米ネットフリックスが1月19日(現地時間)、2022年第4四半期(10-12月)の収支報告を発表した。それによると全世界での新規契約者が766万人で、同社が予測していた450万人を大きく上回った。昨年11月に導入した広告入りプランが、既存の広告なしプランのユーザーを侵食することなく、収益を生み出すだろうと同社は評価している。
契約者総数は、22年12月末時点で2億3,075万人。新規契約が特に増えた地域はヨーロッパ、中東、アフリカで、合計320万人。主要市場である北米は91万人にとどまったが米国に絞って見ると、広告入りプラン導入の効果で新規契約者数が20年以来の高い増加率を記録したという。ネットフリックスは広告入り新プランの新規加入者数を公表していないが、全新規契約の8%(新規契約と既存プランからの移行を含む)を占めるとの調査結果を、メディア調査会社Ampere Analysis(本社ロンドン)が発表している。広告不足の問題が露呈した新プランだったが、新規ユーザー獲得への貢献度は高いことが示された。
一方で、売上高は78億5,000万ドル(前年同期比1.9%増)で、成長率は過去最低を記録。純利益にいたっては前年同期比91%減の5,500万ドルと振るわなかった。為替相場の変動が原因で、ユーロ建社債の為替ヘッジで損失を計上したと報告されている。それでも、契約者数の予想超過が効いて収支報告直後には株価が急騰した。
■スポーツのライブ配信は時期尚早
また今回の四半期報告では、共同CEOのテッド・サランドス氏がライブ配信強化の方針を打ち出している。24年からはSAGアワードの授賞式を、ネットフリックスのプラットフォームでライブ配信することがすでに伝えられており、サランドス氏は「リアリティショーなど視聴者参加型番組のライブ配信に注目している」と話した。ただ、昨今ライバル配信サービスがこぞって進出しているスポーツのライブ配信事業への参入については、将来的には視野に入れるとしながらも、時期尚早との見解を示している。「ネットフリックスのサブスクリプション・モデルで、プロスポーツのライブ配信でどうやって利益を上げていくかを練り上げなければ、参入できない」といった内容のコメントを発した。
■増える日本語コンテンツ
米国内のネットフリックスで、コンテンツの国・言語比率が今注目されている。オンラインメディアDeadlineによると、米国のコンテンツは半分以下になり、日本、スペイン、英国のコンテンツが増えているという。21―22年の国別コンテンツの時間数を比較すると、スペイン発のコンテンツが64時間から123時間に、日本発が60時間から109時間に、英国発が60時間から92時間に増えている。
ここ1、2年ネットフリックスで急増している日本語コンテンツは、人気も上々だ。22年12月『今際の国のアリス(英題:Alice in Borderland)』シーズン2の配信が始まると、公開直後の週末だけで延べ視聴時間が6,120万時間を記録し、ネットフリックスの英語以外のコンテンツ視聴のトップに躍り出た。アニメコンテンツも増えている。1月半ばには、日本の制作スタジオBabel Labelと5年にわたる長期契約を結んだとのニュースも報じられた。