放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2025年2月分を掲載。
【民放連】
2.4 「FM放送用周波数の拡充に関する制度整備(案)」に対する意見を総務省に提出。▶95.0~99.0MHz周波帯の拡充は民放事業者の要望を踏まえたもので妥当、そのうえで新たな周波数の割当てにあたっては、民放ラジオ各社の意見や個別の事情を丁寧に汲み上げ、的確に反映することを要望する、▶行政によるリスナーや受信機メーカー等への積極的な周知広報が必要――などの内容。
2.5 遠藤龍之介会長が辞意表明。「フジテレビの出演タレントと女性に関する一連の事案により、私が民放連会長を続けることは適切ではないと考えている。後任の会長の選定手続きを速やかに進め、次期会長に職務を引き継げるようになった段階で会長職を退きたい」との申し出があった。
2.5 営業委員会、第51回テレビ営業ゼミナールをオンラインで開催し、129社1,064人の申し込みがあった。今後の営業活動に活かしていくことを目的に、「テレビを取り巻く社会状況」や「アドバタイザーのテレビに対する期待・要望」――などを再認識した。
2.5 放送基準審議会、日本PTA全国協議会〔日本PTA〕との懇談会をオンラインで開催。「放送の自主・自律に関する特別部会」委員ら16人、日本PTAは太田敬介会長をはじめ4人が出席した。「青少年の健全な育成」を目的に意見を交わす。
2.12 日本弁護士連合会〔日弁連〕との第33回「報道と人権に関する懇談会」をオンラインで開催。報道委員会と放送基準審議会それぞれの下部組織「報道専門部会」「放送の自主・自律に関する特別部会」の委員ら29人、日弁連は「人権擁護委員会」の神田安積委員長をはじめ、同委員会の下の「人権と報道に関する特別部会」委員ら20人が参加した。「選挙報道とSNS」をテーマにSNSでの偽・誤情報の拡散や公職選挙法が想定していなかった動きに報道機関がどのように向き合うべきかをめぐり意見を交わす。
2.13 内閣府「コンテンツ産業官民協議会」の第2回会合に同協議会構成員の民放連・遠藤龍之介会長から交代した堀木卓也専務理事は欠席のため書面による意見を提出。放送コンテンツの海外展開については、政府としてローカル局の海外展開を支援し、放送コンテンツによる日本の魅力の発信に取り組むよう求めたほか、コンテンツ振興策や支援措置などを四六時中考える政府の専門集団が求められていることを指摘。さらにクリエイター支援のための適正な取引環境の整備に向けた取り組みを一層進めるとともに放送事業者と芸能事務所、実演家との取引において優越的地位の濫用を疑われるような事案がないよう、民放連として啓発を続ける考えを表明した。
2.20 知財委員会を中心に民放連は、自民党「知的財産戦略調査会」のもとに設置された「デジタルコンテンツ戦略小委員会」のヒアリングに出席。「映像コンテンツ(実写・アニメ)のデジタルコンテンツとしての流通促進の現状と課題」に関し、▶過去コンテンツ活用の課題▶民放局における権利処理の体制▶同時配信のフタかぶせ・差し替えの状況について意見を述べる。
2.25 報道委員会、報道記者研修会をオンラインで開き、81社206人の申し込みがあった。今回は新人向けに報道の仕事に携わる記者やディレクターなどを対象に2つのテーマ(災害報道、SNSと選挙)を設け、パネルディスカッションなどを通じて取材・報道のあり方を再考した。
【放送・マスメディア】
2.12 NHK、国際放送でのAI自動翻訳機能による多言語字幕のサービス終了を発表。同10日、沖縄県尖閣諸島をめぐるニュースで中国語字幕の一部に「尖閣諸島」を「釣魚島」と表示したケースが見つかり、信頼性と正確性に懸念があると判断した。
2.14 日本新聞協会メディア開発委員会、2025年度のNHK予算と事業計画案に対する見解を公表。改正放送法により必須業務となった放送番組のインターネット配信業務(同時および見逃し・聴き逃しと番組関連情報)について、「具体像は不明瞭な部分が多く、費用の妥当性を検証することは難しい」と指摘。早期にサービスの具体像を明らかにするよう要望した。
2.17 フジテレビ、TVerと協力して新たな放送通信の連携サービスを開始。コネクテッドテレビでフジテレビの地上放送とTVerアプリをシームレスに連携させて放送とTVerの配信番組を視聴できるもの。
2.18 BPO・放送人権委員会、サンテレビの調査報道に対する地方自治体元職員からの申立てをめぐり、「人権侵害は認められず、放送倫理上の問題があるとは言えない」との見解を公表。同社がローカル局に期待される役割を真摯に果たそうと努力してきた経緯を積極的に評価するとしたうえで、今後、人権により配慮した番組作りを要望した。
2.19 NHK、『放送100年史』を発売。日本のラジオ放送開始(1925年3月22日)から100年を記念した書籍でラジオ編は2,500番組、テレビ編は6,400番組のほぼすべての定時番組とおもな特集番組を収録(A4判、全2巻計1,552ページ、定価24,200円税込み)。併せて特設サイトも開設している。
2.25 東北放送、営業局と事業局が入居する分室を移転。「JNN東北 仙台共同オフィス」を併設し、同居するJNN系列東北4社(青森テレビ・IBC岩手放送・テレビユー山形・ テレビユー福島)が連携を強化し、共同企画や課題解決に取り組み東北地方全域に根差した情報を多角的に発信する。3月3日から業務開始。
2.27 電通、「2024年日本の広告費」を発表。24年の総広告費は7兆6,730億円(前年比4.9%増、以下同)と、3年連続で過去最高を更新。テレビメディアは1兆7,605億円(1.5%増)でこのうち地上波が1兆6,351億円(1.6%増)、ラジオは1,162億円(2.0%増)だった。インターネット広告媒体費は2兆9,611億円(10.2%増)で前年に続き二桁の増加。同媒体費の一部であるマスコミ4媒体由来のデジタル広告費は1,520億円(17.5%増)だった。このうちテレビメディア関連動画広告は653億円(47.4%増)に。
2.28 WOWOW、2021年3月から放送を開始していた「WOWOW 4K」が24時に放送サービスを終了。
2.- 在京テレビキー3局(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ)はそれぞれ定例記者会見で番組出演タレントと局員の関係などに関する調査結果を公表。各局とも性的接触をともなう不適切な行為の問題はなかったとした。テレビ東京は一連の事案をめぐり、同22日の定例記者会見でテレビ東京グループとして同23日から外部専門家の協力を得て、社員や番組関係者、取引先などとの間で不適切な行為がないか社内調査を始めると発表。2023年に人権方針を定めており、今回で2回目の調査となる。
【行政・海外】
<行政等>
2.5 総務省の「広域大規模災害を想定した放送サービスの維持・確保方策の充実・強化検討チーム」が初会合。主査に三友仁志・早稲田大学大学院教授が就任。▶広域大規模災害を想定した放送を維持するための方策▶ローカル局の放送が停波した場合の代替手段の確保▶被災者の視聴環境の確保――などが示された。有識者や放送事業者、自治体等からのヒアリングを行ったうえで6-7月ごろに取りまとめを行う予定。
2.14 電波法及び放送法の一部を改正する法律案が第217回国会に提出された。①特定高周波数無線局を開設することのできる者を価額競争により選定する制度(条件付電波オークション)の創設、②無線局の免許状等及び基幹放送事業者の認定証のデジタル化、③電波利用料制度の見直し、④地上波の基幹放送事業者が中継局を廃止する際に放送番組を引き続き視聴できるようにするための措置(ケーブルテレビや配信サービス)を講ずる「努力義務」を課す――などが盛り込まれた。
2.14 総務省、NHKの2025年度収支予算・事業計画を総務大臣意見を付して国会に提出。同年10月から始まるNHKのインターネット活用業務関連費用として180億2,000万円を、ウェブアプリ開発および認証の整備などイニシャルコストとして29億5,000万円をそれぞれ計上した。
2.28 政府、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案」(AI法案)を国会に提出。国民の権利や利益が侵害される事案が生じた場合は国が調整し、必要に応じて開発事業者らを指導等することを明記、悪質な場合は事業者名を公表するなどの内容。
<海外>
2.9 第59回米NFLスーパーボウルがルイジアナ州ニューオリンズで行われ、フィラデルフィア・イーグルスがカンザスシティ・チーフスに勝利した。全米の平均視聴者数は1億2,700万人を超え過去最多を記録した。
2.26 米NAB(全米放送事業者連盟)がFCC(連邦通信委員会)に請願。現行の放送規格「ATSC1.0」を廃止し、次世代放送規格「ATSC3.0」に完全移行するよう求める。