K-mix(静岡エフエム)「ラジオで見る静岡」~新しいラジオ番組の可能性~

安原 明子
K-mix(静岡エフエム)「ラジオで見る静岡」~新しいラジオ番組の可能性~

「静岡県」と聞いて、皆さんはどんなものを思い浮かべますか?日本一高い山・富士山、日本一深い海・駿河湾、お茶(全国の栽培面積の約40%を占める)、うなぎ(養殖の発祥の地)、サッカー、温泉、ちびまる子ちゃん。最近ではハンバーグの「さわやか」や、「サウナしきじ」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。ところが、それだけではないのが静岡県! 海も山もあって、日本の中心に位置するという好立地から、たくさんの素晴らしい場所があり、おいしい食べ物があり、面白い人がいます。しかし、いくら静岡が好きで詳しい方でも、近くの海は知っていても少し足を延ばしたところにある絶景は知らなかったり、有名観光地のすぐそばにある隠れた歴史的スポットのことは知らなかったり、近所のおじさんが実は誰もが知る商品の一部を作っていた......なんてことは知らなかったりするものです。

それらをラジオの可能性を最大限に発揮して紹介し、もっともっと静岡の魅力を広めていこう、という想いでつくっているのが、『K-mix Wiz.』(月―木、11・00―14・55)内で毎週月曜日12・20頃から放送している「ラジオで見る静岡」というコーナーです。

"リスナーに新しいラジオ番組を提案しよう"という志でスタートしたこのコーナーは、2年前の2020年4月にスタートしました(2021年に番組は変わったのですが、マイナーチェンジはしつつも、同じタイトルでコーナーは続いています)。音楽ライターと、制作プロデューサーによる"素敵なシーンウォッチャーズ"というクルーが取材を担当しています。過去には、一級河川の大井川を海から上流まで遡上したり、秘湯と呼ばれる温泉地へ行ってみたり、謎の空港へ行ってみたり、野外フェスに潜入したり、地域の七不思議に迫ってみたり、山城址で石垣の魅力に迫ってみたり、有名料亭・旅館に卸されているニジマスの養殖場へ行ってSDGsを勉強したり、海を守るライフセイバーたちの日常に迫ってみたり――彼ら独自の視点で取材を行っています。

#120表紙.png<#120 うなぎパイファクトリー>

そもそも、このタイトル、おかしいですよね? ラジオは聴くもので、見るものではないはずです。そこがこの企画のポイントで、このコーナーは、ラジオの放送だけで成立させてしまうのではなく、YouTube、ウェブサイト、SNSと連動することで成立する、メディアミックスを提案する実験的な要素を含んでいます。

ラジオの番組制作はいかにして音だけで表現するかに頭を悩ませるとともに、そこにラジオ制作の醍醐味を感じるわけですが、このコーナーは放送前にYouTubeに映像をアップし、コーナーのウェブサイトに写真と文章を掲載することで、ストレートに補完する役割を担っています。実際にコーナー内でも「すでに動画がアップされているので、動画を見ながら聴いてくださいね」とアナウンスしながら放送しています。それと同時に、YouTubeとウェブサイト、いずれも1つのコンテンツとして十分に成り立つクオリティを保ちつつ、"ラジオと連動している"、ということを映像内やコメントに明記することで、実は番組宣伝の意味合いも含まれています。昨今、「ラジオは、他メディアとの親和性が高い」と言われていますが、まさにそれを体現したコーナーと言えるのかもしれません。

実際、「YouTubeからきました!」というメッセージも番組に寄せられています。「ラジオを聴いていたら、子どもの頃に行った場所が紹介されていた。『懐かしい!』と思って映像を見てみたら、当時と全然変わっていなくて、タイムスリップしたような気持ちになった」「うちの近所にこんな場所があるなんて全然知らなかった! こうやって映像で見ると、何もないと思っていた地元が特別な場所に思えた」といった、ラジオだけで表現した時には届かないような内容のメッセージが寄せられ、このコーナーの可能性を大いに感じています。

<#121 キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所>

また、この「ラジオで見る静岡」というコンテンツ自体を営業ツールとしても活用しています。"ラジオ×映像×ウェブサイト"という新しい形に魅力を感じていただき、役所や民間施設などのクライアントから出稿いただくなど、当社の新たな営業コンテンツとしても成り立っています。

(実施例)
藤枝市の「歴史」「景色」「人」にフィーチャーし、観光地を紹介するウェブコンテンツの映像を作成。さらに、その映像とリンクした内容を番組で紹介することで、静岡県内外に藤枝市の魅力を発信し、藤枝市への誘客を図った。全4回シリーズ。
祝!日本遺産に選ばれた弥次喜多道中、藤枝市の足跡を辿る VOL 4

このように一定の成果は出つつも、実際のところは、2年たってもまだまだ実験の途中、というのが正直な感覚です。"ラジオ×映像×ウェブサイト"が掛け合わされることでできることは、今やっていること以上にたくさんありますし、もっともっと工夫が必要だと感じています。これからも取材クルーとともにそれらを探りながら、ラジオの未来のために、そして静岡のために、さまざまなトライを続けていきたいと思います。

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