2024年度BPO年次報告会 特別シンポジウム「令和のコンプライアンス、その先へ」も開催

編集広報部
2024年度BPO年次報告会 特別シンポジウム「令和のコンプライアンス、その先へ」も開催

BPO(放送倫理・番組向上機構)は3月4日、2024年度の年次報告会を東京都内で開催し、オンラインで配信も行った。特別シンポジウム「令和のコンプライアンス、その先へ」に続き、放送倫理検証委員会、放送人権委員会、青少年委員会の3委員長が2024年度の活動を報告した。

冒頭、大日向雅美理事長があいさつし、2024年は選挙が多く行われたため、選挙期間のテレビ・ラジオの報道量、候補者の扱いについて視聴者からさまざまな声が寄せられたが、「放送局においても、すべき役割を再確認し、次の選挙に向けた新しい試みを進めている」と振り返った。そのうえで「BPOは正確な放送と放送倫理の向上に努め、放送局の自律的な取り組みの後押しをしていきたい」と語った。

特別シンポジウム「令和のコンプライアンス、その先へ」はモデレーターを小西美穂関西学院大学特別客員教授が務め、第1部=ドラマ制作現場のいま、第2部=『不適切』はなぜ、令和を駆け抜けた?、第3部=クロストーク:『べらぼう』×『不適切にもほどがある!』――の3部構成で実施。第1部では、インティマシーコーディネーターの浅田智穂氏とNHKチーフプロデューサーの藤並英樹氏が登壇。2人が制作に関わったNHKのドラマ10『大奥』、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の事例を紹介しながら、性的なシーンにおいて俳優やスタッフの心身を守るためのルールや安心できる撮影現場を作る重要性について議論した。第2部は、TBSテレビのドラマ『不適切にもほどがある!』から脚本家の宮藤官九郎氏、プロデューサーの磯山晶氏が登壇。同ドラマの着想の経緯や、社会現象となった「ふてほど」の魅力を制作者視点で語り、令和のテレビについて考えた。第3部は、第1部、2部の登壇者に加えて、BPO放送倫理検証委員会の小町谷育子委員長が加わり、クロストーク(=冒頭写真)。いまのテレビに求められること、制作者やチームのモチベーションの保ち方などさまざまな議論を展開した。

続いて、BPOの渡辺昌己専務理事から2024年度の業務報告があった後、3委員長が2024年度の活動を報告。放送倫理検証委員会の小町谷委員長は、2025年1月に「放送倫理違反があった」とする委員会決定を行ったテレビ東京『激録・警察密着24時‼』の事例のほか、討議を行った番組について解説した。最後に「今年は放送100年であり、戦後80年である。放送開始の20年あまりは現在と全く異なり放送の自由が極めて制限されていた。放送の自由はみんなが努力をして守ってきたことをもう一度確認したい」と語った。

放送人権委員会の曽我部真裕委員長は、2月に公表したサンテレビジョンの調査報道に対する地方自治体元職員からの申し立てに関する委員会決定を解説した。また2024年度に対象となった申し立ては28件あり、審議入りしないまたは対象外とした事案についても説明したほか、SNS時代の選挙はどうあるべきかという意見交換会を近畿地区で行ったことを報告。曽我部委員長は3月末で退任することから、「12年間委員を務め、その間放送局の皆さまと意見交換も数多くさせていただき、たいへん学びが多かった。皆さまのご支援に感謝したい」と振り返った。

青少年委員会の榊原洋一委員長は、2024年度に討論入りした案件は1件、審議入りはなかったと説明した。このほか中高生モニター制度に関する報告、青少年委員会委員の講師派遣の利用の呼びかけを行った。「子どもがどのように番組を見ているかモニターしたうえで、意見を述べる活動をしている。日本の文化を構成する要素である放送番組がよりよく成長してもらうため、委員会としてお手伝いする立場で活動したい」と語った。

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