初対面の方と出身県が同じというだけで一気に心の距離が縮まる、という経験は誰にでもあると思います。ひいきのスポーツチームの応援などもそうですが、かねて「県」という枠組みへの帰属意識を興味深く感じていました。
ラジオ関西の本社がある兵庫県は、南は徳島県、西は岡山県と鳥取県、東は京都府と大阪府に接し、地域によって文化や生活圏が異なります。タイトルにある「ヒョーゴスラビア」という言葉は、そんな兵庫県をかつてのユーゴスラビアになぞらえて、2010年頃からインターネット上に登場したと言われるネットスラングです。
この番組は兵庫県内の旧五国「淡路」「播磨」「但馬」「丹波」「摂津」の地域ごとに取材し、各県境付近を生活圏とする人たちのインタビューを中心に構成した内容です。コロナ禍の昨今、「県境をまたいだ移動」という言葉に触れる機会が増え、県境を皆さんはどのように考えているのかを、これまで以上に知りたいという思いを強くし、番組を企画しました。
また、制作手法についても実験的な試みとなりました。東京支社の営業担当が「企画したのであとはよろしく」と本社に全てを制作委託するのではなく、取材・編集を担当した冨島隆則ディレクターと取材前、取材経過、編集、仕上げなど何度も何度もリモート会議や意見交換を行いました。最後まで東京支社が関わった「リモート+現地取材」という新しいラジオ番組の作り方に挑戦できたことも、この企画の収穫と考えています。