8月17・18日中央審査【参加/15社=19件】
審査員=民放連技術委員会「技術表彰選考小委員会」委員
技術部門は、民放連会員各社の放送技術に関する開発・改良などにより、民放事業に貢献し、その発展に寄与した事績に賞を贈る。
本年は15社19件の申請があり、民放連技術委員会「技術表彰選考小委員会」が、有効性、汎用性、創造性、主体性などの観点から総合的に判断し、最優秀1件、優秀6件を選考した。さらに、技術奨励賞1件を選考した。表彰事績の概要は次のとおり。
最優秀=テレビ北海道/バーチャルマスターオペレーターの開発
マスターのレイアウトをPC画面上にCGで忠実に再現し、マスターのあらゆるオペレーションや監視業務を、リモート環境においてもセキュアかつリアルタイムで行うことが可能なシステムを開発・実用化した。
これにより、マスター業務を著しく効率化・省力化して、人的リソースの有効活用を実現したほか、異業種での活用や複数局のマスターの統合監視、さらにクラウドマスターへの展開の可能性を示すなど、テレビ送出技術の高度化に大きく貢献した。
優秀=北海道文化放送/少人数で安価な視聴率データと番組内容の可視化・DXツールの自社開発
視聴率や番組、SNSなどの各種データを、データベースの複雑な設計や管理を要さずに、ダッシュボードとして可視化するシステムを、少人数で安価に開発・実用化した。
これにより、コンテンツ価値の可視化やコンテンツ内容の改善につながる分析を実現したほか、社内で個人差があったデータ分析のクオリティを平準化するなど、放送業務におけるDX推進に貢献した。
優秀=TBSテレビ/放送映像メタ付与AIプラットフォーム及び活用システムの開発
顔認証、音声認識、文字認識の3種類のAIで放送映像を解析して、生成したメタデータをクラウド上に蓄積するプラットフォームを構築するとともに、これを活用した放送映像の検索システムとテロップ監視支援システムを開発・実用化した。
これにより、放送映像の検索や誤テロップの検知を迅速に行うことが可能になり、業務負担の軽減を実現するなど、テレビ放送業務の効率化と高度化に貢献した。
優秀=TBSテレビ/オンライン完パケ納品システム メディアブランチの開発
地上波に限らず、さまざまな完パケ素材の納品を一元管理して納品状況を可視化するとともに、記録表およびキューシートの作成やQCチェック機能などを実装したオンライン納品システムを開発・実用化した。
これにより、納品の時間的・場所的制約を解放して利便性を向上させ、メディアレスによる省資源化も実現するなど、テレビ放送業務の効率化とサステナビリティに貢献した。
優秀=日本テレビ放送網/ボリュメトリックビデオを用いたプロ野球中継
約100台のカメラを用いたグリーンバックが不要なボリュメトリックビデオ技術と、写実的な背景CGおよびリアルタイムの観客映像を組み合わせることで、撮影不可能だったアングルからの自由視点映像を即時に生成し、臨場感のあるプロ野球中継を実現した。
これにより、革新的でダイナミックな映像表現を視聴者に提示するとともに、スポーツ中継の可能性を広げるなど、テレビ制作技術の高度化に貢献した。
優秀=日本テレビ放送網/AIモザイク編集ソフト「BlurOn」の開発 ~働き方改革と適切な個人情報保護の実現~
AIによる高精度な被写体検出およびトラッキングをクラウド処理し、その処理結果をキーフレームとして出力させることで自由な調整や設定、加工を可能とする自動モザイク編集のプラグインソフトウェアを開発・実用化した。
これにより、適切な個人情報保護のためのモザイク処理にかかる業務負担の軽減と所要時間の短縮を実現し、ポストプロダクション業務の効率化に貢献した。
優秀=テレビ朝日/自動スイッチングシステムの開発
音声解析およびAIによる表情などの映像分析と、単純な動作とならない切り替えタイミングや頻度、キープ時間などを定量化した独自のアルゴリズムとを組み合わせて、カメラ映像のスイッチングを自然かつ自動で行うシステムを開発・実用化した。
これにより、スイッチャーの無人運用が可能となり、少人数での番組制作や業務負担の軽減を実現し、テレビ制作技術の効率化に貢献した。
*
技術奨励賞=札幌テレビ放送/マスター運行のリモート支援システム(AToM)の開発
マスターの運行業務をリモート環境から支援するシステムを自社で開発し、顕著な業務改善を果たした。