琉球放送(RBC)は今年10月に創立70年を迎えるにあたって、特別番組として『琉球歴史ドラマ「阿麻和利」』(水、20・00―20・56)を2月7日から3週連続で放送している。沖縄の子どもたちが地域の歴史に興味を持ってもらいたいという想いで制作している「琉球歴史ドラマ」で、『尚巴志』(2017年)、『尚円王』(20年)に次ぐ第3弾となる。前2作品は史実をもとに、本作品は歴史から着想をえたフィクションで構成されている。
今回の主人公、阿麻和利(あまわり)は15世紀の琉球王国において、沖縄本島中部の勝連の支配者となり、繁栄に導いた"英雄"とされる一方、首里王府の正史では"反逆者"として描かれている人物。その半生を描いたドラマでは、阿麻和利とその妻となる百十踏揚(ももとふみあがり)を、ともに沖縄県出身の佐久本宝さんと比嘉梨乃さんが演じる。
撮影は23年4月に10日間、延べ30人のエキストラが参加して行われた。RBC報道制作局の4人と同社の関連会社であるRBCビジョンの10人のほか、フリーのスタッフが制作に携わった。過去2作品の制作をとおしてノウハウは蓄積されているが、「制作費の大半は美術費、衣装費で消えていく」と語るのは本作品の監督を務めたRBCビジョンの土田豪介氏。沖縄県内には時代劇の撮影ができるようなオープンセットはなく、スタジオにセットを組む予算や場所もないことから、観光施設を借りることで費用を抑えているという。
「キー局が制作するドラマではスポットが当てられることがない、地域の英雄を取り上げられる」とローカル局がドラマ制作を行う意義を語る土田氏。県内外を問わず「沖縄の歴史を知り、興味を持ってもらいたい。また、沖縄観光の際はロケ地に立ち寄ってほしい」と本ドラマへの期待を述べた。
なお、勝連城跡を含む「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は2000年にユネスコの世界遺産に登録されている。
本作品は各話の放送翌日、木曜日の正午からTVerで見逃し配信を行う。また、過去の2作品も、『尚巴志』は2月15日(木)、『尚円王』は同22日(木)のそれぞれ正午まで、TVerで配信している。