放送日誌 2024年3月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2024年3月分を掲載。


【民放連】
3.1 民放連とNHK、日本視覚障害者団体連合の意見交換会をオンラインで開く。民放連からユニバーサルサービス部会の委員や解説放送の担当者ら、NHK、日本視覚障害者団体連合から合わせて約60人が出席。オブザーバーで総務省地上放送課も参加した。フジテレビはアニメ『鬼滅の刃』とドラマ『忍者に結婚は難しい』『silent』の具体的なシーンを、CBCテレビはプロ野球中継の解説放送の事例を、NHKは報道生番組や情報系バラエティでの実例をそれぞれ挙げて解説放送の工夫を説明し意見交換。

3.8 放送基準審議会、「番組審議会に関する全社会議」をオンラインで開催。2019年2月以来5年ぶり。207社の番組審議会(番審)担当者ら372人の申し込みがあった。事務局から番審の目的や民放連の基本認識、放送法など関連諸規定を解説したほか、「番組審議会WG」で抽出した運営上の課題や対応事例を紹介するなど会員全社で認識の共有をはかった。

3.21 2023年度第9回理事会を開催。▷2024年度民放連事業計画・予算▷機関紙「民間放送」(タブロイド版、紙による送付)をニューズレター化▷地球環境問題啓発スポットの放送▷「知的財産推進計画2024」の策定に向けた意見募集への対応▷2024年度「放送番組の違法配信撲滅キャンペーン」▷パリオリンピックのJC現地制作体制等――を承認。

3.21 遠藤龍之介会長、定例記者会見で任期1期目の総括と次期会長候補者として選定された所感を述べる。今の民放界の課題として、「人権」と「デジタル」の2つを挙げ、「民放事業者が社会から信頼され続けるために、今の任期で全力で取り組む。次の任期になっても重点課題であることに変わりはない」とした。

3.21 「知的財産推進計画2024」に関する意見募集に意見を提出。従来から要望してきた①放送コンテンツ等の海賊版対策、②WIPO「放送機関の保護に関する条約」への対応、③クリエーターや権利者への適切な対価還元、④コンテンツの海外展開の推進、⑤著作権教育の推進に加え、新たに⑥生成AI等に関する検討の継続・推進を求めた。

―― 放送計画委員会、「視聴データ利活用の周知広報に関する共通素材」を制作し、民放テレビ各社に提供。視聴データに関する視聴者理解の醸成に役立ててもらうために制作したもので、各社の放送やネット配信などで視聴データのPRに活用してもらう。

── 『放送倫理手帳2024』を刊行。2003年の刊行以来22冊目。放送人が心得ておくべき基本的な規範や放送倫理・番組向上機構〔BPO〕の3委員会が公表した決定、民放各社が取りまとめたガイドラインの最新情報などを収録。また、民放連が2023年12月に決定した「人権に関する基本姿勢」を収める。

── 民放連研究所、「民放経営四季報」2024年春号で2024年度の放送業界全体の重要課題と民放各社の経営対応策に関するアンケートの結果を発表。業界全体の重要課題は、「経営・労務関連」が1位となった。なかでも、「採用・人材確保」が2023年度調査に続き最も多く、応募者の減少や若手・中堅の離職が増えており、適正な人事配置や専門技能の継承に影響が出ているとの懸念も示された。


【放送・マスメディア】
3.6 毎日放送『せやねん!』(2月27日放送)の番組内コーナーのロケ中に撮影担当スタッフが負傷する事故があったことを発表。また、遊漁船が有効な船舶検査証書を持っていなかったことを明らかにし、事故直後に行なわれた海上保安庁の現場では聞き取りに乗船人数を偽って報告したとして同庁に謝罪。

3.12 NHK経営委員会、NHK経営委員長に野村ホールディングス(HD)名誉顧問の古賀信行氏(同HD元社長)を選任。同委員長職務代行者に弁護士の榊原一夫氏(元大阪高検検事長)が選ばれた。任期満了に伴い前経営委員長の森下俊三氏は2月29日に退任した。

3.13 NHK、「NHKの出演者に対する人権尊重のガイドライン」を策定。旧ジャニーズ事務所の創業者ジャニー喜多川氏による性加害問題を受けたもの。人権、人格を尊重した番組の制作・放送を強化する。

3.15  放送倫理・番組向上機構〔BPO〕、設立20周年を記念し、『BPOの20年 そして放送のこれから』を発行。各界の第一線で活躍する14人からの放送・BPOに向けたメッセージや設立20周年記念セッションの模様(2023年7月開催)などを収録。無料電子書籍をBPOウェブサイトに掲載している。

3.18 NHK、報道局元記者(2023年11月、懲戒免職)の取材費の不正な経費請求問題で約789万円(410件)のほかにタクシー・ハイヤーの私的利用も加えて1,073万円が不正と認められ、元記者は同日全額弁済したことを公表。

3.22 放送倫理・番組向上機構〔BPO〕、2023年度年次報告会をオンライン形式を併用して開催。特別シンポジウム「放送と人権いま放送局に何が求められているのか」に続き、放送倫理検証委員会、放送人権委員会、青少年委員会の3委員長が2023年度の活動を報告した。

―― 放送番組国際交流センター〔JAMCO〕の本年度の国際版番組が完成。文化交流や日本への理解に役立つ番組を民放連加盟のテレビ社とNHKから募り、英語吹替等の国際版を制作。4月以降、希望する途上国の放送機関に無償提供する。NHKから8番組、民放からは11社13番組が選ばれた。


【行政・海外】
<行政等>
3.1 政府はNHKのインターネット配信の業務を義務づける放送法改正案を閣議決定。NHKの必須業務にすべての放送番組の同時・見逃し配信と番組関連情報(番組内容と密接な関連を有する情報で、放送番組の編集上必要な資料に限定)の提供を追加することなど。受信料を支払っていないがネット配信の視聴を開始した者には受信契約を求めるほか、民放のあまねく受信努力義務の実施に対するNHKの協力義務を規定する。

3.6 公正取引委員会、「コネクテッドTV及び動画配信サービス等に関する実態調査報告書」を公表。動画配信サービスの利用率がここ数年急増し、利用する機器として「コネクテッドTV」が普及したことで、このTV向けOSを提供する事業者(Amazon、Googleなど)の支配力が強まってきていることを懸念して調査を行ったもの。

3.12 東京地裁、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)がジャーナリスト有田芳生氏のテレビでの発言で名誉を傷つけられたとして、日本テレビの情報番組『スッキリ』を放送した同社と同氏に計2,200万円の賠償を求めた訴えに対し発言に違法性はないとした。

3.13 東京地裁、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が紀藤正樹弁護士のテレビでの発言で名誉を傷つけられたとして、読売テレビ放送の情報番組『情報ライブミヤネ屋』に出演した同弁護士と同社に計2,200万円の賠償を求めた訴えに対し発言に違法性はないとした。

3.14 東京地裁、東京都内の1世帯に対しNHKの放送受信契約の受信料と割増金の支払いを命じる判決を下す。2023年4月の請求制度導入後、「割増金」の支払い命令の判決は初めて。

3.15 文化庁の文化審議会著作権分科会、「AIと著作権に関する考え方について」の報告書を公表。下部組織の法制度小委員会でまとめた生成AIとの関係で著作権法がどのように適用されるのか、権利制限規定が適用される場合や原則どおり著作物の利用に権利者の許諾が必要になる場合について一定の考え方を示した。

3.29 総務省、NHKの臨時目的放送に係る衛星基幹放送の業務を認定。能登半島地震の影響で石川県輪島市の一部でNHKと県内民放4局が停波したことにより、NHKが旧BSプレミアム(BS103ch)で続けてきた石川県域向け番組の放送を4月以降も継続するため同省に申請していた。

<海外>
3.5 全米放送事業者協会〔NAB〕の年次大会「ステート・リーダーシップ・カンファレンス(SLC)」がワシントンD.C.で開かれた(-6日)。全米から550以上のテレビ、ラジオ局の首脳が集まり、連邦議会議員や規制当局と業界の課題を話し合った。カーティス・ルジェットNAB会長があいさつで信頼できる情報源としてのローカルテレビの役割に触れ、特に大統領選挙の年はローカルテレビ局の存在がコミュニティに必要不可欠と強調した。連邦通信委員会〔FCC〕からはアナ・ゴメス委員も参加し、全米各家庭にテレビ・ラジオ放送が行き届くことと、信頼できるローカル報道の重要さやAIが放送・通信業界に与える影響について考えを述べた。

3.13 欧州連合〔EU〕の欧州議会がフランス東部ストラスブールで開いた本会議で人工知能〔AI〕の開発や運用を規制するAI規制法案を可決。世界初となるAI規制法は順調に進めば2024年春にEU理事会で成立し、2026年に施行される。

―― 米国のテレビ視聴者数が2024年1月に前月比3.7%増え、4年ぶりの高水準に。調査会社ニールセンが地上波・ケーブル・配信・その他(ゲームなど)の4カテゴリーでテレビ利用動向やシェアを調べている月次データ「The Gauge」で明らかになった。

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