【最優秀受賞のことば】山梨放送 はみだし しゃべくりラジオ キックス (2024年民放連賞ラジオ生ワイド番組)

佐藤 かおり
【最優秀受賞のことば】山梨放送 はみだし しゃべくりラジオ キックス (2024年民放連賞ラジオ生ワイド番組)

『はみだし しゃべくりラジオ キックス』(月~金、13:00~16:30)の火曜日は、芸人でありながら仏像研究家としても活躍中のみほとけさんと、ラジオパーソナリティの塩澤未佳子さんが担当しています。山梨放送開局70周年の節目を迎えるにあたって、新しいことに挑戦しようと女性コンビのスタイルで今年4月にスタートしました。

これまで全国1万体の仏像を拝んできたみほとけさんの圧倒的な情報量と、ラジオパーソナリティ歴25年、地元ネタに詳しい塩澤さん、さらに歴史学者で大河ドラマの監修者としても知られる平山優さんのお話など、歴史ネタがちょっぴり多めの番組です。

別のレギュラー番組で共演経験のあったみほとけさんと塩澤さん。どちらかがメインでもアシスタントでもない、リラックスしたトークをお願いしています。そのため伸び伸びと掛け合いができて、言いたいことを素直に言っても屈託がなく、笑って和めるところが強みです。今回の審査員講評で「女性2人のトークが新鮮でラジオの新しいリスナー開拓につながるのでは」と評価いただいたことは素直に嬉しかったです。

フリートークの中に、みほとけさんが巡ってきたお寺・仏像の話、塩澤さんが取材・体験してきた話、そしてタイムリーな話題を持ち寄ってくださるゲストのコーナーでは骨太な話題も織り交ぜ、自然と知的好奇心を刺激する情報や雑学が耳に入ってくるような構成を目指しています。

今回出品したのは、2024年5月21日の放送。新年度が始まって1カ月、五月病という言葉も聞かれ、疲れがたまっている時期ではないかということで、メッセージテーマは「リセット」。リスナーからの気分転換術や、心がすっきりする瞬間などを紹介しました。そしてみほとけさんおすすめの座禅を塩澤さんが初挑戦。瞑想をして心を静め自分を見つめる「止観」を体験し、周りの音と徐々に一体化するような感覚をリポートしました。

山梨在住の歴史学者、平山優さんのレギュラーコーナー「はみだしヒストリー」では、大河ドラマ『真田丸』『どうする家康』をはじめ映画・ドラマの時代考証をつとめる平山さんから、歴史の裏側について聞いています。この日は放送と同じ5月21日(天正3年)の出来事でもある「長篠の戦い」をピックアップ。これまで武田軍の敗因は、鉄砲と騎馬隊という新旧の戦術の違いで語られてきましたが、南蛮貿易を行い、近畿地方の物流も掌握していた織田信長に対し、武田軍もこの時代鉄砲を使用していながら、弾薬に必要な硝石や鉛などを入手できず、「ロジスティクス」の差が勝敗を分けたという新しい学説を紹介しました。

みほとけさんが1週間を振り返りトピックを紹介する「今週のみほとけ」では、紫式部の没後と供養について紹介。宮中の出来事にフィクションを交えて源氏物語を書き上げた紫式部は、嘘をついてはならないという仏教の戒律を破ったとして、没後、地獄に堕ちたという言説が広まったといいます。その後、紫式部を供養するために行われたという「源氏物語供養」について紹介しました。

このほか、地元大手燃料小売企業の専務を務める "みほパイセン"こと村松美穂さんが、子育て世代のパパ・ママにアドバイスを送る「3時のふくみみ」や、看護師資格を持つみほとけさんが、愚痴や相談を聞いてポジティブに送り出す「みほとけのポジティブクリニック」では、前向きになれるよう、等身大で明るさを失わないようにエールを送っています。

4月に船出したばかりのみほとけ・塩澤コンビですが、今回の賞を励みに、radikoを通じて全国のリスナーにも楽しんでもらえるよう、いろいろな試みをしていきたいと思います。受賞はこれまで支えてくれたリスナーやスポンサーの皆さま、そして山梨放送のラジオスタッフみんなのおかげです。ありがとうございました。


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