テレビを見ていてこんなこと思ったり感じたりしたことはないですか?
「あっ!この俳優さんが身に着けている服とっても素敵だな......どこのブランドなんだろう?いくらぐらいするんだろう?」「うわぁ、このケーキとってもおいしそう! どこのお店なんだろう? ほかにどんなメニューがあるんだろう?」など、テレビ番組で紹介している情報をもっと詳しく知りたい!と誰もが感じることだと思います。
そんなときに使ってほしい便利なサービス、それが「いまメモ」です!
「いまメモ」は、番組で紹介している店舗やレジャースポットなどの情報をユーザーがほしいタイミングでリモコンの決定ボタンを1回押すだけで、番組やお知らせに関連する情報をリアルタイムにスマートフォンで受け取ることができるサービスです。
<いまメモ利用イメージ>
いまメモを開発した目的は大きく3つです!
①特定視聴データ(TVer ID)の取得促進と活用
特定視聴データとは、ユーザーの郵便番号や年齢、性別など個人情報がひもづいた視聴データのことで、今後のテレビ業界にとって重要なデータです。この視聴データを活用することで視聴者の趣味や嗜好などの特徴を把握し、よりユーザーが好む番組の制作やイベントの企画などができるのではないかと考えています。特定視聴データの収集にはTVer IDを利用しています。株式会社TVerが提供するTVer IDは、在京キー5局すべてで利用されていて、今後テレビ局共通のIDになるのではないかと考えています。いまメモはそれに先駆けていち早く開発したサービスであり、系列問わず、今後TVer IDを活用したい多くのテレビ局の皆さまに使っていただけると考えています。
②CMの価値向上(番組視聴から購買行動などへの可視化データ取得)
PUT(総個人視聴率)が低下している状況で、CMの価値向上は喫緊の課題です。「いまメモ」はユーザーがテレビ番組やCMを見てどれだけ興味を持ったのか? 商品の購入に至ったのか? などのデータを可視化することで、広告の価値を向上させたいと考え開発しました。例えば、「いまメモ」を利用したユーザーを対象にクーポンを配布し、実際にどれだけのユーザーがクーポンを利用して商品購入したのか、などのコンバージョン率を計測することが可能となります。
③テレビとネットのシームレスな連動
テレビをつけながら、番組内の気になるイベントやお店の情報をその場でスマホを使って調べる視聴スタイルが増えてきています。このユーザーの行動をテレビのリモコン操作一つだけで簡便にできるようにするために開発をしました。
ユーザーへの情報の届け方
「いまメモ」はデータ放送のオーバーレイ機能を活用したサービスで、利用するためには事前にテレビをインターネットに接続し、TVerリンク設定(株式会社TVerが提供するTVerIDを連携すること)をする必要があります。
「いまメモ」は以下の手順に従いユーザーに情報を届けます。
STEP1:放送局からTVer社に、オンエア時に表示する情報とひもづけるコンテンツIDの発行を申請し、ユーザーが決定ボタンを押したときに送信されるメッセージの内容を設定しておく
STEP2:「いまメモ」を制御するイベントメッセージ(EM)をテイク送出し、テレビ画面にデータ放送オーバーレイスーパー(*1)、情報アイコン(*2)、"ⓓ詳細マーク"をそれぞれ強制表示させる
STEP3:STEP2でテレビ画面に表示したデータ放送オーバーレイスーパーを確認したユーザーがリモコンの決定ボタンを押す
STEP4:ユーザーが決定ボタンを押したときに、テレビ画面に表示されている情報とひもづいたコンテンツIDをインターネット経由でTVer社へ送信する
STEP5:サーバーからTVer IDに設定されているメールアドレスにメッセージが届く
*1:番組本編にオーバーレイ表示する告知スーパー。文言は自由に書き換えができます。
*2:局側が送信する情報をイラストで表示したアイコン。現在はグルメ、サイト、クーポン等合計12種類のアイコンが表示できます。もちろん、オリジナルアイコンを作成するなどカスタムマイズもできます。
<「いまメモ」仕組みイメージ>
また、オンエア中にⓓボタンを押すことでデータ放送画面が立ち上がり、番組放送中であれば見逃した情報もいつでも取得することができるように設計しています。なお、インターネットにテレビを接続していない、TVerリンク設定をしていない場合はそれぞれ、インターネット結線を促す文言、TVerリンク設定を促す文言が表示されます。
<紹介アイテム一覧画面>
<「いまメモ」本編画面。左から、TVerリンク済み、TVer未リンク、非結線>
「いまメモ」は、グルメやバラエティ番組で紹介しているお店の詳細情報、ユーザーへのプレゼント応募情報、イベントのチケット情報の送信などさまざまな場面で活用ができます。また、CMでも利用することができます。CM中にいまメモを表示させることで、ユーザーを直接ECサイトやスポンサーのサイトなどに誘導することが可能です
<実際のいまメモオンエア画面>
新たな取り組みと展望
「いまメモ」は2022年6月からスタートしたサービスです。開発当初は、「いまメモ」を表示するために都度番組に立ち会い、表示時間にイベントメッセージ(EM)を手動で送出していました。そのため、土日や深夜番組など番組立ち合いに十分な人数が確保できない場合に実施が困難でした。しかし、2023年1月よりイベントメッセージ送出の自動化に成功し、無人でもタイマー設定した時間に「いまメモ」を実施することができるようになりました。
とあるイベント紹介番組(視聴率:世帯7.1%、個人4.8%)で無人運転したところ、まだほとんどいまメモが認知されていないのにも関わらず、コンバージョン率 4.3%という結果でした(番組視聴をして実際に決定ボタンを押して情報取得をした割合)。一般的にECサイトではコンバージョン率 1%程度が目安とされているので、比較して高い結果でした。
しかしながら、「いまメモ」を利用するためにはテレビをインターネットに接続して、TVerリンク設定をする必要があります。この設定作業のハードルが高く、ユーザーの利用者数がなかなか増えないのが悩ましい点です。現在は少しでも利用者数を増やすために、データ放送画面(非連動画面)やウェブサイトに「いまメモ」の紹介ページを設置することや、スポットCMを制作し認知拡大を目指すなどの施策をおこなっています。
今後は、▷TVer ID取得者を増加させること▷レギュラー番組で「いまメモ」を実施すること――を目標にしています。「いまメモ」は系列局を問わず数多くの放送局で利用いただけることを念頭に、汎用性高く開発をしています。ユーザーにとってより良いサービスの提供を、テレビ業界全体でみなさんと一緒に取り組んでいけたらと考えています。よろしくお願いいたします!!