北米最大のスポーツイベント「NFLスーパーボウル2025」が2月9日にルイジアナ州ニューオーリンズで開かれ、地上波のFOXネットワーク、同じくスペイン語放送のFox DeportesとTelemundoが生中継、FOX系のFASTサービス「Tubi」とNFLのデジタルプラットフォームが生配信した。
アメリカンフットボールの最高峰NFL(National Football League)の年間王者を決めるスーパーボウル。59回目となった今年は18時半(米東部時間、以下同)にキックオフされた。3年連続優勝を狙ったカンザスシティ・チーフスをフィラデルフィア・イーグルスが40-22で圧倒し、イーグルスは7季ぶり2度目の王者に。視聴者数の平均は1億2,770万人と過去最高となった。視聴者数のピークは20時~20時15分の第2クオーターで、1億3,770万人だったという(視聴者数はいずれもニールセン調べ)。
▶配信経由の視聴も過去最高に
CBSとパラマウントが中継・配信した昨年の第58回は1億2,340万人、2年前にFOXが中継した第57回は1億1,300万人で、今年はそれらを上回り3年連続で記録を更新した。試合翌日にFOXが速報した平均視聴者数は1億2,600万人だったが、その内訳は地上波FOXが平均1億1,150万人と圧倒的だった。
配信視聴も1,440万人と過去最高に。このうちFOXのFASTサービス「Tubi」経由が1,360万人、NFLの各デジタルプラットフォームの合計が80万人だった。ただし、配信では多くのプラットフォームで地上波のリアルタイム中継より40秒~60秒を超える遅延がみられたという。
また、1週間前の第67回グラミー賞で主要5冠に輝いたラッパーのケンドリック・ラマーが登場したハーフタイムショーの視聴者数はNFLの発表によると1億3,350万人で、こちらも新記録となった。
▶広告需要も盛況
ゲーム展開そのものは一方的で面白みがないと言われた今回だが、これだけの視聴者数を弾き出した理由の一つに、盛況な広告需要が挙げられる。米メディアによると、今年は試合中の30秒広告が初めて800万㌦(約12億円)を超えた。1月のカリフォルニア州南部の山火事の影響で直前にキャンセルする広告主が例年以上に多かったものの、順番待ちしていた10を超えるスポンサーが記録的な高値にもかかわらず飛びついたという。試合直前に入るCMも最高450万㌦、試合直後も400万㌦と高騰した。総広告売上額は全米だけでスーパーボウル史上最高の7億㌦を見込む。この高需要を受け、来年サンフランシスコでのスーパーボウルを中継するNBCUにはすでにスポンサーからの打診が殺到していると伝えられている。
▶トランプ大統領も現地で観戦
スタジアムで観戦する著名人の姿もテレビ視聴者にとっては楽しみのひとつ。ドナルド・トランプ氏が歴代大統領で初めてスタジアム観戦したことも注目された。チーフスのトラビス・ケルシー選手と交際中のテイラー・スウィフトも2年連続で姿をみせたほか、ポール・マッカートニー、アダム・サンドラー、ケビン・ハート、ケビン・コスナー、アン・ハサウェイ、前ファーストレディーのジル・バイデンの姿もあった。
このほか、ケーブルプロバイダーのコムキャストは契約世帯にスーパーボウル中継で初めてDolby VisionとDolby Atmos音響で提供したほか、大手テレビ所有会社グレイが次世代テレビ規格ATSC3.0で中継をHDR映像で視聴者に届けるなど、放送技術面でも新たな展開があった。NFLの公式技術パートナーであるソニーも今年は240台以上のカメラを中継に使うと発表していた。