放送文化基金主催の「全国制作者フォーラム2024」が2月17日に都内で開かれた。2023年秋に3地区で行われた本年度の各フォーラムを締めくくるもの。対象となった地区だけでなく全国から若手制作者ら80人が集い、各地区で選ばれたミニ番組コンテストの入賞作を上映。トークセッションを通じてローカル番組の面白さと可能性を語り合った。※写真はすべて放送文化基金提供
上映されたのは次の9番組(上映順、制作者名(社名)/番組タイトルの順、敬称略)。
《「愛知・岐阜・三重制作者フォーラムinなごや」(11月22日)選出》
▷瀧澤菜緒(CBCテレビ)=チャント!「来月50歳 名駅ナナちゃん人形にお母さんがいた!? 親マネキン大捜索」
▷熊井 恵(NHK名古屋放送局)=まるっと!「あのとき何食べた~お父さんのLOVEが詰まったピカロネス~」
▷伊佐治好音(三重テレビ)=Mieライブ 「受刑者と社会を結ぶ くみひも」
《「北日本制作者フォーラムinやまがた」(11月17日)選出》
▷宇佐美瑠衣(札幌テレビ)=どさんこワイド179 「ボクの耳はどうして小さいの?」
▷藤澤一樹(NHK福島放送局)=ウィークエンド東北 「震災12年 被ばくした牛と生きる」
▷松原一裕(NHK盛岡放送局)=おばんですいわて 『誰かのために~「がんばれ」掲げたあの日から~』
《「九州放送映像祭&制作者フォーラムinふくおか」(11月25日)選出》
▷浅上旺太郎、阿部裕司(RKB毎日放送)=タダイマ!「ブラックモンブラン"宇宙"に行く」
▷宇木千紗(鹿児島テレビ)=ナマ・イキVOICE 「それぞれの旅立ち」
▷吉村真紀(熊本朝日放送)=くまパワ! 「生きるために声を失う 25歳 最後に伝えたいこと」
いずれもローカルニュースやワイド番組で放送された5ー10分の特集やリポート。各地区の激戦を勝ち抜いた作品だけに、東日本大震災の爪痕を静かに見つめた社会性の色濃いものから、ご当地の魅力を笑いを交えて伝えるバラエティまでテーマも手法も多彩。上映中は涙や笑いが絶えなかった。ゲストに金川雄策(Yahoo!ニュース・エキスパート ドキュメンタリー チーフ・プロデューサー)、持丸彰子(NHK大阪放送局・ディレクター)、山下晴海(RSK山陽放送・報道制作局長)の3氏を招き、コーディネーターの丹羽美之・東京大学教授の進行でそれぞれの作品をめぐる制作の裏話や質疑応答が行われた。
ゲストからはテーマの選び方や取材対象者に寄り添うためのロケ地選び、それらをより際立たせる撮影や照明のテクニック、さらに編集の手法まで具体的なノウハウをアドバイス。フロアの作り手たちも熱心にメモをとっていた。丹羽教授は「番組コンクールのなかでも、ミニ番組を対象にしているのは、このフォーラムだけ。今日ここにいる若者たちが、未来の放送文化基金賞や民放連賞を担っていくことになる」と参加者にエールを送った。全番組の視聴後、ゲスト3人とコーディネーターがお気に入りの1本を選定。持丸賞に吉村真紀さん(熊本朝日放送)、山下賞に宇佐美瑠衣さん(札幌テレビ)、金川賞に松原一裕さん(NHK盛岡放送局)、丹羽賞に三重テレビの伊佐治好音さんを選んだ。
このほか、「テレビは終わらない」と題してゲストとコーディネーターによるトークセッション(写真㊤)が行われ、若者たちの間でテレビ離れが進むなか、これからもテレビが生き残っていくための魅力的なコンテンツづくりの方策を話し合った。