「文研フォーラム2024」 災害報道のあり方を議論

編集広報部
「文研フォーラム2024」 災害報道のあり方を議論

NHK放送文化研究所は5月23~24日に「文研フォーラム2024」をオンラインで実施した。2024月1日に発生した能登半島地震を受け、被災者に必要な情報を迅速かつ的確に届けることができたのか。また、SNSなどに偽情報も多い状況下で正しい情報を適切に伝えたのかなど、放送メディアの課題を考えた。

23日は「より多くの人が避難する"呼びかけ"とは~能登半島地震をきっかけに防災情報を考える~」「能登半島地震から5か月~地域メディアによる課題共有と今後を考える~」の2つ、24日は「誤情報・偽情報にどう立ち向かう~メディアに何ができるのか~」の計3つのプログラムを実施した。見逃し配信はこちら (外部サイトに遷移します)。

23日に行われた「能登半島地震からか月~地域メディアによる課題共有と今後を考える~」では、石川県のメディアからパネリストが登壇し、災害時のメディアの役割などを話し合った。民放からは石川テレビの米澤利彦常務取締役、NHKからは森田智樹・金沢放送局長、新聞社からは森田奈々・北國新聞社編集局次長の3人。進行は村上圭子・NHK放送文化研究所メディア研究部研究主幹が務めた。

冒頭で、能登半島地震の報道について「象徴的な災害現場ばかりが報じられ、人的支援・物資がそこにばかり集中してしまう」「東日本大震災、熊本地震を経ても災害時のメディアの報道内容は変わっていない」などの同フォーラム参加者から事前に届いた意見を紹介。村上研究主幹が「メディアにとってリアリティのある課題解決の方向性、連携や役割分担について議論したい」と呼びかけた。

パネリストが被災地取材の体制などを報告しながら災害報道を振り返った。続いて、NHK放送文化研究所が月に被災地で行ったアンケート結果を紹介しながら、災害報道の"集中"と"空白"、連携の可能性を中心に意見交換を行った。「番組ごとにキャスターや記者が取材し被災地が混乱している」「代表取材はできないのか」などの被災地からの声に対し、取材エリアを分担することや被害情報を各メディアと被災地の自治体とで共有する可能性などが語られ、「普段からメディア間の連携を行わなければ、緊急時にうまくできない」「能登半島地震では取材するエリアなどの各社判断が重なり、同じような情報ばかりになった点は変更すべき」といった発言も。情報伝達については、報じた内容と被災者が必要とする情報のギャップに着目。熊本地震での経験を踏まえた助言に沿って災害関連死を防ぐための企画記事を掲載した事例の報告があったほか、テレビの字画面による情報提供だけでなくデータ放送やSNSの活用の可能性が語られた。

また、地域メディアに求められる役割や、今後の地域社会との向き合い方について話し合った。石川テレビ・米澤氏は「過疎化・少子化への対応策として、コンパクトシティ構想などがあるが、能登には昔からの生業があり、これをどうやって残しながら復興していくのかが課題」、北國新聞社の森田氏は「能登半島でひとつではなく、個性の混じり合いの集合といえるのが能登の素晴らしいところ。スマートシティ以外の解決法を求める人々の声を伝えたい」、NHKの森田氏は「能登は古い暮らしの良さが残る地域。効率とは相容れないものがある。地域の人たちと共に考えていきたい」など、各自の考えを述べた。

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