総務省は10月24日、デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第3次)(案)についての意見募集を行う旨を発表した。意見募集期間は10月25日から11月15日まで(外部サイトに遷移します)。
同取りまとめ案は、10月22日に開催した総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」(座長=三友仁志・早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)で策定した。「小規模中継局等のブロードバンド等による代替に関する作業チーム」「衛星放送ワーキンググループ」「放送コンテンツの制作・流通の促進に関するワーキンググループ」「公共放送ワーキンググループ」の4つの下部組織の検討結果も別添資料として収録されており、同検討会はこれらを一括した意見募集の結果を踏まえ、取りまとめの内容を確定する。
同取りまとめ案は①放送の将来像、②小規模中継局等のブロードバンド等による代替、③ラジオ放送における経営の選択肢の3章で構成されており、各章の内容は概略次のとおり。
①放送の将来像
・情報空間の変化などを踏まえて、将来的な放送の在り方について引き続き研究を進めていくことが必要。
・将来的には、放送の社会的な役割を基礎として、多様な伝送手段により、その役割がより良く果たされるように再構成されると考えることは可能。放送の社会的な役割の担い手をその編集責任に見合う形で優遇することなどの効果について議論を深めていくことも必要。
②小規模中継局等のブロードバンド等による代替
・小規模中継局等による放送をIPユニキャストで代替することを経営の選択肢として許容することが適当。
・代替は、一定の要件を満たす限定的な場合に限り許容するが、複雑で厳格、硬直的な要件とならないように配慮すべきであり、円滑な権利処理ができる代替手段となっているかどうかも重要。
・品質・機能の水準は、IPユニキャストの技術的な制約を考慮するとともに、放送に準じて視聴者が受容可能なものとすることが適当。
③ラジオ放送における経営の選択肢
・必要なニーズ調査を実施した上で95.0MHz以上の周波数帯をFM放送用の周波数として既存のFM事業者等を含めて使用可能とすることが適当。
・制度面で「FM転換」(注1)を可能とすることが適当であり、まずは「AM局廃止」(注2)から段階的に取り組むことを可能とすることが適当。
・経営の選択肢の拡大を図るにあたり、インターネット配信によってもラジオ番組が聴取されている実態に配慮するとともに、停電時においても情報の伝送が可能なメディアとしての有用性に留意が必要。
注1「FM転換」=親局を含むAM局をFM方式に転換すること
注2「AM局廃止」=AM方式の親局を維持しつつもFM補完中継局を整備するなどしてAM方式による中継局を廃止すること