総務省「公共放送ワーキンググループ」第3回会合を開催 民放連らにヒアリング

編集広報部

総務省「公共放送ワーキンググループ」(三友仁志主査)の第3回会合が1124日に開かれ、NHK、民放連、日本新聞協会へのヒアリングが行われた。

NHKの伊藤浩専務理事は、三位一体改革の取り組み状況やインターネット活用業務の考え方について説明。「伝統メディアに対する期待や信頼を維持し、情報空間の課題に対処することが求められている」と多元性確保の重要さに触れたうえで、「放送と同様の公共性の効用をもたらし、情報空間全体を踏まえた核となる公共性の範囲で、NHKのインターネット活用業務の範囲や規律、負担を考えるのが適切だ」と述べた。

構成員からは、「知る権利を担保するうえで情報の多様性が重要であり、多元性はその手段。多元性確保に強く配慮した報告と受け止めた」「公正競争とメディアの公共性はそのまま比較衡量するべきではない。公共性がNHKの提供するサービスにお墨付きを与える手段になってはならない」などの意見があった。

民放連の堀木卓也専務理事は、ネット時代の公共放送の役割について「メディアの多元性から提供される価値を毀損してはならない」「他のメディアの存在が脅かされることになれば、情報空間全体としてプラスにならず本末転倒」との構成員の発言は重要だとして、NHKインターネット活用業務は公正競争を阻害しないために、▽「理解増進情報」を拡大解釈しない、ネットオリジナルコンテンツの制作・配信はしない、広告収入を得ない、予算に厳格な歯止めを設ける、などの取り組みが最低限必要だと指摘した。

日本新聞協会メディア開発委員長の高野健一氏(朝日新聞社執行役員)は、NHKのインターネット活用業務がなし崩し的に拡大しており、新聞などのデジタルサービスと競合する「理解増進情報」を抜本的に見直すよう提言。公正な競争環境の確保や、NHKが真に取り組むべき業務について議論することを求めた。

構成員からは、「理解増進情報をめぐる具体的な指摘は重く受けとめる必要がある。現時点でなし崩し的な拡大解釈が見られるのだとすれば、新しい業務範囲においても、逸脱の是非をモニターし、チェックする仕組みが必要不可欠である」などの意見が出された。

構成員の発言を受け、堀木専務は「情報空間の健全化に貢献するというNHKの新たなミッションは、NHKや放送だけの問題ではなく、プラットフォーム事業者なども交えて議論すべき大きなテーマ。NHKのあり方という枠組みで議論することに違和感がある」と意見。また、「NHKの規律が高くなれば民放事業者も引きずられる懸念もある。インターネットは自由な空間であることを前提に事業を進めてきており、新しいルールが課されることは非常に大きな問題である」と指摘した。そのうえで、「理解増進情報」を拡大解釈すると現行制度を逸脱するとして、「本WGではNHKがしたいこと、NHKにさせたいことの議論はあるが、財源である受信料制度に関する議論を抜きにはできない」と述べた。

次回は1222日に開催し、諸外国の公共放送に関する制度などについて検討する。

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