放送日誌 2023年9月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2023年9月分を掲載。


【民放連】
9.21 「民間放送の価値を最大限に高め、社会に伝える施策」第2回中間報告を発表。2022年9月から民放連が各専門委員会で検討を進めている4本柱37項目のうち「番組出演者の保護」に関する放送局の留意事項の策定、ラジオの特性・広告効果に関する報告書の作成、テレビ広告の効果に関する動画と資料の制作、2023年民放連賞受賞番組の配信――などの進捗状況をまとめた。

9.21 2023年日本民間放送連盟賞(民放連賞)の各部門の審査結果を発表。最優秀および優秀に選ばれた作品・事績は番組・CM・技術・特別表彰の4部門14種目で計93件。技術部門で技術奨励賞1事績が選ばれた。参加は全体で681件だった。あわせて、番組部門のラジオとテレビからそれぞれ選ばれるグランプリ・準グランプリの候補16番組も発表した。

9.21 「民放連賞受賞番組配信キャンペーン」始まる。番組部門のラジオ・テレビの各種目で最優秀・優秀を受賞した56番組のなかから一部を特設サイトで無料配信する(~2024年3月末まで)。初めての試み。

9.21 遠藤龍之介会長が定例記者会見。▷ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題について、「重大な人権侵害であるとの認識を、民放を含む多くのメディアが持てなかったことは事実で、反省しなければならない」と述べ、民放連として人権に関する基本姿勢をあらためて議論したいと発言。▷総務省の有識者会議が示したNHKのインターネット活用業務の必須業務化には公正競争確保に関するNHKの責務の法定化が必要との考えを示す。

9.21 ラジオ委員会、株式会社radikoと共同で、10~11月に東京ビッグサイトで開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に次世代モビリティをイメージしたブースを出展し、「未来のラジオ」が実現するサービスや機能を紹介することを公表。専用ウェブサイト「民放ラジオ99局×radiko Touch! Future Radio in Mobility」を開設。

9.21 総務省の「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第2次)」案に意見を提出。▷放送ネットワークインフラ維持に関するNHKの責務の法定化▷中継局共同利用の協議は民放ローカル局が主体的に参加できる検討体制の構築▷ネット業務は拡大解釈の余地のないよう必須業務の範囲を明確に限定すること▷公正競争についてNHKの配慮義務の法定化――などを求める。

9.26 技術委員会、2023年度「テレビ制作技術研修会」を開く。基礎と実践的知識の習得を目的に、カメラや音声などの講義のほか「制作者の考え」「地方局の番組制作」「特別企画」枠を実施した。民放連会議室で実施するのは4年ぶりで22社79人が参加(~29日)。

―― 民放連研究所、2023年度のテレビ、ラジオ営業収入見通しを改訂し、「民放経営四季報」2023年秋号に掲載。2023年度の営業収入は、テレビ(地上民放127社)が1月に予測した2022年比0.2%増から同3.8%減、ラジオ(地上民放98社)が同1.9%増から同2.6%減へ、いずれも下方修正した。


【放送・マスメディア】
9.1 関東大震災から100年を迎えるこの日、各メディアは特集番組や記事を通じて関東大震災を振り返るとともに大地震への備えを訴える。

9.1 放送番組センター、同センターが保存している番組を視聴できる「全国放送番組アーカイブ・ネットワーク」事業の取り組みをスタート。福島県の郡山市中央図書館の館内に設けた専用端末2台で利用者が無料でテレビ106番組・ラジオ15番組を視聴できる。同センターは、今後5年間で拠点施設10カ所、視聴可能番組500本を目指す。

9.5 TVer、初のオリジナルドラマ『潜入捜査官 松下洸平』を配信開始。俳優の松下が本人役で主演するサスペンスコメディで在京民放テレビ5社も制作に協力。

9.6 CROSS FM、𠮷田嘉明会長が保有する同社の全株式を大出整氏(インターステラテクノロジズ㈱シニアアドバイザー)、堀江貴文氏(実業家)、三戸政和氏(㈱日本創生投資社長)の3人に譲渡したと発表。大出氏が代表取締役社長、堀江氏が代表取締役会長、三戸氏が取締役に就任。𠮷田会長は退任する。

9.14 ジャニーズ事務所が記者会見。創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害の事実を認め謝罪。藤島ジュリー景子社長が辞任し、後任に東山紀之氏が就任。被害者への補償と再発防止に取り組むことを明らかに。

9.21 日本テレビがスタジオジブリの株式を取得し子会社化することを発表。

9.22 東北地区のテレビ朝日系列6局(青森朝日放送、岩手朝日テレビ、東日本放送、秋田朝日放送、山形テレビ、福島放送)、共同で番組や地域情報などをネット配信するサービス、東北総合ポータル「topo」をスタート。

9.28 日本新聞協会メディア開発委員会、総務省の「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第2次)」案に意見を提出。NHKのインターネット業務を必須業務化することにあらためて反対。

9.― 在京テレビ各社、ジャニーズ事務所の創業者による性加害被害者補償などへの取り組み発表を受けて対応(9.11 NHK、『クローズアップ現代』で検証番組を放送。9.14 テレビ東京、同事務所に経営改革を急ぐよう書面で申し入れたと発表。9.20 TBSテレビ、9.25 日本テレビ、9.26 テレビ朝日、9.29 フジテレビの各社長が定例会見で事業への認識と同事務所に申し入れや要望を行ったことを明らかに)。 


【行政・海外】
<行政等>
9.6 自民党の情報通信戦略調査会(野田聖子会長)は、インターネット時代における公共放送のあり方などについての提言を松本剛明総務大臣に手交。NHKの業務を時代の変化にあわせて見直していく必要があるとし、インターネットを通じた情報配信をNHKの必須業務として放送法で早急に位置づける必要があると述べる。

9.13 第2次岸田再改造内閣が発足。総務大臣に自民党の鈴木淳司氏が就任した。15日付で総務副大臣に渡辺孝一と馬場成志の両氏、総務大臣政務官に船橋利実、長谷川淳二、小森卓郎の3氏が任命。放送行政は、渡辺副大臣と小森大臣政務官がそれぞれ担当する。

9.21 公正取引委員会、Yahooなどニュースをまとめて表示するプラットフォーム事業者と報道機関の取引実態に関する調査報告書を公表。事業者が自社のプラットフォームに報道機関の記事を載せる際に使用料を一方的に著しく低い単価を設定することは独占禁止法違反の恐れがあると明記(25日、Yahooは報道機関との契約内容の見直しなどを検討すると発表)。

<海外>
9.5 米Meta社、英・仏・独の3カ国でFacebook内のニュース配信専用タブ「Facebook News」を12月初旬に停止すると発表。「Facebook News」の利用率が全体の3%弱と低いため、今後は短編ビデオやファクトチェックへの投資を拡大していくという。

9.7 米連邦通信委員会〔FCC〕で空席だった5人目の委員にアナ・ゴメス氏が決まる。米連邦上院議会で賛成55票、反対43票で承認。停滞していた重要案件の審議の前進へ業界は期待。任期は2021年7月1日にさかのぼって5年間。

9.7 全米のローカルジャーナリズムを支援する「Press Forward」が設立される。米国の超党派の慈善団体24超が連名で立ち上げ、今後5年間で5億ドル以上を投資すると表明。

9.21 米FOXコーポレーションとニューズ・コーポレーション、ルパート・マードック氏が両社の会長職を退任すると明らかに。11月の年次総会で名誉会長に退き、長男のラクラン・マードック氏(52歳)が両社の単独会長を引き継ぐ。

9.26 米脚本家組合〔WGA〕のストライキが終結。報酬・再配信分追加料金の値上げ、AI使用ルールなどで映画・テレビ製作者協会〔AMPTP〕と合意した。5月2日に始まり148日にわたるストライキはWGA史上番目の長さに。

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