米国でテレビ画面上での「ショッパブル(=購入できる)広告」が導入され始めて数年。今年春のアップフロントでは、ケーブルネットワークAMCがショッパブル広告事業への参入を表明した。ニューフロンツでもNBCUなどが新たな同広告展開をアピールしている。
コンセプトそのものは新しいとはいえないが、AIなどの関連テクノロジーの進歩により、近年はテレビ画面上での購買機能が向上し、広告効果を数値化できるツールも構築されつつある。テレビ局や配信事業者大手が投資を加速している分野だ。
6月16日には、ROKUと小売チェーン大手ウォルマートが同広告での提携を発表した。ストリーミング・プラットフォーム業界初の小売チェーンとの独占契約だ(小売業者と同プラットフォームの両方を兼ねるAmazonは除く)。視聴者はROKUのプラットフォーム上でリモコンの「OK」ボタンを押すだけで、ウォルマートのCM画面で直接商品を購入することができる。支払いはすでに登録しているRoku Pay(ROKUの決済プラットフォーム)から自動的に情報が入力され、購入完了後はウォルマートから確認メールが届く仕組みだ。
ROKUのテレビストリーミング用の広告購入プラットフォームであるOneViewが、同広告の配信や計測を行う。
ROKUとウォルマートの2社は、「テレビ画面上に表示された二次元コードのスマホスキャンはもう古い」とし、「次世代のEコマース=T(テレビのT)コマースの時代」を謳っている。今回の提携発表後、ROKUの株価は時間外で約4%上昇した(6月16日)。