【2021年日本民間放送連盟賞 最優秀受賞のことば(テレビ教養)】静岡放送 おひさま家族~りんくん一家の17年

中村 潔
【2021年日本民間放送連盟賞 最優秀受賞のことば(テレビ教養)】静岡放送 おひさま家族~りんくん一家の17年

「おひさま家族」を取材した10年間は制作者として幸せな、そして勉強させていただくことが多い日々でした。番組は死を避けて語ることはできず、麟太郎君が長く生きられないことにも触れています。取材では常に、どこまで踏み込んでいいものか、懸命に生きる家族に現実を突きつけることにならないかという葛藤がありました。しかし、放送後に父・淳一さんから「良い番組を作ってくれてありがとう」という言葉を頂き、救われた気がしました。

色素性乾皮症(A群)は、国内に500人ほどしか患者がいない難病で、効果的な治療方法はありません。知らない病気が故に、冷やかしや好奇の目にさらされることもあります。この番組を通して一人でも多くの方に、現状や家族の思いを知っていただくことで、何かが変わるきっかけになれば幸いです。

さて、最近「おひさま家族」の中で起こった大きな変化が2つ。1つ目は、18歳になった麟太郎君は長く歩くことが難しくなり、大好きだった探検(散歩)に行くことができなくなってしまったこと。2つ目は、兄・龍太郎君が免許を取り、車を買ったこと。以前、「免許を取ったら、りん君とドライブをしたい」とうれしそうに話していた姿を思い出しました。

「私たちは、他の人よりも幸せな人生」と言い切る家族の姿を、これからも追い続けていきたいと思います。10年後もきっと、「制作者として幸せだった」と言っている自分の姿を想像して。


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