第42回「地方の時代」映像祭 グランプリ作品上映会開く SBS和田ディレクター「住民との接点を」

編集広報部
第42回「地方の時代」映像祭 グランプリ作品上映会開く SBS和田ディレクター「住民との接点を」

42回「地方の時代」映像祭(主催=民放連、NHK、関西大などで組織する実行委員会)のグランプリ受賞作の上映会が12月3日、関西大学東京センターで開かれた。受賞作の静岡放送『SBSスペシャル 熱海土石流 ―なぜ盛り土崩落は防げなかったのか―』を上映。ディレクターを務めた和田啓氏と熱海土石流被害者の会会長の瀬下(せしも)雄史氏が登壇し、昨年7月に熱海市伊豆山で起こった土石流災害をめぐって議論を交わした。司会は金平茂紀・TBSテレビ『報道特集』特任キャスターが務めた。

和田氏(=写真㊦)は「地元局ができるのは、被災者や遺族の方の『なぜ(被災したのか)』という声に応えることだと思い、取り組み始めた」と取材のきっかけを明かし、「関係者を日々数珠つなぎであたっていった。全く成果が得られないこともあったが、その積み重ねを特集で放送し、番組化に至った」と経緯を話した。

責任の所在が不明確で、裁判が相次ぐなど、いまだに解決していない熱海土石流の問題について、和田氏は「発生直後は連日のように全国ニュースになっていたが、今では放送されなくなった」と語り、続けて瀬下氏も「全国の方は、事件が収束したと思っている。節目には全国で報道してもらい思い出してほしい」と述べ、「人命に関わる盛り土は全国各地に多くある。決して他人事ではない」と思いを訴えた。

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金平氏から静岡のメディアの動きを問われ、和田氏は「競争原理は働いているが、他社と横並びでニュースを押さえていれば安心してしまう雰囲気もある」と危機感を示し、「記者の人数が少なくても、一つの事象にどこまで取り組むかを考えていく必要がある」と語った。

会場の学生からの「地元メディアとしてできることは」との質問に、和田氏は「問題が起こってから行動するのがメディアだと思うが、未然に防ぐための行動も必要だ。地域の問題を見逃さないよう住民との接点を持ち続けていきたい」と答えた。また、来場していた静岡放送の鈴木宏典報道部長は「日々の報道に一番力を入れている。一方で、その積み重ねを番組化する視点を持っておく必要がある。記者は日々のニュースに対して使命感や感情を持って向き合うことが大切だ」と話した。

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<左から金平氏、和田氏、瀬下氏

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