ラジオ関西 29年ぶりに生放送用スタジオをリニューアル その経緯と展望

安田 晴彦
ラジオ関西 29年ぶりに生放送用スタジオをリニューアル その経緯と展望

2025年、阪神・淡路大震災から30年。神戸に本社を置くラジオ関西にとっても、大きな節目の年を迎えており、29年ぶりに生放送用スタジオをリニューアルしました。

1995年の震災当時、神戸市須磨区にあった旧本社社屋は大きな被害を受け、放送は仮設のプレハブ社屋で継続されました。

旧社屋の被災状況とプレハブ社屋.jpg

<阪神・淡路大震災時の旧社屋の被災状況㊧と放送を届けたプレハブ社屋㊨>

放送機材の更新を機に、生放送スタジオを変更

1996年8月に神戸市中央区の神戸ハーバーランドへ本社を移転し、生放送用として使用してきたのは「701スタジオ」。2面がガラス張りで、「海の見える放送局」を象徴する空間として、出演者やゲストにも親しまれてきました。このたび放送機材の更新を契機に、神戸本社の生放送用スタジオを29年ぶりに変更しましたが、701スタジオは、録音専用スタジオとして引き続き使用します。

そして2025年6月30日から、生放送スタジオとして新たに稼働を始めたのが「702スタジオ」です。これまで録音スタジオとして活用されていた同スタジオは、社内で最も広く、今後は出演者やスタッフの声を反映しながら、より快適で機能的なスタジオ環境へと進化させていく予定です。

リニューアル後の702スタジオ.jpg

<リニューアル後の702スタジオ>

"見せるラジオ"時代に対応した空間へ

ラジオ業界を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。今や音声コンテンツの提供にとどまらず、ウェブ記事、SNS、動画などのビジュアルメディアで番組を認知してもらうことが不可欠な時代。視覚と聴覚の両面で、番組の魅力を発信していく必要があります。

ラジオの映像配信は、著作権や肖像権の制約から全編配信が難しいケースもありますが、番組のハイライトを切り抜き、SNSで展開することで新たなリスナー層への接点を生み出す動きが広がっています。スマートフォンによる撮影も可能ですが、常設カメラの導入も視野に入れ、より多角的なコンテンツの発信を検討しています。

オンライン出演の利便性も強化

またコロナ禍以降、オンライン出演が当たり前になり、スタジオにはよりスムーズにゲストが遠隔参加できる環境も整備しました。タイムラグのほぼない通信環境により、ゲスト出演のハードルが下がることで、番組内容の柔軟性も高まり、番組や営業の企画の幅が広がることが期待されます。

リニューアルを果たした新生スタジオは、ラジオ関西のこれからの番組作りと情報発信を支える拠点として、多くの可能性を秘めています。

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