ウクライナ取材と報道の実状語る 日テレ横島大輔氏ら登壇 日本記者クラブ会見

編集広報部

日本記者クラブは7月25日、「記者に聞く ウクライナ現地取材と報道の課題」をテーマに会見を開いた。日本テレビ放送網報道局国際部担当副部長の横島大輔、朝日新聞国際報道部の喜田尚、ジャーナリストの古川英治の3氏が登壇。ロシアがウクライナ侵攻を開始した当時の様子や、SNSなどの情報ツールが発達する中での戦争報道を語った。

横島氏は、戦争報道では「SNSは新たな取材領域だ」と説明。映像メディアとして、民間人や兵士などの現地の当事者がSNSに投稿した映像と向き合う必要性を説いたうえで、「フェイクニュースをどう精査していくか、一度踏みとどまって考えなければならない」と述べた。また、ウクライナ侵攻を題材にしたドキュメンタリーを制作した経験を踏まえ、記者自身の問題意識を映像でどう表現するかが大切だとし、「言葉では表せないもの、映像なら伝えられることを描いていきたい」と話した。

ウクライナ侵攻の開始前から現地で取材を重ねてきた喜田氏は、侵攻開始前後の現地の様子を振り返るとともに、ウクライナ侵攻はクリミア危機が起こった2014年から始まっていたと分析。「この戦争の経緯や社会構造がうまく日本社会に伝わっていないと感じる」とし、「世界情勢が激変していることを、新聞でもデジタル媒体でも伝えるよう取り組んでいる」と語った。

ウクライナ在住の古川氏は、記者かつ当事者の目線で現地の様子を解説。「ウクライナへの全面侵攻が始まるまで、プーチン政権が行ってきた侵攻や人権侵害に対する日本の政府やメディアの反応は弱かった。ドイツ政府は、なぜ侵攻が始まったかを考えるために、過去の対ロシア政策を総括している。日本のメディアと政府にはこれまでの自分たちの姿勢を検証してほしい」と求めた。

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