「テレビをつけてまず見るのは配信かリニアか?」――そんな調査が米国で2018年から行われている。その結果、有料配信サービス(SVOD=定額制のオンデマンド動画配信)が今年初めてリニアを抜いたとの報告があった。米オンラインメディア「tvtech」が伝えている。
「Decoding the Default(デフォルトを読み解く)」と題されたこの調査は米調査会社Hubエンターテインメント・リサーチが定期的に行っているもの。ここで言う「リニア」は、「ケーブル/衛星契約」または「アンテナ経由で視聴する地上波」と「ケーブルチャンネル」を指し、「有料配信サービス」は5大配信サービス(Netflix、Amazon Prime Video、Disney+、Hulu、Max)を指す。
調査は家庭でブロードバンド契約し、週に1時間以上テレビを視聴する16歳から74歳の全米約1,600人を対象に8月にインタビュー形式で行われた。その結果、「テレビをつけたらまず見るのは5大配信サービスのいずれか」との回答が全体の半数近い46%。「まずリニアチャンネルを見る」は38%だった。2018年はリニアが62%、5大配信が30%だった。21年にリニア53%、5大配信35%とやや差が縮まったが、依然として王座はリニア。ところが今年ついに逆転した。ちなみに「その他の配信サービス」として、詳細は明記されていないがアニメや外国語を含む小規模有料配信サービスが今年は6%。これを5大配信に足すと52%と過半数を超える。無料の配信サービス(FAST)まで含めると配信全体とリニアとの差はさらに広がるとtvtechは指摘している。
5大配信の内訳を見ると、ダントツはNetflix。全体の26%が「テレビをつけるとまずNetflixを見る」と答えている。Huluが8%で2位につけているがその他3つはいずれも3〜6%とどんぐりの背比べだ。
一方でケーブル経由でのリニア視聴も26%。ということは、全体の半数以上がテレビをつけたらまずケーブルチャンネルかNetflixを見ているということになる。両者間の違いは、ケーブル経由でのリニア視聴が2018年の54%から下降しているのに対して、Netflixは同年の23%から今年は26%にわずかながらもシェアを伸ばしていること。5大配信の推移の特徴として、どのサービスも急激な上昇・下降はなく着実に右肩上がりになっていることが示されている。
また、「なぜそのサービス/チャンネルを最初に見るか?」との問いに、42%の回答者が「コンテンツ」を理由に挙げている。配信サービスを見る人の場合は「好きな番組を見るため」と答えた人が多く、リニアを見る人の多くは「スポーツ中継とニュースを見るため」と答えていたという。報告書には「視聴者の選択肢がますます増えるなかで、テレビをつけて最初に見るサービスは視聴者が最も興味を持っているもの。解約する可能性が低い」という分析が加えられている。