熊本放送が最優秀賞 火曜会 『録音風物誌』コンクール

編集広報部
熊本放送が最優秀賞 火曜会 『録音風物誌』コンクール

東京・大阪以外の全国37社の民放ローカル局が加盟し、共同で番組制作に取り組んでいる地方民間放送共同制作協議会(火曜会)。その加盟局が制作する番組『録音風物誌』コンクールの最終審査が8月8日に行われた。審査員は、放送作家の石井彰氏、フリーライターの武田砂鉄氏、歌人・作家の東直子氏の3人が務めた。

2021年8月から22年7月までに放送された全49番組の中から最優秀賞に選ばれたのは、熊本放送(RKK)の『市電の呼吸に全集中』。静かに停車する職人肌の運転士のブレーキ技術を音の変化に着目して表現した企画力と、乗客と運転士の双方の視点で語られている点が好評を得た。

優秀賞は山形放送(YBC)の『豪雪地の雪下ろし~空から冷蔵庫が降ってきた!』と中国放送(RCC)の『おばあちゃんの肉玉そば』が受賞した。

YBCは、豪雪地の雪下ろしをのこぎりや雪の塊が屋根から落下した音で表現。映像で見慣れた雪下ろしとは異なる意外性や新鮮さがあったと審査員からコメントが寄せられた。RCCは、お好み焼き店を営む80歳の店主が値上げをしない理由と店主の弱気な一言を聞いた常連客がとった行動の物語。短いながらも広島が背負う歴史を体感できる取材が評価された。

総評で、石井氏は「私なら外国人をテーマに、新しい文化を日本に持ち込み、地元文化と摩擦が起きるのか、溶け合っていくのかを扱う」と制作者目線のアイデアを紹介。武田氏は「真面目に作ることも大切だが、取材者と対象者の間に別の人や物を加えることによって見えるものが変わる」として「真面目さを外してみてもよい」と語った。東氏は「狙った音だけでなく、偶然入り込んでくる音の中に新しい発見を見つけ、伝えてほしい」と期待した。

受賞作品は、以下の週の『録音風物誌』にて再放送する。
▷RKK:10月10日(月)―16日(日)、▷YBC:10月3日(月)―9日(日)、▷RCC:9月26日(月)―10月2日(日)。

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