【メディア時評】2022年春のラジオ新番組 初レギュラーの喋り手が各地に登場 愛され、定着することを願って

やきそばかおる
【メディア時評】2022年春のラジオ新番組 初レギュラーの喋り手が各地に登場 愛され、定着することを願って

今春もさまざまなジャンルの番組が各地でスタートした。今回はそのなかでも初めてレギュラーを担当する人を中心に注目した。まずは音楽番組から。沖縄には開始早々「すごい番組が始まった」とSNSで話題となった番組がある。ラジオ沖縄「にちようびのグルーヴ」(日、23・30―24・00)は浦添にあるライブハウスGrooveの上地"Gacha"一也が選曲を務める。Grooveは"実験室のようなライブハウス"をうたっていることもあり、ほかの番組ではかからないようなアンダーグラウンドな作品を積極的に紹介する。ある曲をかけた時には「この曲はお店でかけると不評なんですけど(僕は)最高だと思っています」と自信満々に紹介した。ライブハウスで演奏された沖縄の貴重な音楽が聴けるのもうれしい。

ミュージシャンが担当する番組に同業の音楽家が出演すると、思わぬマニアックな話に花が咲くことがある。広島のRCCラジオではユニコーンのドラマー、川西幸一の冠番組「かわにしんち」(水、23・00―23・30)がスタート。川西は活動の拠点を呉市に移したこともあり、広島から音楽の話を届ける。番組開始時には奥田民生も出演したほか、先日の放送ではライブで故郷の広島を訪れた吉川晃司を招き、広島弁全開のトークを展開。川西は吉川のライブのバックバンドを務めるほどの仲。"超"がつくほどのローカルネタが満載で地元のリスナーを沸かせた。

FM NACK5(埼玉)の深夜番組「ラジオのアナ~ラジアナ」(月―木、25・00―29・00)は今春リニューアル。火曜に注目のバンド、MOSHIMOのヴォーカル&ギターの岩淵紗貴が登場した。これから有名になりそうな音楽を紹介したり、ゲストを招いたり、投稿ネタを紹介したり、悩みに答えたりとバラエティに富んだ内容。パワー全開の岩淵は「4時間あっても喋り足りない!」と嘆くほどだ。なかでも深夜2時台の若手ミュージシャンをゲストに招くパートでは岩淵がグイグイ迫って話を引き出す。遠慮しないところは聴いていて痛快。曲作りの話ではお互いの苦労が分かるため深い話になることも。岩淵は姉御肌の存在で「困ったことがあったら相談してね!」とオープンに接する。初めて会ったゲストでもリラックスしてペラペラ喋らせる不思議なマジックの持ち主だ。

大阪のFM802「LNEM」(月―水、27・00―30・00)では2人のDJ(松永恵麗奈、ハタノユウスケ)がデビュー。どちらも2001年生まれの20歳だ。松永は上海の復旦大学に在籍しており、日本語、英語、中国語を話すトリリンガルだ。小学生の頃から密かに憧れていたラジオDJの夢を叶えた。初回から堂々としていたことにリスナーから驚きの声が上がっていた。一方「大学のレポートが終わらないんです!」と嘆く微笑ましい一面もある。ハタノも初回こそ緊張していたものの回を重ねるごとに板についてきている。野球、お笑い、バスケ、ラーメンなど好きなものが幅広い。2人とも声もセンスも良く、今後の活躍に期待だ。

"デビュー"といえば広島FMでは3人の若手DJ(小竹彩花、山本将輝、安広修平)が午後ワイド「#PUSH」(火―木、13・30―15・55)で一斉にデビューを果たした。今春まで「大窪シゲキの9ジラジ」(月―木、20・00―22・00)でアシスタントDJを務め、裏方の修行を積んだ3人の門出である。「9ジラジ」にも新たなアシスタントDJが登場し、頼れる兄貴"オオクボックス"のもとで修行している。

ユニークな企画でデビューしたのが静岡のK-mixに4月に入社したばかりの牧村一穂アナウンサー。自他ともに認めるラーメン好きで「牧村一穂の〆ラーCLUB」(月、28・00―28・30)をスタートさせた。自ら訪れたラーメン店のリポートに加えてリスナーから寄せられたラーメン情報がお腹の虫をグーグー鳴らせる。
 
岩手のIBCラジオで始まった「よこっちピーマンのここで働かせてください!」(月、18・15―18・45)は花巻出身の芸人、よこっちピーマン(よこちしんぺい)が長谷川拳杜アナウンサーとともに新聞配達、図書館司書などさまざまな仕事を体験した様子を放送する。ロケの様子の切り取り方や2人の会話の内容など、よく練られた構成で仕事の魅力が分かる濃い30分だ。

いずれの番組も始まったばかり。リスナーに愛され、定着することを願っている。

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