日本アドバタイザーズ協会(以下、JAA)は、4月23日に2025年度の事業説明会を開催した。冒頭、川村和夫理事長(明治ホールディングス代表取締役社長 CEO =冒頭写真)は「デジタル広告の取引におけるアドフラウドやブランドセーフティ、ビューアビリティといった品質課題は大きな問題となっている」「アドバタイザーとしてメディアや広告の透明性・信頼性をより重視する姿勢が求められている」と指摘し、「日本アドバタイザーズ協会としてもこうした課題にしっかりと向き合い、業界全体の発展に貢献できるよう努力してまいりたい」とあいさつした。
続いて、中島聡専務理事から、JAAの2025年度活動方針として、①生活者の信頼を得る広告活動の推進、②人材育成の強化、③広告効率・効果の改善の研究とそれに向けた諸課題の解決――の3つをテーマとすると説明があった。①は、偽・誤情報に基づく広告や誇大広告が増加し、業界内の人権意識の欠如に端を発し広告に対する好感・信頼が失われ、メディアの多様化による広告そのものへの興味関心が低下していると現状を分析し、広告倫理と透明性を強化するためにコミュニケーションの在り方の研究や環境整備を行うとした。②は、提供している研修プログラムを再構成するほか、認定制度導入の検討を行うことした。③は、各媒体の統一的な効果測定指標の整備と運用促進、統合的なマーケティング施策に必要なデータの確立に向けた研究とステークホルダーへの提言などを行うとした。
このほか、各委員会からの説明があった。2024年度に活動を開始したメディア委員会の鈴木あき子委員長(サントリーホールディングス執行役員)は、統合メディアプランニングの必要性が高まる中で、現在の環境下でどれだけ精緻な取り組みを行うことができるのかについて理解を深めていくための活動を目指していると同委員会の目的を説明。2025年2~3月に会員社に対してアンケートを実施した結果、「自社のメディア配分のプランニングに満足していると回答した社は45%」「効果検証に対する満足度は30%」と満足度が低いことが分かったほか、統合プランニングにおける悩みのトップ3は、「媒体ごとに指標が異なり横並びで評価比較できないこと」「自社の配分方法よりもより良い方法があるのか分からないこと」「メディア配分のためのデータ解析に詳しい人材がいないこと」であり、それぞれ7割弱の広告主が悩みとして挙げていることを明らかにした。同委員会では、アンケート結果を踏まえ、今後重点課題のピックアップを行うとした。また、メディア委員会傘下のテレビ・ラジオメディア専門委員会(委員長=今西周・日本コカ・コーラマーケティング本部IMX事業本部長)は、放送局における広告付き配信の活用拡大を踏まえ、在京テレビ局5社に配信視聴に関する調査報告を求めるほか、クローズドキャプション字幕付きCMを実施する広告主の拡大に向けた働きかけを行うとした。
2024年度から「広告の定義プロジェクト」で検討を進めていた結果を取りまとめた「日本アドバタイザーズ協会 広告の定義」もあわせて発表した。プロジェクトメンバーである中島専務理事は「元来広告、マーケティングは人々の幸せを増大させ、誰一人取り残さないことが社会的な大義であると考え、お客さまに寄り添い、信頼創造に向けた改革に取り組むため、公益性・共益性を担うアドバタイザーとして目指す姿をまとめた」と述べた。「広告の定義」には、「すべての人々の人権を尊重」などの「アドバタイザーの宣言」も示されている。
■日本アドバタイザーズ協会 広告の定義 (※外部サイトに遷移します)