米NBCU 北京オリンピック中継 ピーコックを主軸に

編集部

2月4日に開幕する冬季オリンピック北京大会。先行して競技が実施される2日から全米で独占中継を行うNBCUは1月初旬、配信サービスのピーコックをその主軸に据えると発表した。NBCUの地上波チャンネルNBCとケーブルネットワーク(USA、CNBC)でも生・録画中継を行うが、それらは全てピーコックの有料会員(月額5ドル~)向けにもライブ配信し、試合終了後すぐにオンデマンドで録画視聴もできるようにする。

そのほか、東京大会ではNBCのみで生中継した開・閉会式を、今回はピーコックでもライブ配信することが決まっている。また、NBCが毎日プライムタイムに放送する北京大会のハイライト番組(時差を考慮し試合はほとんど録画)やメダルの授与式なども、ピーコックで生・録画配信する。なお、NBCスポーツは新型コロナウイルスのオミクロン株の拡大から、北京大会にアナウンスチームを派遣しないことを決定した。

無料ユーザーには痛手


東京大会では、体操や水泳などの人気競技はピーコックで無料配信され、有料会員限定だったのは男子バスケットボールの試合のみ。ところが、今回は無料で見られる競技はかなり限定される。コードカットした無料会員にとっては困った展開だ。

NBCUがこの大きな方針転換で狙うのは、新規有料会員の獲得と、無料会員の有料プランへの誘導。思惑どおり、有料会員を一気に増やすことができるのか、もしくは有料の壁に阻まれ五輪視聴者数が減るのか。五輪開催期間だけ有料プランに加入する人も多いとみられ、新規契約数と大会終了後の解約数が注目される。

東京大会の反省活かし

東京大会では、競技によってリニア、ケーブル、配信と分散して中継したNBCU。大きなスポーツイベントでは初めての配信サービスの導入で手探りだったこともあるが、視聴者からは「どこで何を見たらいいか分からない」「ピーコックで開会式がライブ中継されなかったから見損ねた」などの苦情が多く寄せられた。今回はその反省を踏まえ、ピーコックを五輪中継のホームにしようという試みだ。また、ピーコックに主軸をシフトする背景には、NBCUが2021年末でケーブルスポーツネットワークNBCSNを閉鎖したこともある。

視聴データにiSpot.tv

NBCUは1月13日、クロスプラットフォームの視聴データ測定にiSpot.tvを採用すると発表した。NBCUは東京大会でも試験的にiSpot.tvを採用しており、北京大会とNFLスーパーボウル中継の主要測定テストを含む複数年契約を同社と締結。長きにわたって測定を行ってきたニールセンの過少計上問題で、信頼が揺らいでいることなどが背景にある。NBCUは今後も新たな測定カレンシーを選定していく予定だ。

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