田笑里さん(ビジネスプロデュース局ビジネス統括部SDGs推進チーム リーダー)に話をうかがった。
――プロジェクトを始めたきっかけは
これまで番組のスタジオセットから出る美術廃材はなるべく再利用してきましたが、どうしても廃棄するものが出ていました。美術セットデザイナーの森永牧子(技術局 コーポレートデザインセンター)がこの美術廃材をどうにか活用できないか、と提案したのが始まりです。検討の結果、廃材を別のアート作品として再利用する取り組みを始めることになり、昨年4月に「art to ART Project」が発足しました。
セットとしての役割を終えた美術廃材を、まったく別のアート作品としてよみがえらせるこのプロジェクトをとおして、ワークショップやフォトブース、展示などの新しいアート体験を提供し、環境問題をより身近に感じてもらう機会を作れたらと考えています。また、廃材の魅力を活かしたものづくりの面白さを伝えることも目的です。
――これまでの取組みは
初めて取り組んだのは2022年4月、廃材のじゅうたんやベニヤ板などを活用したバッジを作るキッズワークショップです。また『報道ステーション』や『徹子の部屋』のスタジオセットに飾られた生花から作ったドライフラワーを使って、来場者と一緒にモニュメントを制作しました。
同年夏に六本木ヒルズで行ったイベント「テレビ朝日・六本木ヒルズ SUMMER STATION 2022」では、キッズプレイパークに木のプレートに絵を描いた作品を展示したり、4月と同様のキッズワークショップを開きました。
<キッズワークショップの様子>
また、2022年10月、ライフスタイルをテーマにした合同展示会「rooms PARK」にブースを出展。廃材のじゅうたんから作った大きな「花輪」のオブジェや蝶のモビールなどを展示しました。廃材という「捨てるもの」というイメージを、「晴れ(ハレ)」のイメージに変換しポジティブな空間演出を行いました。このほかも、企業やアーティストと連携し、さまざまなアート作品やワークショップを実施しています。
――プロジェクトの手応えは
フォトブースやワークショップを通じて参加者にSDGsのメッセージを伝え、考えてもらう機会を作れていると思います。今回のワークショップでも、時間をかけてオリジナルのリストバンドを作る経験は、間接的に得た知識より参加者の記憶に残るはずです。放送局の使命は「伝える」ということ。このプロジェクトでもそれは変わりません。
――今後の展望は
SDGsの取り組みの一環で推進しているプロジェクトなので、持続可能性を考えています。環境に配慮しつつ、経済活動と切り離さずにビジネス面でも進化を続けていきたいです。
<フラワーリストバンドを作る参加者>