世界最大級の広告会社WPP傘下のメディア投資会社「グループM」は2024年12月9日、24年の世界の広告費を前年比9.5%増の1兆400億㌦(約163兆円)と推計し、予想より1年早く1兆㌦に達すると発表した(冒頭画像はグループMのウェブサイトから)。6月に予測した7.8%増を上方修正した。大手IT企業が急速にAIを導入したことで広告取引のセルフサービス化が一気に進んだことが要因だという。この勢いで25年はさらに7.7%成長し、1兆1,000億㌦に達するとしている。
広告投下先の大部分はデジタル広告。Meta、Googleに加え、Amazon、TikTokを運営する中国のByteDanceと、同じく中国のAlibabaに集中し、これらで24年広告費の半分以上を占める。リテールメディア(ECサイト内広告)やソーシャルメディアを含めると全体に占めるシェアは25年に72.9%、29年には76.8%になると予測している。
一方、従来型メディアのシェアは縮小傾向に。25年の配信テレビ広告が19.3%増えるのに対し、リニアのそれは3.4%減と予測。リニアと配信を合わせたテレビ広告費は24年から29年でわずか2.4%の増にとどまる。ケーブルバンドルの崩壊で有料テレビ契約のビジネスモデルが転機を迎え、代わって配信サービス各社が続々と広告入りプランを導入したことで、テレビの広告市場は一新しつつある。グループMは2029年に配信テレビの広告収入がリニアテレビのそれを追い越すと予測している。
オーディオ広告は24年と25年は270億㌦とほぼ横ばい。その後4年で徐々に減少するという。新聞・雑誌など印刷媒体の紙面版とデジタル版を合わせた広告は24年に4.5%減、25年はさらに3%減ると予測している。