米FCCが規制緩和で意見募集始める メディア所有規則も対象か 

編集広報部
米FCCが規制緩和で意見募集始める メディア所有規則も対象か 

米連邦通信委員会(FCC)は3月12日、放送・通信・IT関係のあらゆる規制・規則・ガイドライン類を対象に「撤廃すべきか、緩和すべきか、またその理由」について意見募集を始めた。締め切りは4月11日と同28日。公告のタイトルは「Delete, Delete, Delete(削除、削除、削除)」と目を引くものだ(冒頭画像はFCCの公告)。廃止や緩和すべき規則類について、▶費用対効果▶市場の変化に応じて適切か▶新規参入の障壁になっていないか▶他の法令や州法などと齟齬がないか――などの観点から「根拠を可能な限り具体的に示すこと」と回答者に求めている。

FCCのブレンダン・カー委員長は「政府機関は長期にわたり権限を超えた新しい規制要件を追加したり、時代遅れの規制を放置してきた。このままでは中小企業や起業家にさらなる負担と足かせとなる。不要と思われる全ての規制や規則を廃止することをFCCは約束する。そのために多くの意見が寄せられることを歓迎する」とコメント。同委員長はこれまで放送局の所有上限に強く反対している。現行規則の「単一の放送局グループが所有できるのは全米世帯の39%未満」「同一テレビ市場内で単一の放送局グループが所有できる4大ネットワーク(ABC、CBS、NBC、FOX)の傘下局は1局のみ」も対象になるものと思われる。長年にわたって同規則の撤廃を求めてきたNAB(全米放送事業者連盟)も、この2月からキャンペーンを始めたばかりだ(既報 )。

それだけに、意見募集の結果次第ではローカルテレビ・ラジオ局の合併による規模拡大が可能になり、一気に合併ラッシュが起こるのではないかと米メディアは伝えている。他方、各種の規制・規則の撤廃を連邦議会の承認なしにFCCが独断で決定できるのかなど、まだ不明な点も多い。

FCCが意見募集を始めた前日の3月11日、全米に多くのテレビ局を所有するグレイ・メディアがミネソタ州ロチェスターのKXLT-TV(FOX傘下)を買収することをFCCが認可したと発表した。グレイ・メディアは同市場でNBC傘下のKTTC-TVをすでに所有しており、現行規則の上限を超えた例外ということになる。グレイ・メディアは「FCCが単一市場でFOX、NBCのフルパワー局を2局所有することを認めたのは5年ぶりかそれ以上」とコメント。しかも、両社の合併申請からわずか2カ月というFCC史上最速のスピード認可だったという。

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