米NAB(全米放送事業者連盟)は2月27日、FCC(連邦通信委員会)にメディア所有規則の見直しを求める大規模なキャンペーンを開始した(冒頭画像はキャンペーン特設サイトのトップページから)。
ローカルテレビ局とラジオ局の所有規則改定はNABにとって長年の懸案。携帯電話やインターネットが普及する前に作られた現行規則で単一のローカルテレビ局グループが所有できるのは、全米世帯の39%未満。同一ローカル市場内で所有できる大手ネットワーク傘下のローカル局数にも上限がある。ラジオ局の場合は同一エリア内で展開できる局数に制限がある。一方、YouTube、Apple、Amazon、Spotifyといったビッグテック(巨大IT企業)の配信プラットフォームには制限がない。このため、中小規模のローカルテレビ・ラジオ局は合併による規模拡大もかなわず、成長が妨げられているというのがNABの主張だ。
トランプ新政権のもと、かねて改革の必要性を訴えていたブレンダン・カー氏がFCCの新委員長に就任したこの機に、NABは規則見直しを実現すべきだとの姿勢を明確に打ち出した。NABのカーティス・ルジェット会長は「ローカルテレビ・ラジオ局がビッグテックに対抗していく力をつけるために、FCCによる規則改定は緊急かつ必須。規制当局は手遅れになる前に規則を改定すべきだ」と力説している。
NABは議会や行政の政策立案者に向けた全国規模の広告や、視聴者・リスナー啓発を展開する。キャンペーン特設サイト(外部サイトに遷移します)のキャッチフレーズは「時代は変わった...(Time Have Changed...)」。「大好きな地元のニュースやスポーツを守ろう!(Keep the Local News and Sports You Love!)」と広く訴えるほか、「いますぐ行動を!(Take Action Now!)」と、視聴者やリスナーが連邦議会の議員、ホワイトハウス、FCCなどに直接呼びかけられるようなフォームを用意するという。3月4日に首都ワシントンD.Cで開かれたNABの年次リーダーシップ会議には全米50州から550以上のローカルテレビ・ラジオ局の代表が集結、議員やFCC委員と意見交換した。