放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2024年12月分を掲載。
【民放連】
12.4 第2回臨時総会を開催。唐島夏生・エフエム東京社長を理事に選任。
12.19 2024年度第7回理事会を開催。「知的財産推進計画2025」の策定に向けた意見募集への対応や総会・理事会・会員協議会の会議日程のほか、臨時総会の開催と議案を承認。2024年日本民間放送連盟賞グランプリの審査結果および受賞番組の全国向け再放送予定の報告を了承。
12.19 「知的財産推進計画2025」に向けた意見を内閣府の知的財産戦略推進事務局に提出。知財委員会とコンテンツ海外展開委員会が連携し、「コンテンツの海外展開の推進」「放送コンテンツ等の海賊版対策」「生成AI等に関する検討の継続・推進」「クリエーターや権利者への適切な対価還元」「海外巨大プラットフォームによる適正な利益還元等」――の5点について意見を取りまとめた。
12.23 民放連研究所、『民放経営四季報』2024年冬号で2024-30年度のテレビ・ラジオ営業収入中期見通しを発表。テレビの営業収入は2024年度は地上テレビ全社および東阪名で1%を上回る増収を見込み、2025年度も微増収、2026-30年度は年平均マイナス1%前後の緩やかな減収局面を予測。ラジオの営業収入は微増収局面が2025年度まで継続したのち、2026-30年度まで年平均マイナス0.8%の減収局面になると予測。
12.25 知財委員会、「放送番組の違法配信撲滅キャンペーン」の啓発スポット「違法だよ!あげるくん」の新作(2種類)を公表。会員社(テレビ140社)により、インターネット上における放送番組の違法配信を抑止するために啓発スポットを2025年1月1日から3月31日まで集中放送し、インターネットでも配信。
―― 民放連研究所、書籍『拡大する情報空間と放送メディアの未来』(勁草書房)を刊行。2023年度まで民放連研究所が設置していた「客員研究員会」(座長=三友仁志・早稲田大学国際学術院大学院アジア太平洋研究科教授)の2022-23年度の活動として行った「"放送の将来"を展望できるような未来志向の研究」を統一テーマとし、客員研究員とその研究協力者がそれぞれ設定したテーマに関する研究の成果を取りまとめた。
【放送・マスメディア】
12.2 日本新聞協会メディア開発委員会、NHKのインターネット活用業務実施基準の変更の認可申請の取扱いに関する総務省の考え方への意見を同省に提出。NHKと民間メディアの間に公正競争は成り立たないとしたうえで、メディアの多元性への影響やその確保についても重視することを求める。
12.11 「第33回FNSドキュメンタリー大賞」に石川テレビ放送『珠洲の窯漢』(すずのかまおとこ)が選ばれる。
12.17 NHKによるかんぽ生命保険の不正販売に関する報道(2018年4月に放送した番組『クローズアップ現代+』)をめぐり経営委員長が会長を厳重注意したことについて、市民らがNHKに経営委員会の議事録開示や損害賠償を求めた訴訟が東京高裁で和解が成立。前経営委員長の森下俊三氏が原告側に解決金として計98万円を支払う。NHKは翌18日、公式ウェブサイトに議事録を公開した。
12.18 日本新聞協会メディア開発委員会、政府が策定する「知的財産推進計画2025」に向けた意見を内閣府の知的財産戦略推進事務局に提出。生成AI(人工知能)と知的財産権をめぐる懸念やリスクを指摘したうえで知的財産保護への法整備を求める。
12.19 読売新聞グループ本社の渡辺恒雄・代表取締役主筆(98歳)が肺炎のため都内の病院で死去。メディアなどを通じて政界・新聞界・球界・各界などの国内や海外からも多くの追悼の声が寄せられる。
12.24 日本テレビ系列4社(札幌テレビ放送・中京テレビ放送・読売テレビ放送・福岡放送)がそれぞれ臨時株主総会を開き、経営統合するための持株会社「読売中京FSホールディングス〔FYCS〕」の設立を承認した。2025年4月1日付で4社は完全子会社としてその傘下に入る。
12.25 NHK、民放と地上波テレビの放送中継局を共同利用する子会社「日本ブロードキャストネットワーク〔J-BN〕」を設立。NHK技術局システムソリューションセンター統括部長の吉見智文氏が代表取締役社長に就任した。NHKは1億円を出資し、今後、民放各社からの出資も募る。
12.27 12月中旬以降、一部週刊誌等で報じられていたタレントの中居正広氏の女性トラブルをめぐり、フジテレビが同社社員は一切関与していないとの見解を公表。
【行政・海外】
<行政等>
12.13 総務省、「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第3次)」を公表、確定した。原案から大きな修正はなかった。▶「放送の将来像」の検討に当たっては、編集責任や優遇措置などの多岐にわたる論点を一体的に議論することや関係者の意見を丁寧に聴きつつ議論を重ねることが重要▶「小規模中継局等のブロードバンド等による代替」については、費用負担のあり方の検討や地域住民の理解を得るプロセスについても一義的には放送事業者において取り組むべきもの▶「ラジオ放送における経営の選択肢」について、再度のAM局の運用休止に係る特例措置の適用期間の設定は、現在の特例措置の実施状況等を踏まえ判断すべき――などの考え方が示された。
12.13 総務省、「AM局の運用休止に係る特例措置に関する基本方針」改定案の意見募集結果を公表、確定した。原案から大きな修正はなかった。▶特例措置の適用を受けて運用休止を行ったAM中継局について、適用期間(2025年9月1日~2026年10月31日)終了後、AM局廃止が可能となるよう制度整備を行うことを予定している――など総務省の考え方が示された。
12.16 公正取引委員会、価格転嫁に関する特別調査の結果を公表。放送業は全産業のうち、「労務費転嫁交渉指針の認知度」で74.1%とトップに挙がるものの、「各業種や業態別のサプライチェーンにおけるコスト全般の価格転嫁等の状況」の「受注者が価格転嫁を要請した割合」が12.2%、「受注者が価格転嫁を要請した場合の取引価格引上げの状況」の割合が56.9%といずれも低い業種に挙げられた。
12.17 総務省「日本放送協会の番組関連情報配信業務の競争評価に関する検証会議」第4回会合で「日本放送協会の業務規程に係る意見」を取りまとめる。▶NHKが提出した業務規程(=番組関連情報配信業務の実施に関する規程)の内容について、改正放送法の規定に適合していないとする意見は見られなかった▶NHKが番組関連情報配信業務を実施するにあたっては、検証会議における構成員からの意見も踏まえて、メディアの多元性の確保を含む「公正な競争の確保」に向けて取り組んでいただきたい――など。 また、同意見には民放連の質問に対してNHKが示した回答について、「これらの原理原則は業務規程を補完するものであり、今後の評価のポイントにもなる」と記載された。同意見は翌18日付で村上誠一郎総務大臣に提出された。
12.19 総務省がFM放送用周波数の拡充に関する制度整備案を公表し、意見募集を開始。(2025年1月10日、同省は制度整備案に不備があったとし、一部修正したうえで意見募集の締切日を2月10日まで延長。)
12.26 公正取引委員会、「音楽・放送番組等の分野の実演家と芸能事務所との取引等に関する実態調査」の報告書を公表。①実演家と芸能事務所、②放送事業者等と芸能事務所・実演家、③レコード会社と芸能事務所・実演家の各取引について、「独占禁止法・競争政策上問題となり得る行為」や「違反となり得る類型」をそれぞれ提示した。
<海外>
12.26 韓国の「人工知能(AI)の発展と信頼基盤の構築に関する基本法(AI基本法)」制定案が国会本会議で可決された。本法案は、「国のAIガバナンス体系」「AI産業の体系的育成」「AI関連の危険の予防措置」――を盛り込む。