九州朝日放送『ぼる部屋』 「今までになかった」番組作りを ぼる塾と20代女性スタッフ中心に

北島 泰洋
九州朝日放送『ぼる部屋』 「今までになかった」番組作りを ぼる塾と20代女性スタッフ中心に

コンセプトは"すべての女の子のためにお届けする番組"。水着NG、大食いNG、体当たり系ロケNG......。今やテレビで見ない日はない、新時代を生きるお笑いカルテット・ぼる塾。そして"プライベートの充実"を第一の目標に掲げながらも、日々昼夜問わず番組作りに没頭する20代女性スタッフ。この両者が中心となって『ぼる部屋』(木、24・15―24・45)を制作しています。

収録スタジオは「九州在住・20代女性スタッフの自宅」。この番組に豪華なセットは存在しません。ぼる塾の3人が、スタッフの自宅からにじみ出る女性の素顔・プライベートを遠慮なく、同じ目線で、ズカズカと調査。今何が流行っているのか? 今何に興味があるのか? 女性のリアルを追求し楽しむ『ぼる部屋』、その名のとおりの番組です。

また、時には家を飛び出し、ぼる塾にとって縁もゆかりもない九州を「私事ですが......○○に行ってみたい!」と理由はこの一言で片づけて、さまざまな名所や観光地を縦横無尽に遊びまわるロケも敢行しています。「ぼる塾に九州を好きになってもらいたい!」ひいては、「お届けする視聴者の皆さんに、改めて九州、そしてぼる塾っていいなぁと思ってもらいたい!」――こんな思いも持ちながら、スタッフ一同番組作りにいそしんでいます。

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<アシスタントディレクターの趣味が爆発した自宅を調査するぼる塾>

そんな番組のはじまりは今からおよそ2年前。若者のテレビ離れがささやかれる中、「現代の若者が熱狂できる新たな番組を、同世代の若手で作ってみないか」と、会社からありがたいチャンスをもらったのが全てでした。内容は? 出演者は? 予算は? 全てがゼロからのスタートでした。唯一持っていた武器は、いい意味で「テレビに染まっていない柔軟な発想」。当時、入社5年目のスタッフ2名と入社1年目のスタッフ2名、計4名の若手女性スタッフが中心となり、番組立ち上げに向けて議論を重ねました。ちなみに私は入社7年目、29歳の新米プロデューサーでした。

「いまどきのテレビはテレビだけじゃなく、スマホ片手に見るものだ」「スタジオもいらない。VTRのフリもいらない。カメラワークもいらない。いかに"従来のテレビっぽさ"を排除するかが決め手」「作り手の顔が見えないと、テレビと視聴者の距離は埋められない。親近感をテーマにするなら、スタッフも全てさらけ出すべきだ」「ぼる塾のあの優しいスタイルが、制作の思いとベストマッチ」――さまざまな妄想が一つずつ着実に形となっていきました。

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<ディレクターの自宅からお届け>

特に注力したのは「今までになかった」、このキーワードです。その中でも先述した「スマホ片手に」といった部分は外せないポイントでした。まず、この番組には紙台本が存在しません。ぼる塾が番組を進行するうえで使用するツールはInstagramで、それに沿ってロケを展開、いわばこれが"台本"となっています。さらに、そのInstagramは番組放送時、視聴者の皆さんも全く同じ投稿を自分のスマホから見ることができます。

また、テレビと違って"いつ""何度でも"見返せる特性を活かし、放送に入り切らないさまざまな情報を詰め込むこともできました。テレビの中でぼる塾が見ているものが自分の手のひらにもあるという親近感と、Instagram単体でも楽しめることに加え、テレビと連動してより番組を楽しめるという仕組みを作りました。「テレビからSNS・ネットへ。SNS・ネットからテレビへ」ではなく、「テレビとSNS・ネットの共存」。これが、会社からのミッション「若者が熱狂できる番組作り」のいいフックになったと思います。

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<最新コスメを体験する田辺さん>

試行錯誤を繰り返しながら計4回のトライアル放送を経て、晴れて2021年4月から深夜帯で週一レギュラー化が決まりました。この深夜帯でのレギュラー放送を行ううえでポイントとなるのが「生感」と「親近感」の強化でした。テレビ番組は事前に収録したものを放送していますが、ここで新たなチャレンジとして、"副音声"ならぬ"副映像"を実験的に取り入れました。ここで言う"副映像"とは、テレビ放送の時間に合わせて、ユーチューブでぼる塾が生配信を実施することです。配信内容は、ただただテレビを見ながらだべるだけといった内容です。

しかし、その緩さこそがぼる塾らしくもあり、また視聴者の皆さんと"一緒に"番組を楽しむことができ、収録番組とはいえリアルタイム・生感にこだわった作りを目指しました。生配信が毎週深夜ということで、ぼる塾にはとても負担をかけてしまっていますが、家で女子会を開いているように、自然に楽しんでいただけているようで、大変助かっています。

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<レギュラー放送の初回>

また、かねてより「自分たちのラジオ番組を持ちたい」と言っていたぼる塾。だったら『ぼる部屋』で実現しようということで、ラテ兼営局の特権をフル活用し、ラジオ担当スタッフが全面バックアップ。テレビでもネットでも、そしてラジオでも楽しめる番組へと進化しました。ラジオ番組『ぼる部屋のご近所』(水、24・30―25・00)パーソナリティは当社の女性アナウンサー・細谷めぐみ。ゲストはぼる塾......ではなく、テレビ番組スタッフの女性ディレクターたちです。『ぼる部屋』を音声のみで楽しみながら、テレビでは語られることのなかった裏話や、禁断の女子トークなどを展開しています。

まだまだ発展途上の番組ですが、これからもさまざまな「今までなかった」にチャレンジしていきます。大変なことも嫌なことも「まぁね~」の合言葉で全て忘れ、見ていて優しい気持ちになれる番組を目指します。

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