「滋賀で働く」を応援するエフエム滋賀の地域密着型リクルート事業の歩みと展望

小野 努
「滋賀で働く」を応援するエフエム滋賀の地域密着型リクルート事業の歩みと展望

エフエム滋賀(e-radio)1996年に開局し、地元滋賀に根ざした地域密着型の放送局として日々活動を続けてきました。来年には開局30周年を迎えます。今回は、そうした活動の一環として取り組んでいるリクルート事業である「滋賀で働く就職・転職ガイド」や「滋賀で働く就職・転職フェア」についてご紹介します。

求人に関する地域企業の共通課題

日頃の営業活動の中で、さまざまなお客さまとお会いし、「お困りごと」を伺う機会があります。その中でも特に多く聞かれるのが「求人」に関する課題です。

「ここ数年、採用ができず若手社員が少ない」「採用してもすぐに辞めてしまう」「内定を出しても、大阪・京都の知名度の高い企業に学生が流れてしまう」「求人サイトに登録しても埋もれてしまい、求職者の目に留まらない」など、共通する悩みが浮かび上がってきました。

滋賀県は大阪・京都に近く、県内企業の多くが中小企業であることから、こうした「求人問題」は地域全体の課題でもあります。

 「滋賀で働く就職ガイド」の立ち上げ

「お客さまのお困りごとを解決するのがわれわれの仕事である」という理念のもと、「やっぱり滋賀が好き」をキーワードに滋賀で人材を求める企業と、滋賀で働きたい求職者を結ぶリクルート企画「滋賀で働く就職ガイド」を2019年に立ち上げました。

当初は、県内外の大学や専門学校に設置・配布する企業紹介ガイドブックの発行と、同内容のウェブサイトの開設、さらにラジオでの企業紹介を組み合わせたセールス企画としてスタート。3年間で計3回ガイドブックを発行しました。

しかし、コロナ禍により学生の手元にガイドブックが届く機会が大幅に減り、費用対効果が見えないとセールス的にも苦戦。企画を一旦休止し、内容の見直しを行いました。現在は、ウェブサイト「滋賀で働く就職・転職ガイド」を作成しています。

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<ウェブサイト「滋賀で働く就職・転職ガイド」>

「滋賀で働く就職・転職フェア」への進化

その後、複数の企業さまから「実際に求職者と出会える就職フェアを開催してほしい」という声を受け、新たに合同企業説明会「滋賀で働く就職・転職フェア」を企画。ブース出展とラジオCMを組み合わせたリクルート事業としてリニューアルしました。

そして20246月、第1回「滋賀で働く就職・転職フェア」を開催。6月という時期は通常より遅めですが、大手企業の採用活動が一段落した後で、就職が決まらなかった新卒・既卒者や、7月のボーナス後に転職を考える一般求職者をターゲットとすることで、滋賀の中小企業のニーズとマッチし、製造業、サービス業、介護・福祉など、幅広い分野から地元企業18社に出展いただきました。

告知はラジオCMを中心に、県内外の大学へのフライヤー配布、InstagramなどのSNSを活用。参加者は約70人で、一般求職者と新卒・既卒者の割合は64。参加者の約7割がラジオCMをきっかけに来場されました。

当日は、参加者が最大5社の企業ブースを訪問できる独自の運用システムを導入し、各企業は平均10人以上の求職者と面談。実際に採用につながった企業もありました。

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<「滋賀で働く就職・転職フェア(第2回)」(2025年6月)のようす>

 ラジオCMによる企業ブランディング

企画のもう一つの柱がラジオCMです。20秒のブランディングCMと、実際に働いている社員が会社を選んだ理由や仕事のやりがいを語る60秒の長尺CMを、出展企業ごとに制作・放送しました。

この企画で初めて自社CMを放送した企業からは、その反響の大きさに驚かれるということもありました。直接的な求人活動に加え、ラジオCMによる広報効果を高く評価いただいた企業も少なくありませんでした。

そして今年、2025625日には第2回「滋賀で働く就職・転職フェア」を開催。ラジオ放送を通じて開催を知った企業からの問い合わせも多く、前回を上回る21社の地元企業に出展いただきました。

事前予約数は前回を上回ったものの、当日の歩留まりはやや低く、最終的な参加者数は微減。しかし、参加者一人あたりのブース訪問数は平均4社以上と高く、各企業は昨年同様、平均10人以上の求職者と面談することができました。すでに採用が決まったという報告も複数寄せられています。

 地域活性化に向けた取り組みとして

専門業者や自治体が主催する就職フェアも数多く存在する中で、ラジオ局が主催するフェアとして、何ができるのか、どう差別化を図るのか。また、新卒学生へのアプローチや参加者数の増加など、今後の課題もまだ多く残されています。 

しかし、人材確保に悩む滋賀の企業と、滋賀で働きたい若い世代をつなぐことは、地域の活性化に直結します。地元滋賀の人々、企業、社会の課題を解決し、地域を元気にすることは、ローカルメディアである私たちエフエム滋賀の大切な役割であり、存在意義です。

まだ始まったばかりのリクルート事業ではありますが、地域課題の解決と活性化、そしてラジオ広告における新規スポンサー開拓の観点からも、今後も継続して取り組んでいきたいと考えています。

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