全米各州で高い投票率を記録した今年の中間選挙だったが、投票日11月8日夜の開票特番の視聴者数は芳しくなかった。ニールセン・ライブ+同日データ(投開票日の米東海岸午後8―11時)によると、FOXニュース、CNN、MSNBC、ABC、CBS、NBC、テレムンド、ユニビジョン、CNNe、FOXビジネス、Newsmax、NewsNation、それにCTV経由での配信視聴もあわせ、テレビの総視聴者数は約2,540万人。2014年以降最低の視聴者数で、民主党が下院を奪回した18年中間選挙報道の約3分の1という結果に終わった。概要は以下のとおり。
・地上波、ケーブル合わせた6大ネットワークの総視聴者数ランキングは、1位FOXニュース(約742万人)、2位ABC(約331万人)、3位MSNBC(約321万人)、4位NBC(約311万人)、5位CNN(約261万人)、6位CBS(約256万人)。
・FOXニュースはこの日の午後8―11時の通常のプライムタイムのみならず、同午後6時から翌朝2時までの時間帯でもトップ。主要年齢層(25―54歳)でも約188万人でトップ。18年の中間選挙報道と比較すると、総視聴者数で5%減、25―54歳層で21%減だが、他局に比べると減少率は低い。
・プライムタイム枠の番組を返上して開票特番を放送した地上波局では、ABCとNBCがトップを分け合った。総視聴者数ではABCが約331万人で、NBCの約311万人をしのぎ、25―54歳枠では逆にNBCが約106万人でABCの90万人を超えた。
・CBSは総視聴者数(約256万人、18年比34%減)、25〜54歳層(約70万人、同46%減)ともに最下位だった。
・地上波局はいずれも18年比での減少率が目立った。ゴールデンタイムの総視聴者数では、1位のABCが38%減、2位NBCは43%減、3位CBSは33%減という水準だった。25―54歳層でもNBCが約106万人で45%減、ABCが約90万人で54%減と、若者層での視聴者数の減少が顕著だった。
・開票報道の視聴者の65%が55歳以上だったとのデータも示された。この中間選挙では若者層の投票率は上がったが、それがテレビ報道の視聴者数には反映されなかったことが読み取れる。
・革新派とされるケーブルニュース局MSNBCの総視聴者数は約321万人(18年比28%減)で、中間選挙・大統領選挙の開票報道で初めてライバル局CNN(約261万人、同49%減)を上回った。25―54歳層はMSNBCが約78万人(同42%減)、CNNが約106万人(同59%減)。
・総視聴者数、25―54歳層ともににCNNの減少率が大きい。これまで開票報道といえばCNNだったが、折しも親会社が変わりCEOも交代し、経営が大きく揺れ動いている真っ最中。革新寄り中道姿勢とされていた報道内容も、大きく保守寄りになったとして、視聴者離れが進んでいることが背景にある。