放送日誌 2023年8月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2023年8月分を掲載。


【民放連】
8.1 2023年日本民間放送連盟賞の中央審査がCM部門を皮切りに始まる(~23日)。CM部門、技術部門、特別表彰部門(青少年向け番組、放送と公共性)番組部門テレビドラマを除く番組部門のラジオ・テレビ7種目が地区審査を経て有識者やジャーナリスト、作家などによる中央審査に臨んだ。表彰は9月21日、表彰は11月7日の民間放送全国大会で行う。

8.3 民放連研究所、「ラジオの特性・広告効果に関する研究」の調査結果を公表。「民間放送の価値を最大限に高め、社会に伝える施策」の一環として2022年度から取り組んだ。ラジオのメディア特性、リスナー特性、情報や広告の影響力の関係性などを調べた。結果は、△ラジオメディアの主な利用シーンとして、ラジオ放送は移動中、radikoはくつろぎの時間に多く利用されている△ラジオ放送は災害時の情報や生活に身近な情報が期待されており、radikoはオンデマンド性が高く評価されている△ラジオ放送もradikoも、広告へのストレスの低さが大きな特徴となっている△リスナーの番組に対する「熱量」の高さが広告の影響力をより高める――などが明らかに(8.2会員社向けの報告会をオンラインで開催)。


【放送・マスメディア】
8.1 エフエム・ノースウエーブが正式社名を「株式会社FM NORTH WAVE」に変更。コミュニケーションネームにそろえることで認知度や企業価値の向上を図る。

8.1 南日本放送、「8・6豪雨災害デジタルマップ」の運用を開始。1993年8月6日に鹿児島市内を流れる甲突川が氾濫し、死者・行方不明者49人を出した「8・6豪雨災害」に関連する映像を場所ごとに地図上にマッピング。水害の記憶を伝承するため防災教育や自主防災に活用してもらう。

8.2 地方民間放送共同制作協議会〔火曜会〕の加盟局が制作するラジオ番組『録音風物誌』のコンクールで最優秀賞に山形放送の『うけたもう!羽黒山伏 ティム』が選ばれる。優秀賞は北日本放送の『げんじぃの手作りヤギ牧場』、新人賞は高知放送の『牧野博士を愛する小学生のガイドさん』が受賞。

8.2 日本新聞協会メディア開発委員会、自民党の情報通信戦略調査会でNHKのインターネット業務を必須業務化することにあらためて反対を表明。「NHKはネットの文字ニュースから完全に撤退を」と訴える。

8.15 SNSのX(旧Twitter)の仕様変更で避難指示などの情報をXで周知していた多くの自治体でニュース記事へのリンク付き投稿などができなくなる。Xの日本法人は政府や公的機関からの防災・災害情報の発信に関して自動投稿できるよう対応すると表明。

8.17 日本新聞協会・日本雑誌協会・日本写真著作権協会・日本書籍出版協会が生成AI(人工知能)をめぐり共同声明を発表。著作権の保護に関する検討が不十分と指摘し、技術の進化に合わせた著作権保護策の検討を要望。権利者団体と関係当局の意見交換の場を求める。

8.29 ジャニーズ事務所を創業した故ジャニー喜多川氏による性加害問題を調査していた同事務所の特別チームが報告書を公表。ジャニー氏が長期間にわたり性加害を繰り返していたことを認定した。その背景に「マスメディアが正面から取り上げてこなかった」とも指摘。NHKと在京テレビ、全国紙は相次いで「重く受け止める」とのコメントを発表。

8.29 日本新聞協会メディア開発委員会、総務省「公共放送ワーキンググループ(WG)」の取りまとめ案に意見書を提出。今城敬之委員長のコメントを発表。言論の多様性やメディアの多元性が損なわれることのないよう慎重な検討を求める。


【行政・海外】
<行政等>
8.2 自民党の「情報通信戦略調査会」、民放連・日本新聞協会・NHKからヒアリング。

8.7 総務省、地上基幹放送局の再免許の申請受付結果を発表。民放連に加盟するすべての地上基幹放送局の申請が受け付けられる。電波法関係審査基準等に基づいて審査し、11月1日に再免許が行われる予定。

8.24 東京電力、福島第一原子力発電所にたまる処理水の海洋放出を開始。期間は30年程度を見込む。

8.31 総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」第22回会合で「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第2次)」案を策定。NHKのインターネット活用業務を「必須業務化」とすべきとする公共放送ワーキングの提言を盛り込んだ。必須業務の範囲を競争評価のプロセスを経て決める仕組みとする。テレビを持たないネット経由の視聴者にはアプリをダウンロードして利用約款に同意するなどによって「テレビ設置と同等とみなせる場合」に費用負担を求める。PCやスマートフォンを保有するだけで費用負担を求めるべきではないとした。

<海外>
8.1 米Meta社、カナダ国内で運営するFacebookとInstagram上からニュース配信を停止。同国で6月に成立したオンラインニュース法への対抗措置。同法では、大手オンライン・プラットフォームにニュースを提供する報道機関との間で記事使用料の支払いに関する交渉を義務づけていた。

8.3 米ニューヨーク・タイムズ紙、利用規約にAIの開発のために同社の記事の写真を無断で利用することを禁じる条項を盛り込む(その後、米局メディアも同様の措置。ただしAP通信は「ChatGPT」を手がけるOpenAIとの技術提携を発表)。

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