民放連、NHK、障害者放送協議会は「視聴覚障害者等向け放送に関する意見交換会」を5月21日に都内で開いた。字幕放送、手話放送、解説放送の各テーマで放送局側から最新状況を報告し、放送における情報アクセシビリティのこれからを話し合った。
字幕放送について、民放からは字幕表示の文字数を増やすなど視聴者に見やすい工夫を重ねている実例などを紹介。AI技術を活用した生字幕生成システムの実用化に向けて研究が進んでいることも報告した。障害者側からは各局のさまざまな工夫に謝意が示され、さらなるサービスや精度の向上への期待が述べられた。
手話放送は各局ともまだトライアルの段階にあるが、ローカル局の一部からは地元のろうあ者団体と情報交換していることなどが報告された。関連して、全日本ろうあ連盟からは手話言語を使ったスポーツ実況アナウンサーや解説者・通訳者の養成研修を行っていることが紹介された。
解説放送はドラマやアニメといった番組だけでなくバラエティや単発のドキュメンタリーにも徐々に付与が始まっていることや、解説を入れる隙間やタイミングが難しいクロストークのバラエティやスポーツ中継へのトライアルも進んでいることが報告された。NHKからは自動音声による携帯端末向けの配信実験の結果も紹介された。
このほか、放送局側からは改正障害者差別解消法(24年4月施行)に謳われている「合理的配慮」を念頭に、引き続き各局とも可能な範囲で試行錯誤を重ねていく旨を説明。障害者側からは「"建設的対話"の場になったと思う。今後も意見に耳を傾けていただき、よりよい放送となるよう、ともに協力していきたい」との発言があった。
意見交換会は今回で7回目。総務省の研究会が2012年5月にまとめた報告書の提言を踏まえ、14年から開催している。